全米大学体育協会(NCAA)のフットボール・ボウル・サブディビジョン(FBS=旧1部A)の、2015年度各リーグ展望もようやく半ばを過ぎた。
 ABC順に並べてきたので、昔の地域順とは違って、どれだけ済んで、どれだけ残っているのかよく分からぬ、とおっしゃる向きもおありだろう。


 済んだのはAAC=アメリカン体育連盟、ACC=大西洋岸リーグ、Big10=ビッグ10、Big12=ビッグ12、C―USA=USA連盟の五つで、これからのは、MAC=中部アメリカン連盟、MWC=山岳西部連盟、Pac12=太平洋12大学、SEC=南東リーグ、SBC=サンベルト連盟、となっている。


 さてその後半の先頭打者MACは、第2次大戦直後の1946年に生まれた由緒正しい組織である。ただ地域的にビッグ10とかぶるので、ずっとその1ランク下の扱いをしてきた。
 実力的にはちょうどそのくらいなので、無理はない。発足時はバトラー大(インディアナ州)、シンシナティ大、オハイオ州のマイアミ大、オハイオ大、西ミシガン大、ウエスタンリバース大の6校だった。


 最後に名前が出てきた大学がどこにあったのか、古い大学案内の索引ではコロラド州の大学のように書いてあったが、そのページを開いてみても出てこず、ちょっとわからない。(こうして疑問を述べておくと、識者が表れて貴重な助言を頂くことがよくある。露骨だが甘えておきたい)


 メンバーはその後1950年代にかなり入れ代わった。無論、出入りは割愛する。現在は六つの州から13校が参加。オハイオ州から6校、ミシガン州から3校で、あとはイリノイ州、インディアナ州、ニューヨーク州、マサチューセッツ州から各1校となっている。
 ビッグ10に比べて、加盟校が東に偏っているのがお分かりと思う。ペナントレースは、東7校、西6校の2地区に分かれてリーグ戦を展開しているが、東はオハイオ州から5校、それに東部のニューヨーク州、マサチューセッツ州から各1校、西はミシガン州のチームとオハイオ、イリノイ、インディアナ勢各1校という割り振りだ。


 米国3誌の予想から見ると、東地区はオハイオ州のボウリンググリーン大がトップ。2位以下が大激戦の様相を呈している。ボウリンググリーン大はQBマット・ジョンソンがリードする攻撃力が実に豊か。WR陣はロジャー・ルイス、ロニー・ムーアといったリーグを代表する名手ぞろい。
 RBもトラビス・グリーンの評価が高い。しかし守備はLB陣がいたって手薄。こうした弱点は高い得点力ですべてを「カバー」してしまう方針のようだが、そううまくいくかどうか。


 2位争いは接戦。QBブレーク・プロナッフェルを擁するマサチューセッツ大、攻守にバランスの取れたアクロン大、LB陣が素晴らしいオハイオ大が競り合う。
 RBアンソーン・タイラーのバファロー大は守りがいまひとつ。逆にリーグ有数のDBネート・ホーリー、ローガン・ディーツを誇るケント州立大は攻撃が力不足。オハイオ州のマイアミ大とともに下位争いだ。


 なお、いつも私がACCのマイアミ大について書くときに、必ずフロリダのとかフロリダ州のとか余計に州名を付けていたのをご記憶の方は多いだろう。理由はこのオハイオ州の方にもマイアミ大があるからで、そのサンプルを出せたのでほっとしている。
 実情を言えば、マイアミの方は「ユニバーシティー オブ…」でオハイオの方は「…ユニバーシティー」で、英語だとたやすく区別がつくのだが、日本語ではそうもいかない。難しいところである。
 もっとも歴史的に言えば、オハイオのマイアミ大の方が古く、かつては名監督を次から次へと輩出した。


 西地区もAクラスが接戦、4、5、6位はあっさり決まりそう。上位はトリド大、北イリノイ大、西ミシガン大の争いだろう。トリド大はRBが充実しており、カリーム・ハント、テリー・スワンソンのコンビはリーグ随一の迫力がある。
 北イリノイ大はドルー・ヘアー、西ミシガン大はザック・テレルと、ともにQBが優れ、RBにも北イリノイ大ジョエル・ボーグノン、西ミシガン大ジャービオン・フランクリンといった逸材を擁している。明暗を分けるのは守りということになりそうだ。


