全米大学選手権の出場チームが決まり、12月7日に発表された。
 晴れの出場校はアラバマ大、オレゴン大、フロリダ州立大、オハイオ州立大の4校で、2015年1月1日、ニューオーリンズのシュガーボウルでアラバマ大―オハイオ州立大、カリフォルニア州パサデナのローズボウルでオレゴン大―フロリダ州立大の準決勝がそれぞれ行われ、同月12日、テキサス州アーリントンのAT&Tスタジアムでの決勝で、全米の王者が決まる。


 全米大学体育協会(NCAA)のフットボール・ボウル・サブディビジョン(FBS=旧1部A)はこれまでさまざまな形で、フットボールの王者、ナショナルチャンピオン、全米第1位を決めようと試みてきた。
かつて、その王者は有識者の意見、報道関係者やチーム関係者の投票によるランキングなどで決まるのが普通だった。1920年代ごろから話題作りのような形で始まり、30年代からは、ランキング制が普及すると同時に、権威が生じてきた。NCAAの「レコードブック」にはその変遷の跡が細かく述べられている。


 やがて70年代後半を迎え、メジャーと呼ばれてきた1部校が、上位の「A」と下位の「AA」とに分けられた。フットボール・チャンピオンシップ・サブディビジョン(FCS)と名付けられた「AA」は、やがて選手権制に目覚めた。
 これに対し「A」の方は、古くからのさまざまな慣習や伝統に縛られて、選手権制以外の王者決定の方法を模索し続けた。選手権大会を期待する声と並行して「その必要はない」とする意見もかなり根強く存在した。


 NCAAはそうしたさまざまな関係者の声、ファンの声と真正面から取り組んだ末、今年度からようやく、4校によるトーナメント制で全米のチャンピオンを選出する形が出来上がった。それが今回の選手権大会である。


 カレッジフットボールはまさしく新しい時代に入った。その4校は有識者による選考委員会で選出された。選び出すためのベスト25のランキングが、10月末から毎週発表され、今回、つまり12月7日の発表分で完結した。
 おさらいをする。旧1部Aには今季128校が名を連ねた。この128校は10のリーグに分かれてペナントレースを戦った。ほかに4校の独立校があった。
 しかし、1970年代後半がそうだったように、この10リーグも強いリーグと弱いリーグの仕分けができていた。強いのはアルファベット順に、大西洋岸リーグ(ACC)14校、ビッグ12(Big12)10校、ビッグ10(Big10)14校、太平洋12大学(Pac12)12校、南東リーグ(SEC)14校。独立校の中でノートルダム大、ブリガムヤング大(BYU)の2校も「強い方」かもしれないので、合計66校。


 それ以外はアメリカン体育連盟(AAC)11校、USA連盟(CUSA)13校、中部アメリカン連盟(MAC)13校、山岳西部連盟(MWC)12校、サンベルト連盟(SBC)11校。これに古くからのおなじみの、陸海両士官学校を加えて合計62校。そして選手権大会用のランキングに登場するのは、ACC、Big12、Big10、Pac12、SECの5リーグと一部の独立校に限られていた。
 無敗を続けていたCUSAのマーシャル大が、このランクの下の方に顔を出したが、黒星一つを喫するとただちに姿を消した。


 これはAPでも、監督投票でも同じようなものだが、選手権用ランキングのリーグ別の校数を見ると、SECが7校で最多。次いでPac12が6校、ビッグ10とACCが各4校、ビッグ12が3校でMWCが1校である。


 さてこの12月5、6日はBig12とAACのリーグ戦の残りと、地区制のある各リーグの優勝決定戦が行われた。
 選手権出場の4校は、いずれももう一方の地区の1位校と対戦した。前週同様1位をキープしたアラバマ大は、SEC西地区の首位校として東地区1位のミズーリ大と中立地帯のジョージアドームで対戦。QBブレーク・シムズの2TDパスやRBデルリック・ヘンリー、T・J・イェルドンの各2TDで42―13と快勝した。


 2位オレゴン大は金曜日の5日、カリフォルニア州サンタクララのリーバイス・スタジアムで北地区の代表として南地区首位のアリゾナ大を迎え撃ち、QBマーカス・マリオッタの活躍で51―13と快勝した。
 両校は10月2日に対戦、このときは地元のオレゴン大が24―31で今季唯一の黒星を喫している。今回はその再戦だったが、選手権戦出場目前のオレゴン大に対してアリゾナ大が「道を譲った」感があった。


 楽勝のアラバマ大、オレゴン大に比べ、ACCアトランチック地区首位のフロリダ州立大は、コースタル地区トップのジョージア工科大に手を焼いた。
 試合場は北カロライナ州シャーロットのアメリカ銀行スタジアム。ジョージア工科大の激しい攻めに先手を取られ、第2QにようやくQBジェーミス・ウィンストンがTDパスを連発してリードする始末だった。


