2014年度の全米大学フットボールの王座をかけて、オレゴン大とオハイオ州立大が1月12日(月)に、テキサス州アーリントンのAT&Tスタジアムで対決する。試合開始は午後7時30分、東部時間で午後8時30分、日本時間では13日午前6時30分、史上初の勝ち抜き方式による全米大学フットボール選手権の決勝戦である。


 オレゴン大は今季、太平洋12大学リーグ(Pac12)を制し、12勝1敗で選手権大会選考委員会のランキングで2位に上げられた。唯一の黒星は10月2日にアリゾナ大に24―31で敗れたものだが、レギュラーシーズン最後に北地区1位として南地区トップのアリゾナ大とPac12の優勝を争い、51―13で雪辱して選手権準決勝のローズボウルへ駒を進めた。


 相手はこれまで全勝のフロリダ州立大。2012年の最終戦からの連勝は28に達し、これをどこまで伸ばすかに話題が集まっていた。大西洋岸リーグ(ACC)のアトランティック地区に属し、優勝決定戦ではコースタル地区のジョージア工科大に37―35と競り勝って13戦全勝、選手権ランク3位でローズ行きをきめた。
 後で詳しく述べるが、結果は59―20の大差でオレゴン大が制し、フロリダ州立大の2年連続全勝の夢はついえた。


 オハイオ州立大はレギュラーシーズンの第2戦で、バージニア工科大に21―35で敗れる不覚をとったが、その後陣容を建て直し、名門ビッグ10(Big10)の東地区を制した。西地区のウィスコンシン大とリーグ優勝を争ったが、スコアは59―0と予想外の大差がついた。
 レギュラーシーズンの通算成績は12勝1敗。選手権ランク4位で、もう一つの準決勝戦、シュガーボウルの出場を決めた。


 対戦相手はランク1位、ここまで12勝1敗のアラバマ大。南部の最有力組織の南東リーグ(SEC)の中核として君臨してきた。今季はシーズン半ば、突如巻き起こった「ミシシッピ旋風」に遭遇。10月4日にミシシッピ大に不覚をとって17―23で敗れた。
 しかし、その後は順調に難敵をかわしてSEC西地区を制覇。東1位のミズーリ大を42―13と退けて、シュガーでオハイオ州立大との対戦に臨むこととなった。こちらは激しい競り合いを展開、オハイオ州立大が42―35で勝ち、決勝戦へ進出した。


 全米大学体育協会(NCAA)のフットボール・ボウル・サブディビジョン(FBS=旧1部A)のチャンピオンを決める新たな大会、注目の全米大学フットボール選手権は、選考委員会が選び出した4校がトーナメント方式で対戦、1月1日に準決勝が行われた後、12日の決勝に臨む。


 まずは時系列通り、ローズボウルから述べよう。カリフォルニア州パサディナのローズボウルは、この日9万1322人の大観衆で埋まった。キックオフは現地時間で午後2時。東部時に直すと午後5時。日本時間だと午前3時である。そういえばローズはいつでもこの時刻に始まる。生まれて初めて本場のボウルゲームを見た四十数年前も、この時刻だった。


 試合はオレゴン大のペースで始まり、第3Qに大量得点してそのまま勝負が決まった。フロリダ州立大の2年連続の全勝の夢ははかなく消えた。全勝することの難しさ、といってしまえば簡単だが、なぜできなかったのかを浮き彫りにするのは難しい。
 ただ、シーズンの半ば過ぎまでは記者投票、監督投票のランキングで首位を張っていた全勝チームが、なぜかこのころランクを下げ始ている。


 ノートルダム大から4点差の逆転勝ちを収めたあたりはまだしも、その後次第に攻守とも力が落ちた。これを物語る数字が、得失点差である。フロリダのマイアミ大とのゲームから4試合を見ると4点、3点、5点、2点と勝つには勝つのだが、小差の接戦ばかりだった。昨年の大量点、強力守備とは全く異なる姿だった。


 このローズボウルは、前年のハイズマン賞のQBのジェーミス・ウィンストンと、今季のハイズマン賞QBのマーカス・マリオッタの対決として注目されていた。しかし、対決と言うにはいささかお粗末な現実が残った。


 QBの個人成績を見るとウィンストンはパス45本を投げて29本成功、348ヤードを稼ぎ、1TDを挙げている。奪われたのは1本。片方のマリオッタもパス36本、成功26、338ヤード前進し、2TDをマークした。奪われたのも1本で、この数字だけを見る限りでは、両者に差をつけるのは難しい。だが結果はひどい。
 なお二人のラン記録はどちらも8回。マリオッタが62ヤードを稼いで1TDを記録しているのに対して、ウィンストンはマイナス15ヤードと開きがある。この数字が試合結果を十分に物語っているかどうかは、また別問題であるが…。


 オレゴン大は第1Q半ば、RBロイス・フリーマンの1ヤードの突進でTDを挙げた。意表を突く2点のTFPで8―3と逆転。第2Qには互いにFGを決めたあと、オレゴン大はRBトマス・タイナーが1ヤードを突進して差を開いた。
 フロリダ州立大もRBカーロス・ウィリアムズがTDを返して前半を終えたが、後手に回った感じがあった。


