あまり海のこちら側の年寄りの白髪頭を揺さぶらないでいただきたい、とお願いしたくなるような波乱が今週も続き、ついにランキングの首位が交代。開幕以来首位を独走してきたフロリダ州立大に変わって、ミシシッピ州立大がトップの座に就いた。


 全米大学体育協会(NCAA)フットボール最上位FBS(旧1部A)の第7週は10月10、11日、米国各地で激戦を展開。南東リーグ(SEC)西地区の全勝対決でランク3位6位のミシシッピ州立大が同2位のオーバーン大に38―23で快勝し、12日発表の記者投票のAP通信のランキングと、監督投票のランキングの双方で首位に立った。


 フロリダ州立大はランク外のシラキュース大を38―20で退け、一昨年以来の連勝記録を22と伸ばしたが、2位へ後退した。フロリダ州立大の1位票は、APではミシシッピ州立大に12:45と33票の大差をつけられたが、監督投票では31:26と逆に5票差をつけた。
 3位には前回、同一ポイントでAPの3位を分け合ったミシシッピ大が入った。4位はビッグ12のベイラー大。5位には独立校のノートルダム大が続いた。


 ミシシッピ州立大は開幕から第3週までは両方のランク外だったが、第4週にLSUを倒していきなり12位へ上昇。第6週にはテキサス農工大を下して3位へ進み、この第7週のオーバーン大戦の勝利で首位へ上り詰めた。ランク外の第3週から足掛け5週間。これはAP通信によれば、1954年にオハイオ州立大がランク外から6週間で首位に躍り出たのを上回る、ランク上昇速度の新記録である。


 第7週は両方のランキングに名を連ねる26チームのうち、5校がお休み。ランキング校同士の対戦は5試合を数えた。その中で最も注目されたのが、ミシシッピ州立大とオーバーン大の対戦だった。場所は前回も紹介したミシシッピ州のスタークビル。ここミシシッピ州立大の本拠地で行なわれた決戦には、デビー・ウェードスタジアムの定員を上回る約6万3000の観衆が詰めかけた。
 そして勝負は意外にあっさりと決まってしまった。拍子抜けの感があった。両校の実力を超えた勢いのせいだろうと思う。それ以外の理由を無理に探すと、妙なこじつけになってしまいそうな気がする。
 第1Qにミシシッピ州立大が奪った3TD、21点は重い。無論、きっかけはターンオーバーである。


 始まって2分足らず。SSのジェイ・ヒューズがオーバーン大のQBニック・マーシャルのパスを自陣49ヤード地点で奪い取り、18ヤードをリターンして最初の好機を作った。手間はかからなかった。3プレー後、QBダグ・プレスコットがWRデラニーア・ウィルソンへ34ヤードのパスを通して先制した。


 この1分11秒後に追加のTDが入る。きっかけはまたもターンオーバー。マーシャルのパスを受けたWRダキール・ウィリアムズが数ヤードを前進した後でファンブル。これをLBベナードリック・マッキニーが相手32ヤード地点でリカバーした。4プレー後の残り11分30秒、ゴール前1ヤードをRBジョシュ・ロビンソンが突破した。


 これだけ幸運なTDを重ねれば、何も言うことはあるまい。ミシシッピ州立大はこのあと71ヤードを7プレーでカバーする堂々としたドライブを見せ、第1Q残り6分9秒、QBプレスコット自らが2ヤードを走ってTDを加えた。


 オーバーン大は第2Qからようやく反撃に転じた。しかしドライブはなぜかFG止まり。2FGの6点を返した後、パントリターンでミシシッピ州立大がファンブルしたのを押さえて、これをTDに結びつけた。
 だが、こんな幸運の後でも、流れはオーバーン大には戻らない。ミシシッピ州立大はキックオフ後の75ヤードのドライブを8プレーで乗り切り、残り3分58秒、またもプレスコットが自ら15ヤードを走り切って、28―13と突き放した。