 しかし、後半はジョージア工科大の堅守にTDを奪えず、FG3本で優位を保った末、相手の反撃を2TDに抑えて辛くも逃げ切った。ランキングの投票者から見れば、普通はポイントが下がりかねない試合だったが、同校は4位から3位へ順位を上げた。


 Big10東地区を制したオハイオ州立大は西地区トップのウィスコンシン大とインディアナ州のインディアナポリスで対戦した。メルビン・ゴードンという素晴らしいRBを有するウィスコンシン大だが、試合はオハイオ州立大の全く一方的なゲーム。オハイオ州立大が59点と大量得点する一方、ウィスコンシン大を0点に抑えた。
 抑えるというよりも、ウィスコンシン大が一切無理な攻撃をしなかったからにほかならない。オハイオ州立大は重要な最終ランキングで4位に滑り込んだ。


 組み合わせは先に述べた通りで、1位と4位、2位と3位が準決勝で対戦する仕組みである。使用するスタジアムもアラバマ大がSEC常用のルイジアナ州のシュガーボウル。オレゴ大はPac12優勝校として、おなじみのローズボウル。まるで最初から話が仕組まれていたかのような会場に、それぞれが形よく納まった。


 開幕前の各スポーツ誌の予想は、どこも4校の内3校が当たっていた。オクラホマ大が鍵で、今シーズン随分活用したスティールズ誌は、オクラホマ大の代わりにオレゴン大を入れていれば、組み合わせから順番まで全部的中だった。
 アスロン誌も同様だった。要はオクラホマ大を入れるかどうかで、スポーティングニューズ誌もオクラホマ大の代わりにオハイオ州立大を予想に入れていれば正解だった。スポーツ画報(イラストレーテッド)はオクラホマ大とオレゴン大、その少年版はオーバーン大とオハイオ州立大、ESPNのイヤーブックはオクラホマ大とオハイオ州立大。ともかく4校ドンピシャの的中はなく、6誌とも1校が食い違った。チームの力量を考えると、ことし選ばれた4校は妥当な線だったようだ。


 しかし、疑問が残る。4校の試合ぶりを短く取り上げたが、フロリダ州立大の苦戦をのぞけば、どれもワンサイドゲーム。ここまで来て選手権戦出場目前の、組織の仲間の足を引っ張りたくない、といった意識が働いたに違いない。
 そこで大勝しながら順位が下がったBig12のテキサスクリスチャン大(TCU)のケースが注目されることになった。


 TCUはベイラー大とともに11勝1敗でBig12のリーグ優勝を分け合った。選手権ランキングではベイラー大5位でTCUが6位となった。TCUの1敗はベイラー大に負けたもので、ベイラー大は西バージニア大に喫した黒星だった。
 米国では同率の場合、同率校同士の勝敗を重視することが多い。6位から5位へ進んだベイラー大はともかく、TCUの3位から6位への後退はベイラー大との勝敗が理由かとも考えられる。


 相手は同リーグ下位のアイオワ州立大で、TCUはこれを55―3と一方的に下した。選手権ランクへの好影響を狙って、相手への配慮があったのではとの風評が立ち、これが影響したようにも言われている。
 しかし、これについてチーム関係者は「前日のPac12の王座戦で北地区のオレゴン大が、南地区のアリゾナ大に51―13で大勝したのと同じだろう」と不満をぶちまけている。


 TCUは3位まで進出したチームである。では前週のあの順位は何だったのだろう? 少し引っかかる。同一リーグ内の「仲間意識」と併せて、この問題は来年以降の宿題だろう。
 かつての南西リーグとビッグ8の合流ということで生まれたBig12の組織がまだ若いというのもマイナス材料、との声が上がってもいる。もちろん不利をこうむったTCUが、何らかの行動を起こせば、お伝えせねばなるまいが、今回はここでやめる。


 さてフロリダ州立大の無敗だが、選手権大会では2勝が可能。現在は13勝でこれを15まで伸ばせるかどうかが興味を引いている。全勝とくれば前週までは全敗チームがあった。AACの南メソジスト大(SMU)である。だがSMUは6日、コネチカット大を27―20で下して、全敗の憂き目を免れた。


 また8日の月曜日は、第80回ハイズマン賞の投票締め切り日でもあった。メディア関係者、ベテランフットボール記者ら929人の投票で決まる全米大学の最優秀選手の選定である。
 候補はすでに3人に絞られ、オレゴン大QBマーカス・マリオッタ、アラバマ大WRアマン・クーパー、ウィスコンシン大RBメルビン・ゴードンとスターの名が並ぶ。マリオッタを有力視する声が多いが、発表は12月13日。ニューヨークのダウンタウン・アスレチック・クラブで行なわれる。

【写真】アリゾナ大のWRジョンソンをタックルするオレゴン大守備陣(AP=共同)