4カ月半ほど続いた海の向こうのカレッジフットボールを皆様に紹介する作業も一通り終わった。何よりも、2014年度は史上初めての4校による選手権戦のトーナメントが開かれて、盛り上がったのは結構なことだった。
 かつてはこうした元日の大きなボウルゲームが終わると、米国各地のスター選手で編成されたオールスター戦が開かれるのが常だったが、現在がどうなっているのか。南北対抗とか、東西対抗とかがチャリティーの形で行われていたが、正直言ってそれほど面白いものではなかった。


 「総括するんでしょ」。女性のためのフットボール案内を続けてン十年になるが、生徒さんの一人が、こうおっしゃった。
 そんな気はなく、何か話題を見つけ出して「ウンチク」を傾けるつもりだったが、このように水を向けられると「やはりそうか」という気になるから、これは一種の職業病である。


 何か大きなスポーツの催しが行われる。例えばオリンピックとか、サッカーのワールドカップとか。いや、そこまで大きくなくてもいい。
 国民体育大会とか春、夏の高校野球とかが終わった直後、「今年の大会はこうだった」と、傾向や技術論などをまとめた記事をご覧になったことがあると思うが、「こうした記事をお書きになるんでしょ」というわけである。


 仮に1カ月であっても、一定期間続いた催しなどでは、こうした「まとめ」を付け加えることが多い。私たちの用語で「総評」などともいう。柔らかい読み物とは違い、少し硬い感じの記事になってしまうのが常だ。
 仕方がない。あまり面白くないのを承知で、最終ランキングとか、各リーグのボウルゲームの成績とかを書き並べてみよう、と「悪巧み」が頭をもたげ始めた。


 まずは最終ランキング。10月の終わりから、12月の最初の週までは、選手権戦の出場チームを決めるための、プレーオフランキングあるいは選手権ランキングという、選手権選考委員会が発表するベスト25だけを追いかけた。
 この間、AP通信が60人のベテラン記者をわずらわせて作っていたランキングや、有力校の監督さん中心に、62人のフットボール専門家の投票を集計し、USAトゥデー紙などが掲載していたランキングなどを頭から無視して、私は選手権のランキングだけを取り上げた。出場4校がこれで決まるのだから、この選考委員のランキングだけにこだわるのはやむを得ない。申し訳ない。お許し願いたい、と言うしかなかった。


 選手権出場の4校が確定し、他の36組のボウルゲームが決まると、もう選考委のランキングに用はなかった。そして選手権戦決勝の翌日の13日に、APと監督のランキングがそれぞれ発表された。
 1位は無論、選手権の決勝を制したビッグ10(Big10)のオハイオ州立大で、当然のことながら、59人投票のAPで1475点、62人の監督投票で1550点といずれも満票で、首位に選ばれた。


 2位も当然、準優勝の太平洋12大学(Pac12)のオレゴン大が入った。ただし2位としての「満票」ではなく、APでは14ポイント少ない1402点、監督投票では11ポイント少ない1477点に留まっている。


 3位には両方のランキングとも、選手権戦から外れてピーチボウル(チックフィルAピーチ・ボウル)へ回ったビッグ12(Big12)のテキサスクリスチャン大(TCU)が続いた。ミシシッピ大に42―3と完勝した内容が評価された、ともとれる。
 4位は選手権戦準決勝惜敗の南東リーグ(SEC)のアラバマ大が入った。ポイントはどちらも満点にあと1点足らない1297点と1363点という珍しい結果が出ている。


 ランキングの得点、またはポイントというものは、2位以下ではそれぞれの順位の「満票」の得点よりも低くなるのが普通で、このアラバマ大のようなケースは結構珍しいといってよい。


 ましてやその「満票」を超えるポイントとなれば、さらに珍しいが、このランキングでは監督ランクの6位に入った大西洋岸リーグ(ACC)のフロリダ州立大が1262点を挙げ、投票者全員が6位に投票した場合に記録される1240点を22ポイント上回っている。
 ただ1校全勝でペナントレースを突っ走り、大詰めでオレゴン大に初黒星をつけられたフロリダ州立大への「同情票」だったのかもしれない。


 話が先走った。この両ランク、4位までは同じ顔ぶれだが、5位でずれが生じた。APは、フロリダ州立大とBig10のミシガン州立大が1212ポイントの同点で5位の座を分け合うという現象が起きた。
しかも5位と6位の「満票」の平均値1209・5点を上回わっていたのだからかなり稀だったといえる。


