海の向こうもいよいよ開幕である。全米大学体育協会(NCAA)のフットボールは、8月28日の南カロライナ大―テキサス農工大などの試合で、2014年シーズンの火ぶたを切り、1月12日の史上初の大学選手権決勝で幕を閉じる。


 開幕に先立って、7月末には有力校の監督らが投票するランキングが、8月17日にはフットボール記者が投票するAPランキングが相次いで発表された。
 NCAAのFBS(旧1部A)128校を対象とした歴史豊かなこのランキングは、60人の記者と、62人の監督がそれぞれ25校連記で毎週投票。1位に25点、2位に24点、以下1点ずつ減らし、25位に1点を与え、これを集計してそれぞれの順位を決める仕組みである。


 今年度は両ランクとも前年の王者で、大西洋岸リーグ(ACC)のフロリダ州立大がトップで、2年連続4度目の王座を目指す。同時にQBジェーミス・ウィンストンは2年連続のハイズマン賞に挑む。


 なおAPのランキングで開幕前の投票が始まった1950年以降、開幕時1位校が王座に就いたケースは10度あり、フロリダ州立大は1993年と99年の2度、その栄誉を獲得している。今回は3度目の挑戦である。
 また99年は開幕前から最終ランキング発表までのすべての投票で、1位を堅持した。これは1972年の南加大と71年のネブラスカ大に次ぐ偉業で、フロリダ州立大は4度目の実現に挑むことになる。


 フロリダ州立大は記者投票のランキングで、1位票57票を集め、1496点を獲得した。満票だと1500点なので4点の不足。2位に2票、3位に1票が投ぜられたことになる。
 監督投票では1位票が56票、1543点を得た。満点は1550点で6票分の7点が足らない。2位には5人が入れ、3位には1人が入れたわけである。


 2位は南東リーグ(SEC)のアラバマ大、記者投票では1位票1票で1361点。監督投票では1455点を得たが、1位票はなかった。
 記者投票では3位が太平洋12大学(Pac12)のオレゴン大、1位票1で1334点。監督投票ではビッグ12(Big12)のオクラホマ大、1位票を3票得て1382点だった。4位は両校が逆になり、記者投票ではオクラホマ大が1位票1の1324点。オレゴン大が1位票1の1314点を得た。


 5、6位はビッグ10(Big10)のオハイオ州立大と、SECのオーバーン大だった。記者投票5位のオハイオ州立大は1207点、続くオーバーン大は1198点。
 監督投票ではオーバーン大が1271点で、オハイオ州立大は1位票が1入って1267点だった。7位以下は17位まで、両ランキングとも同じチームが顔を並べた。


 7位はPac12のカリフォルニア大ロサンゼルス(UCLA)で記者投票1106点と監督投票1085点。8位はBig10のミシガン州立大で1080点と1050点。9位はSECの南カロライナ大で1015点と1009点で監督の1人が1位票1を投じている。10位はBig12のベイラー大、966点と965点を得ている。


 以下、点数を省略して校名を列記する。11位はPac12のスタンフォード大。12位はSECのジョージア大。13位はSECのルイジアナ州立大(LSU)。14位はBig10のウィスコンシン大。15位はPac12の南加大。16位はACCのクレムソン大。17位は独立校のノートルダム大である。


 18位からも両ランキングは多少の食い違いはあるものの、ほぼ同じ顔ぶれだ。記者投票は18位がSECのミシシッピ大で、以下Pac12のアリゾナ州立大、Big12のカンザス州立大、SECのテキサス農工大、Big10のネブラスカ大、ACCの北カロライナ大、SECのミズーリ大、Pac12のワシントン大と続く。
 監督投票ではアリゾナ州立大、ミシシッピ大、テキサス農工大、カンザス州立大、ネブラスカ大、北カロライナ大、Big12のテキサス大、ワシントン大の順である。なお、テキサス大は記者投票では28位。ミズーリ大は監督投票で26位につけている。


 こうして両ランキングには併せて26校が登場し、このほかにも記者投票では24校、監督投票では26校に票が入っている。両者のダブりを整理すると、1票でも投票があるランキング外のチームは計32校、すべてをひっくるめると、128校中58校、ほぼ半数に近いチームに、何らかの評価があるというわけだ。


 リーグ別では、どちらもご想像の通りSECが最多の8校をランキングに送り込んでいる。念を押すが、14校の内の8校、つまり加盟校の半数以上がベスト25のメンバーなのだから、レベルに関してリーグ外との勝敗数を持ち出すまでもあるまい。
 地区では西が5校と東の3校を上回る。二番手はPac12。半数の6校が、南北3校ずつランキングを彩っている。


 続いてはBig10とBig12が、同数の4校で続く。Big10は東西各2校。ただ東地区がランキングの上位を占めるのに対し、西地区は半ば以下に納まる。
 しかし、やがてシーズンの大詰めに至ったとき、リーグの優勝決定戦が東有利に動くかどうか、このへんが米国のカレッジフットボールの妙味なのである。


 地区制のないBig12は、2校ずつランクインである。ランキングの半ば以上と下位とに分かれて納まっている。
 フロリダ州立大が君臨するACCだが、ランキング入りは3校止まり。アトランティック地区に2校、コースタル地区に1校と、リーグ全体の水準から見て妥当なところに落ち着いている感じだ。


 さて、あと1校はご存知ノートルダム大。このチームがランキングにいるかいないかで、その年の盛り上がりようが決まるのではないかと思いたくなる。
 アラバマ大と王座を争った2012年度などは、独立校の存在感を示した年だった。この日本にない魅力的な仕組み、私は好きである。


 第1週は8月28日から31日までの4日間が充てられた。意外だったのはここに挙げた26のランキング校全部が、この開幕週に登場していることである。これまではそうではなかったので、ちょっとびっくりした。
 かつて強豪校は第2週あたりから登場するのが普通だったので、随分様変わりしている印象を受けた。それに本来はランキング校といっても、日程そのものはずっと以前から決まっているわけで、ランキングの方が後からついてきたのだから、偶然といえば偶然なのである。


 第1週の好カード、つまりランキング校同士の対戦などを、少し紹介する。まず28日は南カロライナ大がテキサス農工大をホームに迎える。SECの順位争いに響く注目の一戦である。
 30日はフットボールシーズンがいっぺんに真っ盛りとなったような趣で、フロリダ州立大、アラバマ大、オレゴン大、オクラホマ大、オハイオ州立大、オーバーン大とランク上位校が顔をそろえる。注目はジョージア大とクレムソン大の対戦。ランクの順位から見ても、好勝負となろう。順位と言えばもう一つ、LSUとウィスコンシン大も大接戦を演じてもおかしくはない。


 好カードとして取り上げたわけではないが、日曜日の31日にベイラー大と南メソジスト大(SMU)の試合が組まれていた。日曜の試合は時々あるが、開幕週にいきなりは珍しく思えた。
 なおランキング校が出場する試合はこの週合計23。この中には無論番狂わせもあるだろうし、それが楽しみでもある、と言ったら意地悪過ぎるかな。

【写真】全米で2位にランキングされたアラバマ大のQBコーカー(AP=共同)