前回、「ビッグ10」だけで一本全部を埋めてしまった。「横道」大好き爺さんが、例によって無駄話を長々とつづけたせいである。
 有力リーグの「ビッグ12」を並べて書くつもりだったが、全く触れることができぬうちに、スペースが尽きた。大変申し訳ないと思っている。


 その「ビッグ12」である。組織としては極めて新しい。今季、2015年は誕生20周年となる。というのもかつての名門「ビッグ8」の8校と、解体が決まっていた「南西リーグ(SWC)」のうちの4校とが合体して、1996年に設立された組織だからだ。
 その発足時の、リーグ名の由来となった12校をまず紹介しよう。「ビッグ8」からはコロラド大、アイオワ州立大、カンザス大、カンザス州立大、ミズーリ大、ネブラスカ大、オクラホマ大、オクラホマ州立大。SWC組からは、ベイラー大、テキサス大、テキサス農工大、テキサス工科大、である。


 しかしその後、この顔ぶれは幾つかチームが入れ替わり、現在は10校が「ビッグ12」を構成している。読者諸氏にはわずらわしいとは思うが、その辺の出入りは押さえておきたい。
 当初12校から去っていったのは4校で、まずコロラド大。現在は「太平洋12大学(Pac12)」の南地区に属している。「南東リーグ(SEC)」へはミズーリ大と、テキサス農工大が移籍し、それぞれ東地区と西地区へ分かれて所属した。最後にネブラスカ大で、「ビッグ10」の西地区へ移った。


 4校が外へ出たら4校が入って来ないと、連盟の名前と食い違いが起きるが、その後の加盟は2校にとどまっている。1校はかつてのSWC所属のテキサスクリスチャン大(TCU)。旧リーグ消滅時には西部体育連盟(WAC)へ移り、その後USA連盟を経て「ビッグ12」へ加わった。
 もう1校、「ビッグイースト」を離れた西バージニア大が参加した。「ビッグ12」が展開する地域から見ると、同校の所在地は少し東に偏っているが、地図で見るとアパラチア山脈の西側なので、まあいいか、という気もする。


 そこで予想となるが、強弱を並べるのはそれほど難しくないので、その前にこの連盟の由緒を少し述べておこう。20世紀末ごろの創立と述べたが、それは「ビッグ12」の話で、母体となった連盟はいずれも間違いなく古い。


 かつては「ビッグ10」と並び称された「ビッグ8」は以前、ミズーリバリー連盟(MVC)の話をしたときに語ったので、ご記憶の方も多いと思う。
 創設はMVCの名前で1907年。日本の年号でいうと明治41年だった。日本でもフットボールが正式に始まった昭和の時代は、読者の周りにいらっしゃるご年配の方々と比べ合わせると便利だと思うので、両方書くことが多い。


 しかし、大正、明治と時代をさかのぼると、だんだん意味がなくなっていくので、いちいちは書かない。ただ、米国での歴史をひも解いたときに、時々は日本の時代との比較をするのも、向こうの歩んできた道のりを理解する一助になりはせぬか、などと考えてちょびっと書いてみた。


 創設メンバーはアイオワ大、カンザス大、ミズーリ大、ネブラスカ大と、現在はチームのないミズーリ州のワシントン大。翌1908年にはアイオワ州立大とアイオワ州のドレーク大。13年にはカンザス州立大。19年にはアイオワ州のグリネル大。20年にオクラホマ大。25年にオクラホマ州立大が加盟した。なお「ビッグ10」にも登録していたアイオワ大が、11年に脱退している。


 そして1928年、アイオワ州立大、カンザス大、カンザス州立大、ミズーリ大、ネブラスカ大、オクラホマ大が組織を離れて「ビッグ6」を設立した。
 1948年にはコロラド大が加入して「ビッグ7」、58年にはMVCに残っていたオクラホマ州立大が加わって、「ビッグ8」となり、96年のテキサス勢の参加を見ることとなる。


 一方のSWCは1914年に生まれた。テキサス、アーカンソー、オクラホマ各州の有力校の集まりで8校を数えた。名を挙げる。アーカンソー大、ベイラー大、オクラホマ大、オクラホマ州立大、ライス大、テキサス大、テキサス農工大と、現在はチームのないテキサス州にあるサウスウエスタン大で、このチームは3年後の1917年に脱退した。
 このチームも同様、出入りは激しく、5校が加盟し、5校が脱退して、SWC最後の年はスタート時と同様8校が残っていた。


 加盟したのは18年のサザンメソジスト大(SMU)、20年にオクラホマ州のフィリップス大、23年にTCU、60年にテキサス工科大が、76年にはヒューストン大がそれぞれ登場した。
 脱退組は先のサウスウエスタン大をはじめ、20年にNVCへ移るためにオクラホマ大、フィリップス大が21年に姿を消した後、25年にオクラホマ州立大、最後に1992年にアーカンソー大がSECへ移って、テキサス州だけの連盟となっていた。


