本当は前回の原稿で直しておくべきだったと思うが、今回からランキングの表記を改めようと思う。これまでは「○位▽位……大」といった、もう一つよく分からない表現で、読者の方々を悩ませてきたが、これを「○位・・・・大」と簡単な形にしようと思う。


 実は海の向こうからの情報は、共同通信が契約しているAP通信のスポーツラインによるものが大部分で、カレッジフットボールもその中の必要と思われるところを拾い上げて、紹介している。特にランキングなどはすっかりご厄介になっているわけだ。
 AP通信はここで全米各地から見識あるフットボール記者60人を選び、順位投票を依頼した上で、AP通信のランキングとして発表している。


 今はないのだが、かつてUPIという通信社もあった。ここは、記者起用のAPに対し、有力校の監督を起用して、同様のランキングを発表していた。UPIが姿を消してから、スポーツ専門の放送局ESPNがこれを引き継いだ。
 実は現在どのような組織が引き受けているのかは不勉強で知らないのだが、監督投票のランキングもしっかり存在しているし、APはこちらのランキングも同じように取り扱っている。


 両者はそれほど違ってはいないのだが、並べて見ると相違が出たところ、共通したところなど、フットボール専門の記者たちと、チームの指導者たちとの考えの差が出て興味をそそられることがある。
そんなわけでこの「TURNOVER」では両ランキングを並べて扱ってきた。ところが今季、全米大学体育協会(NCAA)フットボール部門の1部Aに当たるFBS(フットボール・ボウル・サブディビジョン)が史上初の、トーナメントによる選手権大会を発足させた。


 これに伴って、大会出場チームを選ぶ選考委員会がスタートした。アーカンソー大の体育局長を務めたジェフ・ロングを委員長にいただくこの委員会は、出場校を選ぶために「第三の」ランキングを作り出し、10月の末からこれを発表するようになった。
 ただ、どのような基準に基づいてこの順位付けをしているのか、これがよくわからないが、従来のAP、監督両ランキング同様のベスト25の発表であることは間違いない。


 AP通信は前回、つまり11月4日、このプレーオフ投票のランキングに基づいた25校を選び出し、これをそのままベスト25が戦うゲームとして取り扱った。
 この週の原稿をまとめ始めてから、初めて気がついた。「あれ、この大学、APのベスト25と順位が違うじゃないか」ということになって、三つのランキングを比べてみると、記事や成績に採用されているランキングは間違いなく、選考委員会のものだった。


 AP通信社は自社のランキングをよそに、やはりシーズン最後の催しである選手権大会ためのランキングに寄り添っていたのだった。だったとしたらAPのスポーツ線を利用している当方としては、これを無視するわけにはいかない。
 今回から、私も選手権用のランキングに準拠して記事をまとめることにする。これは読者の方々にとってもホッとする出来事だろう。
 「25位24位の」という順位を二つも目にするわずらわしさから、やっと逃れられるからだ。実は筆者自身が一番ホッとしているのだが…。


 記事スタイルの変更のお知らせはともかく、ランキング校が登場した11月15日は波乱が目立った。5校がお休みで、合計15試合、うちランク校同士の対決が5試合を数えた。 その中で最も注目されたのが、5位アラバマ大が1位ミシシッピ州立大を倒した一戦だろう。


 プレーオフのランキングの1位とくれば、これはもう大会出場は約束されたも同然である。それだけにその座を目指し、確保する戦いはより激しさを増す。この日の午後、アラバマ州タスカルーサのブライアントデニー・スタジアムには10万人を超す大観衆が詰めかけた。


 意外な形で均衡が破れた。第1Q半ば、自陣5ヤード地点で試みたミシシッピ州立大第2ダウンの攻撃は、RBジョシュ・ロビンソンの左オープンへのランだった。これがアラバマ大の守備網の餌食となった。
 ロビンソンがタックルされた地点はエンドゾーンの中だった。セフティーの2点がアラバマ大に転がり込んだ。そればかりではなかったようだ。これでアラバマ大は試合の流れを引き寄せたのではあるまいか。


 キックオフの後、5分43秒と11プレーとを費やして、ゴール前19ヤードまでたどり着いた
アラバマ大は、アダム・グリフィスが36ヤードのFGを決めた。第2Qの半ばにはQBブレーク・シムズがWRアマリ・クーパーへ4ヤードのTDパスを通し、残り5分32秒にはRBデルリック・ヘンリーが1ヤードを突破して加点した。見事な速攻で、こうしたチャンスをきちんとものにしていくあたり、名門らしい試合運びだった。


 一方、ミシシッピ州立大はこの間無得点だった。アラバマ大にはいつの間にか19点を奪われていた。 前半終了直前、5分12秒と14プレーを費やして、必死の攻撃を見せた。
 しかしTDには至らず、エバン・ソビエスクの23ヤードのFGで3点を返しただけだった。第3Qもキックオフ後のドライブで粘り強く攻めたものの、これまたエンドゾーンへは届かず、ソビエスクが32ヤードのFGを決めたに過ぎなかった。このミシシッピ州立大に生気が蘇ってきたのは、第3Qの終盤からだった。