 オーバーン大は第3Q半ば、99ヤードの大ドライブを演じた。4分近い時間と10プレーを費やし、マーシャルからウィリアムズへの15ヤードのTDパスを決めて締めくくったが、大勢は変わらない。
 一方ミシシッピ州立大は第4Q、75ヤードを10プレーで乗り切ってFGを追加。その上、直後のキックオフで、相手のファンブルを15ヤード線という絶好の位置で押さえ、2プレー目にロビンソンが1ヤードを突進して38―20とした。これで勝負が完全についた。オーバーン大はこのあとFGを返すのがやっとの状態だった。


 SECでは11日夜の3、4位ミシシッピ大が14位テキサス農工大の本拠へ乗り込むカードも注目だった。テキサス州カレッジステーションのカイルフィールドは、なんと11万余人の大観衆が詰めかけた。
 テキサス州での、またSECでの最大の観客動員記録という。しかし結果はミシシッピ州のスタークビルと同様だった。いやそれ以上に一方的だったのかもしれない。


 すっかり波に乗るミシシッピ大は前半3本のTDを挙げるとともに、テキサス農工大を無得点に抑えて勝ち星を手繰り寄せ、後半はその勢いのまま押し切った。
 QBのボー・ウォーレスが好調で、TDパス1本と自らのランで2TDを記録した。守備も良く第2Qと第4Qに一つずつTDを挙げる活躍を見せ、1962年以来の開幕6連勝を記録した。


 ビッグ12では5位3位のベイラー大が9位12位のテキサスクリスチャン大(TCU)と死闘を展開した。リーグの王座争いにふさわしい、激しい点の取り合いだったと言えよう。
 試合はTCUが2TDを先行し、これをベイラー大が追う展開。TCUは前半、4点差をつけて折り返し、後半は第3Qから第4Q序盤にかけて3TDと2FGをマーク、58―37と21点差をつけて、勝利をほぼ手中にしていた。


 しかしベイラー大はここから目を見張る大反撃。ハイズマン賞有力候補のQBブライス・ペリーが本領を発揮し、2TDパスを含む連続3TDで58―58と追いついた。
 延長必至と思われたが、ベイラー大は残り1分余りで44ヤードをじわじわと進み、その9プレー目、クリス・キャラハンが28ヤードの決勝FGを決め、61―58で辛勝した。最終プレーだった。


 1位フロリダ州立大はQBジェーミス・ウィンストンが3TDパスを通し、38―20でシラキュース大を退けたが、ランク外のチームに対して18点差の白星は少し物足りない。
 昨季のハイズマン賞受賞者が品のない発言で1試合出場停止となってから、フロリダ州立大には燃え上がりを欠いた試合が続いているようだ。
 出場停止といえば、13位10位のジョージア大のRBトッド・ガーリーもNCAAの規則に違反して大学側から出場停止を命じられ、23位24位のミズーリ大とのゲームを欠場した。試合は34―0でジョージア大が完勝したが…。


 このほか6位5位のノートルダム大がランク外の北カロライナ大と接戦を演じ、第3Qが終わった時点で35―36と1点をリードされる予想外の苦戦。だが、ノートルダム大は第4QにTDを奪うと、さっさと2点のコンバージョン。これに成功した後、さらにTDを加えて北カロライナ大を退けた。


 SECをこれまでリードしてきた7位アラバマ大はランク外のアーカンソー大と大接戦。14―13と1点差の勝利で終盤へ望みをつないだ。
 またビッグ12では、11位9位のオクラホマ大とランク外のテキサス大が戦った。オクラホマ大が31―26で勝ったが、得点経過を見る限りでは、さすが伝統の一戦、ランクなどには関係のない何かがたっぷりあったようだ。


 西の方では12位11位のオレゴン大が18位17位のカリフォルニア大ロサンゼルス(UCLA)を42―30で倒してPac12のタイトルへ意欲を示した。
 前週、恐るべき速攻を見せたUCLAは、この日は大量リードを許した第4Qに20点を奪う反撃を見せたが、結果はどうにもならなかった。またランク外の南加大は10位13位のアリゾナ大を28―26で破った。Pac12南地区は1位争いがもつれてきた。

【写真】突進するミシシッピ州立大のQBプレスコット(AP=共同)