 後半もオレゴン大がフリーマンのランで先に点を取り、フロリダ州立大がウィンストンのパスでTDを返すといった滑り出しを見せたものの、このあとオレゴン大の守備陣がフロリダ州立大を抑え込んであっさり勝負がついた。
 併せてハイパワーオフェンスの威力を存分に発揮し、第3Qの8分過ぎと10分過ぎに、マリオッタがWRダーレン・カミングトンへ56ヤードと30ヤードのTDパス2本を放って大きく差を開いた。


 とどめは第3Q終盤。相手陣30ヤード地点で第4ダウン5ヤードのギャンブルに出たウィンストンを、オレゴン大守備陣が追い詰め、さらにファンブルボールをDEトニー・ワシントンが拾い上げて、58ヤードをリターンした。TFPは外れたが、第3Q残り1分36秒で45―20となっては勝負ありである。オレゴン大は第4Qにもランで2TDを加えてフロリダ州立大を突き放した。


 見ていたわけではないので明言はできないが、ランク1位のアラバマ大と同4位のオハイオ州立大のシュガーボウルは、力と力をぶつけ合ったのではないかと思う。キックオフは午後7時半。東部時刻で8時半、日本だと2日朝の6時半である。
 舞台はルイジアナ州ニューオーリンズのスーパードーム。かつては「ルイジアナスーパードーム」と言い、現在は「メルセデスベンツ・スーパードーム」と、運営費の一部をドイツの自動車メーカーから提供されている。
 ここもその昔、シュガーボウルの解説で行ったことがある競技場で、他に比べればなじみがある。


 当時、驚いたのは階段がなかったことで、幅の広い緩やかな坂道を通って座席に就くようになっていた。健常者も車いすを使う方もその同じ道を一緒に利用する。全部を調べたわけではないので断言は避けるが、米国では野球場、フットボール場を問わず、階段だけを使う室内スタジアムなど存在しない、あってもごくわずかしかないのではないか、と思う。
 かつては6万人台の収容人員のスタジアムだった。だがその後に座席が増設されたようだ。この日は7万4682人がドームを埋めた。


 アラバマ大が先手を取った。シュガーボウルはもともとSECの優勝校が他地区の好成績を残したチームを迎えて戦う、という設定で始まった。いわばアラバマ大にとってはホームグラウンドである。
スタートがよかったのはある意味当然だった。FGを先取されたアラバマ大は第1Q5分過ぎ、オハイオ州立大の33ヤード線で攻撃権を得、2プレーで逆転のTDを奪った。RBデルリック・ヘンリーが25ヤードを一息に突っ走った速攻だった。


 糸口はオハイオ州立大のRBエゼキエル・エリオットのランを、相手の37ヤード地点でつぶし、このファンブルを4ヤードほどリターンした後、速攻でTDに結びつけた。
 アラバマ大は第1Qの終盤、79ヤードのドライブの末、QBブレーク・シムズがWRアマリ・クーパーへ15ヤードのTDパスを通してTDを追加。第2QにもCBサイラス・ジョーンズが50ヤード付近でパスをインターセプトし、15ヤード線までリターン。5プレー後RBのT・J・エルドンが最後の2ヤードを突破して、21―6と大きく差を開いた。


 二つのターンオーバーからTDを許したオハイオ州立大だったが、ここから見事に底力を出した。まず前半の残り3分足らず。自陣29ヤードから5分もの時間と、12プレーとを費やした末に、RBエリオットが3ヤードを突破してTD。残り12秒には6プレーで77ヤードをカバー、最後にWRのエバン・スペンサーがWRマイケル・トーマスへ13ヤードのパスを決めるトリッキーなプレーで20-21と、アラバマ大を追い上げた。
 勢いはオハイオ州立大にあった。このあたりから守りが安定し、アラバマ大に反撃を許していないのが好材料だった。


 後半のキックオフがタッチバックとなり、オハイオ州立大は25ヤード線からドライブをスタートさせた。いいテンポだった。わずか6プレー、2分16秒を使っただけで逆転のTDを生み出した。47ヤードのパスプレーだった。QBカーディル・ジョーンズがWRデバン・スミスへ決めた一投が、貴重な7点となった。


 戦線はこのあとこう着気味だったが、第3Qの残り3分21秒、オハイオ州立大は守備陣が決定的な仕事をした。DEスティーブ・ミラーがシムズのパスをインターセプトしたのだ。41ヤードをリターンして、前半から続いたTDラッシュは、連続4本を数え、スコアは34―21と開いた。


 アラバマ大はQBシムズがこの直後、84ヤード7プレーのドライブを見せ、最後は自らが5ヤードを駆け抜けた。ようやく目が覚めた形だったが、あと6点がどうにもならない。逆に試合終了まで3分24秒となったところで、オハイオ州立大のエースRBエリオットに何と85ヤードもの独走を許したのは致命的だった。
 しかもジョーンズとトーマスのパスコンビに2点のTFPを奪われて2TDの差をつけられた。これが痛かった。残り1分59秒でQBシムズがWRクーパーへ6ヤードのTDパスを通し最後の意地を見せたが、王座奪回の夢は消えた。

【写真】フロリダ州立大に勝って決勝進出を決めたオレゴン大のQBマリオッタ(AP=共同)