全米大学体育協会(NCAA)のフットボール・ボウル・サブディビジョン(FBS=旧1部A)第11週は11月6、8日、米国の各地で熱戦を展開した。ランキング校は15位14位のネブラスカ大以外の24校が出場して、合計18試合が行われた。
 うちランキング校同士の好カードは6試合を数えた。独特の厳しいムードが漂うゲームが多いのは終盤戦に入ったからであろうか。


 この週、テキサス勢の奮闘が目立った。ランク校同士の勝者として、またランク外のチームがランキング校を倒す番狂わせの主役として登場した。南東リーグ(SEC)ではテキサス農工大が41―38で3位のオーバーン大を破った。
 ビッグ12(Big12)では名門テキサス大が24位25位の西バージニア大を33―16で退けている。もう少しテキサスにこだわる。Big12では10位ベイラー大(所在地テキサス州ウェイコー)が16位オクラホマ大に48―14で快勝、同リーグの優勝争いを左右する一戦で6位7位テキサスクリスチャン大(TCU)が、9位カンザス州立大を退けた試合、などがある。テキサス勢の活躍、まあ偶然だろうが、話題としてまとめてみた。


 まず注目されるのは、テキサス農工大の勝利、というよりもオーバーン大の敗退である。オーバーン大にとってはプレーオフへの望みが消える手痛い黒星だった。テキサス農工大は前半、1年生QBカイル・アレンのパスが好調で、4TDをマーク。加えて前半終了間際にはFGをブロック、リターンTDを記録するなど、35―17と大きくリードした。
 敵地へ乗り込んでの試合だ。負けてもともと。伸び伸びとゲームに臨んだテキサス農工大に対し、オーバーン大には高ランクに上げられ、選手権出場目前の緊張感があったのではあるまいか。


 この両校、実は第1週からランキングの高い位置で肩を並べていた。テキサス農工大はオーバーン大のすぐ後ろに付けていたが、10月に入ってからミシシッピ勢に連敗。さらにアラバマ大に0―59と完封されて、あっという間にランク外へ消えてしまった。
 しかし、こういう形でペナントレースを歩んできたチームには注意しなくてはならない。基本的に戦力は高く評価されていたのだから。だとすれば、オーバーン大の方に互角の相手、といった認識がどの程度あったのか。


 好パサーのアレンに伸び伸びとプレーされて、後手に回ったオーバーン大は、第3QにTDを返したものの、24―38とまだ差を詰め切れないでいた。ただ守備ではテキサス農工大をようやく抑え込み、第4Qにすべてをかける準備は整っていた。
 その第4Qの最初のプレーで、QBニック・マーシャルがWRクァン・ブレイへ31ヤードのパスを決めて、31―38と1TD差に追い上げる。テキサス農工大はジョシュ・ランボーの27ヤードFGを返して抵抗する。しかしここへきてQBマーシャルがエンジンをフル回転させ始めた。


 キックオフのボールはタッチバックとなったが、オーバーンはこの75ヤードを簡単に乗り切った。まずマーシャル自ら左へ走り2ヤード前進。テキサス農工大はここでフェースマスクの反則で、ボールを42ヤード地点へ進められた。
 オーバーン大はパス失敗の後の第2ダウンで、マーシャルがWRサミー・コーツに鮮やかなパスを通した。これが52ヤードのビッグプレーとなってゴール前6ヤード。マーシャルが再び左へ走ってTDを挙げた。この間わずか4プレー、1分12秒を費やしただけの切れのいい速攻だった。


 続くテキサス農工大の攻撃は、あっという間に終了する。点差は3点。オーバーン大の逆転は時間の問題と思えた。残り5分40秒から始まった攻撃は、3分近くを費やしたあと、RBキャメロン・アリスペインの5ヤードの突進で、ゴール前2ヤードに到達した。
 次にマーシャルがボールを持った。しかし遠い遠い2ヤードだった。テキサス農工大のSLBオタロ・アラカのタックルにボールがこぼれ、DEジュリアン・オビオハがこれを抑えた。残り2分37秒だった。


 オーバーン大はもう一度、チャンスをつかみかけた。残り1分29秒、相手の29ヤード線へ達し、ダウンを更新した。狙いは逆転TD。だめでもFGは取れる距離だ。その第1ダウン、位置についたマーシャルが相手を見て、プレーを変えようとした。そこへいきなりスナップが出た。
 センターとQBの間にどんな手違いがあったのか。つかみ切れずに転がったボールへ、テキサス農工大のDTアロンゾ・ウィリアムズが飛びついた。何の言い訳もできないターンオーバーである。運に見放されたオーバーン大だった。


 テキサス大はかつて、毎年のようにランキングに顔を出す強豪だった。SECといえばアラバマ大。Big8ならオクラホマ大。Big10だとオハイオ州立大かミシガン大。Pac8といえば南加大。そして南西リーグ(SWC)ならばもう間違いなくテキサス大、と名を挙げられた名門なのである。