 さて改めて「ビッグ12」を展望する。かつては南北2地区に分かれ、優勝決定戦も行われていたが、10校となっては試合数からいっても地区制は取りにくい。
 試合日程は、シーズン序盤に外部と3試合を行い、続いて各校9試合の総当たり戦を行う。12校、14校が加盟するリーグだったら、とても総当たりなどできるわけがなく、年度によっては強豪との対戦を免れることがある。これを幸運と見るかどうかだが、これとは対照的に、総当たりだとすべてが真っ向勝負となる。


 3冊目の雑誌「フィルスティールズ誌」が手に入ったので、これからは3誌に基づいてご託を並べることになる。
 「ビッグ12」はまずTCUとベイラー大のテキサス勢の首位争いに、オクラホマ大がどう絡むかだろう。ランキングはこの3校に集中し、特にTCUは完全にオハイオ州立大の後ろにピタリ、という高評価だ。
 看板はQBのトレボン・ボイキン。4年生でオールアメリカの1軍に据えるイヤーブックもある。無論、ハイズマン賞の有力候補の一人だ。


 レシーバー陣は粒ぞろいで最上級生が多く、息の合った仲間として期待できる。走る方はリーグを代表するRBアーロン・グリーン。これも4年生でゲーリー・パターソン監督としては、今年こそ全米王座をと意欲に燃えていよう。
 とにかく攻撃力のパワーは出色で、昨年は1試合当たり46点。失点は19点と圧倒的な数字を残している。


 得点力と言えば、ベイラー大がTCUと双璧だろう。昨季の両校の対決は、激しい点取り合戦に終始し、61―58という記録的なスコアでベイラー大が勝ち、TCUに唯一の黒星をつけた。
 その立役者のQBQBブライス・ペリーは卒業したが、後任のQBセス・ラッセルも逸材で、11月27日の決戦は見逃せない。


 名門オクラホマ大がこの2強の戦いに割って入る。RBサマージ・ぺリーン、アレックス・ロスとリーグを代表する走り手ぞろいで、ランの威力はずぬけている。
 11月に入り、14日にベイラー大、21日にTCUと重要なカードが続く。もう一つの名門テキサス大は守備の安定度ではリーグ一と評価される。しかし、優勝争いへ割り込むには、攻撃力がやや力不足。


 QB陣の底上げが鍵を握り、レッドシャツの1年生QBジェロッド・ハードに期待がかかる。なおこの両校の歴史的好カードは、例年通り10月半ば。今季は10日にダラスで対決する。


 オクラホマ州立大は上位の切り崩しを狙う。2年生のQBメーソン・ルドルフが逸材だ。テキサス工科大は2年生のQBパトリック・マホームズがリードする攻めがいいだけに、守備の強化が課題だ。
 西バージニア大、カンザス州立大などと激しい順位争いが展開されそうだ。アイオワ州立大とカンザス大は下位争いか。


 1996年、「ビッグ12」と同じ年に発足した「USA連盟(CUSA)」は、東はフロリダ半島、西はテキサス州の最西端エルパソと、合衆国の南半分を長々と横切る地域に、13校が点在する何ともまとまりの付きにくい連盟である。
 かつて地域ごとにくくられていた各リーグの配列がまとまらなくなり、そのせいで現在のアルファベット順優先の「編集」にならざるを得なくなったのではないかと、CUSAの登場を勘繰る八十翁である。


 この組織はフロリダの新興勢力とテキサスの古くからのチームが入り混じる13校のグループで、これが東7校、西6校の地区に分かれる。結構チームの出入りは激しいが、追いかけてもあまり意味がないので割愛する。
 無論ランキングに名を連ねるようなチームはない。東は西ケンタッキー大の評価が高く、マーシャル大がこれに続く。3番手は中テネシー大で、以下フロリダ大アトランティック、フロリダ国際大、バージニア州のオールドドミニオン大、シャーロット大が続く。


 西地区はルイジアナ工科大が強く、2番手にテキサス州の名門ライス大、次いでテキサス大エルパソ(UTEP)。南ミシシッピ大.と北テキサス大が続いて、6番目はテキサス大サンアントニオと、あまり激戦にはなりそうにない。


 このCUSA、一時はチュレーン大、タルサ大、東カロライナ大なども籍を置いていたが、いずれもアメリカン体育連盟へ移籍した。
 東地区のオールドドミニオン大、シャーロット大などは、旧1部AAからの昇格組で、今後もこの入れ代りを追いかけるだけでも大変である。

【写真】ベイラー大3年の2011年度に、ハイズマン・トロフィーを受賞したQBロバート・グリフィン(AP=共同)