 以下Bクラスはボール州立大、中央ミシガン大、東ミシガン大の順か。ラインやLB陣はいいのだが、タレントに人を得ない。若手あたりからどんな人材が姿を現してくるかに注目したい。


 MWCは、昔のWACを母体として、2010年から13年にかけて再編された連盟で、その軸となったのは1996年に旧1部A へ昇格した、アイダホ州のボイジー州立大あたりのようだ。
 現在は西海岸のカリフォルニア州勢の西部地区6校と、ロッキー山脈の各州の山岳地区6校、合計12校でリーグ戦を行っている。


 WACなどと言えば、かつてアリゾナ大、アリゾナ州立大の「2強」などが所属した高水準の組織だったが、この両校が1978年に太平洋8大学へ加わったころから変化が起こりはじめ、Big8とSWCが合併へ動き始めたのと歩調を合わせるように、激しい出入りが起きている。
 無論、申し訳ないが、この間の変動は割愛する。例えば2010年にユタ大が太平洋10大学へ去ったあと、ブリガムヤング大も独立校へ変わっていった。逆に2012年、同じユタ州勢でもユタ州立大が旧WACからMWCへ加盟を申請するといった具合で、頭を悩ますのは、こうしたケースに法則性らしいものがさっぱり見当たらないことである。


 さて秋の公式戦は、12、3試合のうち外部と5試合、同一地区と総当たり5試合、他地区と3試合が行われる。
 まず山岳地区。新興チームとはいえ、毎年のように全国ランキングに顔を出しているボイジー州立大が君臨している地区に敬意を表しておこう。


 ボイジー州立大は今季もランクに名を連ねた。アスロン誌はぎりぎりの25位だったが、スポーティングニューズ誌は21位と高く買い、フィルスティールズ誌は23位を付けた。
 攻守ともラインのサイズ、スピードがMWC随一で、これに支えられたタレント群が見事な仕事をしそうだ。RBのケルシー・ヤング、レシーバーではWRトーマス・スパ-ベック、TEジェイク・ローらが注目される。
 あとはいいQBが欲しいところで、2年生のライアン・フィンリーの成長が鍵を握る。このほかリーグ一といわれるLB、DBをそろえているのも強みだ。


 MWCトップ級のQBチャッキー・キートンを擁するユタ州立大は、WRハンター・シャープ、ジョジョ・ナットソンと受け手もいい。
 これで人材不足のRBのかさ上げができれば、ボイジー州立大との首位争いが期待できよう。3位はまとまりのいいコロラド州立大と、空軍士官学校の争い。空軍RBジャコビー・オーエンスの足が見ものだ。
 ワイオミング大はRBショーン・ウィック、ニューメキシコ大もRBにジョーレル・プレスリーらの逸材を抱えるものの、今季は下位争いに終わりそう。


 西部地区はサンディエゴ州立大が一歩抜け出した形。RBのドネル・パンフリーの快走が見もので、動きのよいラインがこれを支える。ボイジー州立大同様、ここもQBに人材が欲しいところだ。守備陣やスペシャルチームがよく整っているのは他にない強みだ。


 2番手はネバダ大とフレズノ州立大の争い。ネバダ大はかつて所在地のリノを付け、ネバダ大リノとしていたが、現在はキャンパス名を外して処理するようになり、もう一つのネバダ大ラスベガスと区別している。
 そのネバダ大はTEのジェレッド・ギプソン、WRハッサン・ヘンダーソンといったいいレシーバーを持つことで知られ、これを若いQBがどう生かすかにかかっている。
 フレズノ州立大は攻守のバランスはいいものの、スターの人材に乏しいのが悩み。1年生QBのチェイソン・バージルらの進歩が鍵だ。


 サンノゼ州立大はQBジョー・グレイ、RBタイラー・アービンといったスターが多い。しかしラインの力が今一息。宝の持ち腐れを案じる向きもある。
 続いてはハワイ大だが、MWCの代表的QBマックス・ウィテックを攻撃の柱に上位を目指す。WRマーカス・ケンプ、クイントン・ペドロサとの息の合ったパス攻撃は期待される。ネバダ大ラスベガスは、近年の補強の失敗で多くは望めなさそうだ。

【写真】昨季の王座決定戦でオハイオ州立大に敗れフィールドから引き揚げるオレゴン大の選手たち(AP=共同)