今回をこれまで通り、余談、雑談から始めると、いくら温厚なわが編集長といえどもそうは辛抱してくれまい。「いい加減にしろ」と、どやされるに違いない。

全米大学体育協会(NCAA)のFBS(旧1部A)第6週は10月2、3、4日、米国の各地で熱戦を展開。ランキングの上位校に軒並み土がついた。本稿執筆中に、ちょうど台風18号が窓の外を通り過ぎていったが、それに比べても、負けず劣らずの大荒れであった。


 無論程度問題だが、このような週は年に1度ぐらいはある。ただ番狂わせの規模からいうと、頻度はもう少し低いかもしれない。ともかくこの週は、APと監督両ランキングを合わせて25校が登場し、18試合が行われた。
 うちランキング校同士が7試合。ランク校とランク外の対戦は11試合だった。お休みはAPランク24位、監督のではランク外のミズーリ大ただ1校だった。


 波乱の度合いをご紹介する。ランク校とランク外の顔合わせから見る。まず2日の木曜日に始まる。2位4位のオレゴン大が太平洋12大学(Pac12)のリーグ戦でアリゾナ大と全勝対決したが、24―31で敗れた。
 3日の金曜日はユタ州同士、ランク外のユタ州立大が35―20で、18位19位のブリガムヤング大(BYU)を下した。この時点で私は「よしよし、これであとはしかるべき雑談を用意すれば、1本上がりだ」とほくそ笑んでいた。ところがどっこい、事態はそんなに甘くなかった。


 土曜日の4日、生活時間帯でいうと日本では5日だが、この週末の関東学生は1部校下位の試合だったので家にこもり、向こうの成績を追いかけることに専念した。
 午前中、早くも波乱が入ってきた。ビッグ10のリーグ戦で、ランク外のノースウエスタン大が17位16位のウィスコンシン大を20―14でかわした。


 5日の午後になって、つまり向こうのPac12で番狂わせが起きた。ナイターでユタ大がカリフォルニア大ロサンゼルス(UCLA)に30―28で土をつけたのだ。ランク校とランク外との11試合のうち4試合で、波乱が起きたのだった。順当だったのは7試合ということになる。


 ランク校同士の注目の対戦は6試合だが、そのうちの3試合が全勝対決だった。まず南東リーグ(SEC)で12位14位のミシシッピ州立大が、6位7位のテキサス農工大をミシシッピ州スタークビルに迎え撃ち、コンスタントに得点を重ねて48―31で勝った。
 この3時間半後、ミシシッピ州立大から北北西へ百数十キロ、同州のオックスフォードに、11位のミシシッピ大が3位1位のアラバマ大を迎え、23―17と鮮やかな逆転勝ちを収めたのだった。


 もう一つの全勝対決は、ビッグ12の主導権争いとも言えた。両ランク25位のテキサスクリスチャン大(TCU)が4位3位のオクラホマ大を、37―33で破ったのだ。試合終了と同時に記録された逆転決勝のTDだった。
 アラバマ大の敗退も驚いたが、今季好調のミシシッピ大を考えると、ありうることではあった。しかし同時刻に行なわれた決戦でTCUがオクラホマ大を破るとは、びっくりだった。
 Pac12では16位20位の南加大が、監督24位のアリゾナ州立大に最終プレーでTDを決められて、34―38と黒星をつけられた。


 このほかのランク校対決は9位8位のノートルダム大が、14位13位のスタンフォード大と接戦を演じ、17―14で辛勝。SECでは5位オーバーン大が15位ルイジアナ州立大(LSU)に41―7と快勝し、ビッグ10では10位ミシガン州立大が27―22で19位17位のネブラスカ大に今季初黒星をつけた。


 確かに波乱の週である。中には勝ち進むことをひそかに期待していたチームが、思いがけない相手にポロッと星を落としたりして、がっかりすることもあるが、かといってランキング通りにことが進んだら、さぞ砂をかむような味気ないペナントレースになるに違いない。


 ということで、これから中盤戦に差しかかる旧1部Aを少し整理しておきたい。何よりも今年から始まるFBSの選手権大会の、選考に関わるデータを見ておく必要があろう。
 こちらからでは、どういう形になるのか見当もつかないが、まずはランキング、星取表などは必須の判断材料となろう。


 まずは全勝校である。9月の末、第5週で25校から17校へと大きく数を減らして10月戦線に突入した。しばらくはこのまま2,3校程度の減少で推移するだろう、と考えたが、甘かった。
 この波乱の第6週もあっという間に7校が姿を消して、現在はFBS128校のうち、10校が土つかずで残っているにすぎないのだった。知りたいでしょう。どこが残っているのか。たいしたスペースは取らないので列記する。


 AACは2校。大西洋地区のフロリダ州立大。海岸地区のジョージア工科大。ビッグ12も2校でベイラー大とTCU。USA連盟でマーシャル大が1校頑張っている。Pac12は南地区のアリゾナ大ただ1校。3校だったのがこの週で一気に減った。


SECは西地区のみ5校だったのが3校となった。オーバーン大のほかミシシッピ大とミシシッピ州立大だ。これで当然、ミシシッピ州の2校の健闘が話題となった。だが、やがてこの両校は11月の29日に対決する。それまで星を落とさぬように、と祈りたい気もしている。10校目は「独立校の雄」ノートルダム大である。