 フレッド・ロスの好パントリターンでアラバマ大の38ヤードへ入り込んだミシシッピ州立大は、第4Qに入ってすぐ、QBダグ・プレスコットがRBフレッド・ロスへ4ヤードのTDパスを通し、13―19と6点差まで詰め寄った。ここでアラバマ大の反撃を断てれば、もう少し勝負はもつれたかもしれない。


 アラバマ大は続くキックオフから、じっくりと腰を据えて攻撃をつなぎ、76ヤードを6分7秒もの時間をかけてドライブ。その15プレー目に、T・Sエルドンが最後の7ヤードを駆け抜けてTDを奪った。
 2TD差をつけておけば安泰、と考えた2点のTFPは失敗に終わったが、このあと守備陣が手堅く守った。ミシシッピ州立大は残り15秒、72ヤードを13プレーかけたドライブを見せ、プレスコットが4ヤードのTDパスをWRジャメオン・ルイスへ決めたが、焼け石に水だった。名門、古豪のアラバマ大の試合運びに一日の長があった、という印象が強い。


 2位オレゴン大はこの週はお休み。3位フロリダ州立大は地元フロリダ州のライバル、マイアミ大と戦い、思いもかけぬ苦戦を演じた。ちょうどアラバマ大とミシシッピ州立大のゲームと似た流れだった。
 マイアミ大が先手を取り、第2Qで16―0とリードした。これをフロリダ州立大が追ったが、QBジェーミス・ウィンストンのパスがさえず、前半を終わって10―23とマイアミ大ペースにはまったままだった。
 ようやく第3Q残り4分19秒、ウィンストンが11ヤードのTDパスをTBのカルロス・ウィリアムズに決めて、17―23と差を詰めた。


 第4Qにやっとエンジンが掛かったフロリダ州立大は、相手の攻めをFG1本に抑える一方、自らは2FGで23―26とマイアミ大を捕らえ、残り3分5秒、TBダルビン・クックが26ヤードの快走で逆転決勝のTDを奪って全勝を守った。
 ミシシッピ州立大の全勝がなくなったこの週、全勝校はフロリダ州立大とUSA連盟のマーシャル大の2校のみになった。


 大ざっぱな地域別で、この週の波乱を追ってみる。まずは大西洋岸リーグ(ACC)では、ランク外のバージニア工科大が21位のデューク大を17―16で破った。同リーグでは同じ時刻に22位ジョージア工科大が19位クレムソン大と戦い、28―6で快勝した。


 中西部に移る。ここでは18位ノートルダム大が延長1回、ノースウエスタン大にFGを決められて敗れる波乱が起きた。ビッグ10では20位ウィスコンシン大が16位ネブラスカ大を59―24で破った。
ウィスコンシン大ではRBメルビン・ゴードンが大活躍。NCAA記録を更新する408ヤードを走り、4TDをマークして勝利に貢献した。また8位オハイオ州立大は25位ミネソタ大の激しい追い上げをかわし、31―24と1敗を守った。


 アラバマ大の勝利をはじめ、南東リーグ(SEC)は熱戦が相次いだ。15位ジョージア大は9位のオーバーン大に34―7と快勝。ランク外のミズーリ大はTBラッセル・ハンスブローのランを軸に、第3Qには大量4TDを挙げて逆転。24位テキサス農工大を34―27で破った。
 17位のルイジアナ州立大(LSU)は、ランク外のアーカンソー大に0―17とシャットアウト負けを喫した。アーカンソー大にとってはSECでの連敗を17でストップした貴重な勝ち星だった。


 ビッグ12ではテキサスクリスチャン大(TCU)が、第3Qにランやパントリターンで畳み掛けて、カンザス大を34―30と退け、これまた1敗をキープした。
 西海岸では太平洋12大学(Pac12)の競り合いが激化。14位アリゾナ大がワシントン大に先行されて苦戦、終盤の2FGで27―26と辛勝した。
 23位のユタ大はスタンフォード大と緊迫した守り合いを演じて延長戦へもつれ込み、2度の延長の末QBトラビス・ウィルソンがWRケネス・スコットへ3ヤードの決勝TDパス。20―17で白星を挙げた。また、ランク外のオレゴン州立大が21-27の終盤に2TDを重ねて35―27と、6位アリゾナ州立大に逆転勝ちする番狂わせも起きた。


 最後になったが、18日発表の選手権ランキングをご紹介する。1位がアラバマ大で前週の5位からジャンプアップした。2位オレゴン大、3位フロリダ州立大と続き、4位にミシシッピ州立大が残った。以下5位TCU、6位オハイオ州立大らが続いている。
 AP、監督両ランキングはフロリダ州立大が1位に返り咲き、以下アラバマ大、オレゴン大、ミシシッピ州立大、TCU、ベイラー大、オハイオ州立大、ミシシッピ大と8位までが同じ順位に並んだ。

【写真】ミシシッピ州立大のQBプレスコットをサックするアラバマ大のLBデプレスト(AP=共同)