 一方監督投票では5位にミシガン州立大が納まったが、満票ポイントには届かなかった。6位は先に述べた通りフロリダ州立大である。
 ランキングを複数並べると順位は適当にずれるもので、それがまた興味を呼ぶものだが、今回は両ランクのベスト25の顔ぶれは全く同じだった。無論順番は少しずつ異なる。全部をフォローするつもりはないが、10位までのチームを出場ボウルゲームや所属リーグを割愛して紹介し、次へ移る。


 7位8位につけたのは、ベイラー大、8位7位にジョージア工科大、9位にジョージア大が顔を出し、10位はカリフォルニア大ロサンゼルス(UCLA)だった。
 この最終ランキングは無論、レギュラーシーズン最後のランキングと連動する。つまり12月から1月初めにかけて行われたボウルゲームの勝敗が、ランキングに直結する。勝てば上がるし、負ければ下がる。


 となるとランキングに名を残したチームの数、その順位などをチェックすると、NCAAのフットボール・ボウル・サブディビジョン(FBS=旧1部A)に所属する10リーグ、4独立校の、強いリーグ、水準の高い組織を判断することができる。
 以前ご紹介した他のリーグとの勝敗数同士を比較するのと同じような、強弱を計るバロメーターと言ってもいい。


 では最終ランキングに名を残したチームを、リーグごとに数えてみよう。今年度で最も多かったのはPac12とSECで、同数の6校だった。Pac12は2位のオレゴン大を筆頭に、UCLA、アリゾナ州立大、アリゾナ大、南加大、ユタ大が並ぶ。UCLA以下の5校がすべて南地区なのは面白い。
 SECはアラバマ大以下、ジョージア大、ミシシッピ州立大、ミズーリ大、ミシシッピ大、オーバーン大だ。Pac12はボウルゲームに8校が出場し、成績は6勝2敗。SECは12校が登場、7勝5敗の成績だった。率から言うとPac12の方がはるかに歩留まりがいい。


 この二つに次いでACCがベスト25に4校を送り込んだ。フロリダ州立大以下ジョージア工科大、クレムソン大、ルイビル大が名を連ねた。ボウルゲームにはSECに次ぐ11校が出場したが、4勝7敗と振るわず、結局この4校にとどまった。
 Big10とBig12は3校ずつをランキングへ送り込んだ。Big10は王者オハイオ州立大を誕生させたが、ミシガン州立大とウィスコンシン大が続いただけだった。ボウルゲームも10校が出場しながら、5勝5敗の五分と盛り上がりを欠いた。


 選手権のベスト4から外れたBig12はTCUが3位に食い込み、ベイラー大も好位置につけたが、あとがカンザス州立大だけだったのは寂しい。
 ボウルゲームには7チームが駒を進めたが、2勝5敗に終わった。とりわけオクラホマ大、テキサス大といった古豪がボウルゲームで大敗するなど、パッとしない成績だったのが原因だろう。


 このほか三つのリーグがベスト25に1校ずつ送り出した。まずは、かつての「ビッグイースト」を母体として2013年に組織を編成し直した、アメリカン体育連盟(AAC)はメンフィス大がランキングの25位に顔を出した。
 AACはボウルゲームには5校が出場、2勝3敗の成績を残した。USA連盟(CUSA)は13勝1敗の好成績を残したマーシャル大がランクインした。ボウルゲームは5校が出て4勝1敗の好成績だった。山岳西部連盟(MWC)からはボイジー州立大が16位に挙げられた。フィエスタボウルでPac12のアリゾナ大に競り勝った実績が高く評価された。ボウルゲームには7校が登場したが、3勝4敗に終わった。


 例年だとランキングにはあと1校ほど、独立校が顔を出すものだが。今年度は有力視されたブリガムヤング大(BYU)がボウルゲームで惜敗し、ノートルダム大もレギュラーシーズンでの成績からベスト25にはあと一歩及ばなかった。
 今季の独立校は3ボウルゲーム2勝1敗だった。このほか中部アメリカン連盟(MAC)はボウルゲームに5校が登場し2勝3敗。サンベルト連盟(SBC)は3校が出て1勝2敗だった。

【写真】全米選手権を制したオハイオ州立大のRBエリオット(AP=共同)