 ビッグ10はネブラスカ大が頑張っていたが、この週姿を消し、有力リーグでは真っ先に全勝チームがいなくなった。このほかアメリカン体育連盟(AAC)中部アメリカン連盟(MAC)山岳西部連盟(MWC)サンベルト連盟(SBC)はかなり早い時期から全勝チームは底を突いていた。
 なお全敗は、AACの南メソジスト大(SMU)、MAC東地区のケント州立大、マサチューセッツ大、SBCのトロイ大とアイダホ大の計5校である。


 さてこう見てくると、一番気になるのは二つのランキングである。第5週の凡戦でポイントを落としたフロリダ州立大は、今週はウェークフォレスト大と相手にも恵まれて43―3と快勝し、かつての勢いはないが、両ランクの首位を確保した。
 QBジェーミス・ウィンストンはパス、ランに地力を発揮し無難だった。第5週の監督のランクで1位となったアラバマ大は後半、12位14位のミシシッピ大のQBボー・ウォーレスのパスを封じることができず、3本のTDパスを次々と決められ、首位の座を明け渡すこととなった。


 第4Qにウォーレスの34ヤードのパスで追いついたミシシッピ大は、残り2分54秒にウォーレスがRBジェイレン・ウォルトンへ10ヤードのパスを決め、キックはブロックされたものの23―17と勝ち越した。


 4位3位のオクラホマ大と25位のTCUは、TCUが主導権を握って試合を進め、オクラホマ大が追いつくという展開だった。31―31で第4Qに入ってすぐ、TCUはLBのポール・ドーソンがオクラホマ大QBトレバー・ナイトのパスを奪い、41ヤードをリターンして決勝のTDを挙げた。
 TFPをブロックされてTDを許し、2点を取り返されたものの、TCUは残りの14分余りの間、この4点差を守り抜いた。


 こうした波乱の週末の引き金? になったのが、先に述べた2日のアリゾナ大と2位4位オレゴン大の熱戦ではあるまいか。全くの冗談だが、少しそんな気もする。
 アリゾナ大は第3QにRBのニック・ウィルソンが大活躍。2本のTDランを記録した後、1年生QBアヌ・ソロモンの34ヤードのパスを受けてTD、オレゴン大から24―14とリードを奪った。


オレゴン大は第2Qにマーカス・マリオッタがレシーバーとなってTDを挙げるなど工夫を凝らして見せたが、肝心のパスは不調。ランプレーも抑えられて第4Q半ばに追いつくのが精いっぱい。アリゾナ大は残り2分54秒にRBテリス・ジョーンズ・グリズビーが1ヤードを突進して決勝TDを挙げた。


 こうしてランキングの上位は総崩れ。6位7位のテキサス農工大もQBケニー・ヒルがパスを3本も奪われる一方、12位14位のミシシッピ州立大のRBジョシュ・ロビンソンに走られて先制の2TDを許すなど、後手に回った。


 アリゾナ大を倒したミシシッピ大と、このミシシッピ州立大とは、この週APランキングで3位の座を分け合うことになった。両校とも1320点と全くの同点で、上位ではこうしたケースは極めて珍しい。もっとも 1位票はミシシッピ州立大に2票入ったのに対し、ミシシッピ大はゼロだったという違いはある。
 さて今週黒星をつけられた各校は、アラバマ大が7位、オクラホマ大が11位9位、オレゴン大が12位11位へ後退した。


 ウェークフォレスト大に43―3で勝ったフロリダ州立大は、一時の勢いはないものの、この結果両ランクとも首位の座へあっさり返り咲いた。2位へはLSUに41―7と快勝したオーバーン大が入った。
 APの3位は今述べた通り。監督の投票の3位はテキサス大を下したベイラー大が占めた。注目されるのはスタンフォード大を接戦の末17―14で倒したノートルダム大で、APでは6位だったが、監督投票のランクでは5位へ進んだ。


 さてこうして見てくると、やはりもう一つの話に触れなくてはなるまい。選手権戦への出場校である。最終的には選考委員会が決めるものの、これからの一戦一戦はその貴重な材料集め、データの公開といえる。
 特にベテラン新聞記者60人、有力大学監督62人の意思を集約した二つのランキングは、選ぶ者たちにとって、最も重要な資料にほかならない。


 開幕前に各雑誌、新聞等であれこれ発表されてきた選手権出場校のリストは、こうして10月の声を聞いた途端、大きく揺らいでしまった。現時点で残っているのはフロリダ州立大ただ1校。もちろん後退したチームが出場校のリストに戻ってくることもあるが、全部ではあるまい。


 アラバマ大が一歩退いた後へはやはりSECからとなって、オーバーン大が大きくクローズアップされる。ビッグ12ではベイラー大ががぜん脚光を浴びる。
 しかし、Pac12で独走態勢をつくりかけていたオレゴン大に変わるチームは、現時点では見当たらず、しいて言えばアリゾナ大になろうか。ビッグ10ではオハイオ州立大が早い時点で後退したため、現在ではミシガン州立大が着実に足元を固めている。またほかになければ、ミシシッピ勢も有力と見ていい。


 実はこの週、これらに代わる、かなり有力なチームが現れてきた。AP6位、監督5位のノートルダム大である。順位は高いし、何よりも全国区のファン層を持っているのが強みでもある。選手権戦へ、これからの楽しみがまた一つ増えた。

【写真】アラバマ大を破り、試合終了と同時にフィールドになだれこむミシシッピ大のファンら(AP=共同)