 しかし、テキサスとアーカンソーの2州に根を張っていたSWCは近年、解散となった。テキサス大は同州の幾つかの仲間とともに、北隣のBig8に合流した。現在はその新しい組織、Big12の一員として活躍はしているものの、往年のリーグのリーダーとしての勢いはやや影を潜めているように見える。
 少し寂しく思っていたところだったが、この日、25位24位の西バージニア大を地元オースティンヘ迎え、9万5000余の大観衆にかつての強さを存分に味わわせた。RBジョナサン・グレイが強力な走りから3TDを挙げ、33―16での快勝。ランク上は波乱だが、昔を知るだけに「ふむ、ふむ」と思う。


 さてランク校同士のカードに触れる。まずは競り合いが続くBig12では、テキサス大と並ぶ名門中の名門、ランク16位のオクラホマ大が、地元ノーマンに、10位のベイラー大を迎えた。
 しかし8万5000の大観衆の前で14―48の完敗。第1Qに2TDを奪って14―3と優位に立ったのもつかの間、第2Qからは無得点に抑え込まれる一方、次々とTDを重ねられた。今季の勢いの差そのままだったように思う。


 勢いといえば、6位7位TCUと9位カンザス州立大は、リーグ優勝を目指すTCUの意欲が勝った形だった。立ち上がりから優位に立ちそのまま押し切ったが、中でもQBトレボン・ボイキンがランにパスに大活躍。パスで219ヤードを投げる一方、自らのランで3TDをマーク、カンザス州立大を寄せ付けなかった。


 SECは伝統の一戦だらけのリーグだが、近年ではアラバマ大とルイジアナ州立大(LSU)の対戦が大いに注目されている。両校が高いランクで、あるいは全勝に近い成績で顔を合わせるなど、話題に富む対戦が続いているせいであろう。
 ことしはLSUの地元バトンルージュがその舞台。タイガースタジアムには10万を超す大観衆が詰めかけた。


 LSUは第1Q、QBアンソニー・ジェニングスのTDパスで先行。アラバマ大は第2Q、QBブレーク・シムズのTDパスで追い付き、FGを決めて勝ち越した。しかしLSUは第3QにFGで追い付き、試合はそのまま膠着状態に入った。
 互いに堅守を見せていた。FG一本がすべてを決めようという戦局だった。そして第3Q残り50秒、LSUが勝ち越しのFGを決めた。


 しかしアラバマ大は残り3秒、アダム・グリフィスが27ヤードのFGを決めて延長戦に持ち込むことに成功した。
 先攻のアラバマ大は、いきなりシムズがブランドン・グリーンへ24ヤードのパスを決めた。だが、アラバマ大にレートヒットの反則。大きく位置を下げられたが、ここからがアラバマ大。ランプレーに軸足を移し、RBデルリック・ヘンリーがまず8ヤード、続いて1ヤード前進した。第3ダウン1ヤードでRBジャルストン・フォーラーが2ヤード突進して攻撃をつないだ。


 ヘンリーが再び3ヤードを稼いだが、ゴール前1ヤードでフォルススタート。5ヤード下げられたが、ここでシムズがWRのデアンドルー・ホワイトへ6ヤードのTDパスを通した。後攻のLSUはジェニングズが4本パスを投げたが、すべて失敗に終わった。プレーオフを考えるとアラバマ大にとって貴重な勝ち星だった。


 Big10の優勝争い13位11位オハイオ州立大と7位6位ミシガン州立大は激しい点の取り合いの末、49―37でオハイオ州立大が勝って、これまたプレーオフ出場へ望みをつないだ。
 太平洋12大学(Pac12)では5位オレゴン大が、20位22位ユタ大に51―27と快勝してプレーオフへ一歩を進めた。反面、選手権へ希望をつないできた8位ノートルダム大は、11位12位のアリゾナ州立大に前半大量点を奪われて、31―55と手痛い黒星を喫した。


 多くのランク校の厳しい戦いをよそに、1位ミシシッピ州立大はFCS(旧1部AA)のテネシー大マーチンがお相手で45―16と難なく白星。2位フロリダ州立大はランク外のバージニア大に食い下がられたが、34―20で無事全勝を守った。
 全勝は前週同様、この2校に中部アメリカン連盟(MAC)のマーシャル大の3校でいずれも9戦全勝。1敗のチームは9校が残っている。
 行数を取るが、1敗勢の名前だけでも書いておこう。組織のABC順である。ACCのデューク大、Big12のベイラー大とTCU、Big10のオハイオ州立大とネブラスカ大、山岳西部連盟(MWC)のコロラド州立大、Pac12のオレゴン大とアリゾナ州立大、そしてSECのアラバマ大である。

【写真】テキサス農工大が41―38でオーバーン大に勝った(AP=共同)