本場のカレッジフットボールを紹介する現場へ、久しぶりに戻ってきて、各チームとその所属リーグがピタッとこないことに、少し戸惑っている。
 昔と今と、間隔が開いているせいか、それとも私の年のせいか。理由はともかく、これを間違えると話がトンチンカンになるので、書くときは結構気を使う。


 かつてはビッグ10(Big10)や南東リーグ(SEC)など、間違えようがなかったが、近年はこうした強豪のリーグでも、少しずつ規模や広がりに変化が出て、年ごとの確認が欠かせなくなった。とりわけ東部の諸校は、1980年代までは「独立校」で一くくりにできたのだが、その後「ビッグイースト」という組織となり、そのリーグも10年ほど前に解体した。


 現在では方々の有力リーグへ散らかっているので、昭和一桁生まれの爺さんにとっては、これを覚えるだけでも一苦労である。
 全米大学体育協会(NCAA)1部Aをリードする5大リーグでこれだから、その次のクラス、例えば中部アメリカン連盟(MAC)など、実力の一段低い組織は、参考の雑誌と首っ引きの状態である。


 「参考書」は今、3冊ある。プロのNFLの「参考書」がたくさんあるのに比べ、カレッジは少ない。千葉から上京するたびに、マメに紀伊国屋や丸善を回っているのだが、NFLとは根本的に異なる。
 昔のことだが、カレッジの雑誌が多い時代もあった。現在はせいぜいこれらの「参考書」の表紙、裏表紙、扉付近の広告でしか見ることができないが、地域ごとの「イヤーブック」まで入荷していたのだ。銀座のイエナで、その全部を包んでもらい、紙袋に入れて、えっちらおっちら会社(共同通信)のデスクまで運んだ記憶が懐かしい。


 今回初めてお目にかかった「参考書」だが、「フィル・スティールズ」という名の雑誌がある。1995年に創刊されて、今年は20周年の記念の年だそうだ。
 後発として足元を固めようとしているのだろう。他誌よりも細かくデータを並べて、存在感をアピールしている。ここまでやらなくても、と思ったほどだが、その目次には驚いた。こういう雑誌では(当然のことだが)目次に1部128校の校名をアルファベット順に書くだけなのだが、このPS誌は校名の次に、所属リーグ名と地区名とを加えていた。「Ohio St…Big10 East…54(ページ)」という調子である。


 日本のならばともかく、米国の雑誌である。 当初は「え、こんなのいるの」と思ったが、米国でも1部校の所属リーグと所属地区は、必ずしも誰もが知っているわけではない。
 びっくりしたものの、白髪の老人にとっては大変ありがたい試みだった。このページを毎年きちんと取りのけて整理しておけば、各チームが組織を移動するのを、簡単に知ることができる。


 話を変える。今年度のNCAAの話を始めたとき、1部Aに当たるFBSとAAに当たるFCSの数を紹介した。FBSが128校で、FCSの方を123校とした記憶があるが、FCSは後で調べ直して134校だったことが分かったので、今回訂正して置きたい。
 この数字、多分今年度はもう出てこないと思うが、引用する向きがあれば申し訳ないことになるので、謹んで改訂する。


 本題へ戻る。この128校は今年度から、4校のトーナメントによる選手権大会で全米のチャンピオンを決めることになった。どこが強いのかを検討することは、どこがこのトーナメントに出場するか、を探ることでもある。
 前回も述べたが、今年から始まるこの全米大学フットボール選手権大会は全米から選りすぐりの4校が出場。新年1月1日、ルイジアナ州ニューオーリンズでの「シュガーボウル」と、カリフォルニア州パサデナでの「ローズボウル」で準決勝を行う。決勝は1月12日、テキサス州アーリントンの「AT&Tスタジアム」である。


 出場の報酬は、準決勝が1800万ドル。今年度は大会の舞台から外れてはいるが、1月1日に開かれるオレンジボウルやフィエスタボウルなどの報酬と同額になっている。
 決勝は2200万ドルに増額だそうだ。出場校は選考委員会で決めるのは、前回述べた通りである。


 それでは素人なりに出場を目指す4校を探ってみる。128校の中からといって、予想はそれほど難しい問題ではない。全体の半分を占める5大リーグから選ばれるのはまず間違いないからだ。もっとも、さっきから5大リーグを繰り返しているが、念のためおさらいしておく。


 米本土の東から大西洋岸リーグ(ACC)=2地区各7校、SEC=2地区各7校、Big10=2地区各7校、ビッグ12(Big12)=10校、太平洋12大学(Pac12)=2地区各6校、以上の5リーグである。
 全部で64校。年度によってはここに独立校のノートルダム大を加えねばならないこともあるし、ブリガムヤング大(BYU)が名乗りを上げることもある。


 読者を悩ませようなどという意地悪なことは、毛頭考えていない。しかし既にお気づきの方がおられると思う。そう、出場枠は4。しかしリーグの数は5。
 選手権大会の構想が具体化したとき、多くの識者の間から、これでもうランキングという、あやふやな順位決めはなくなったとの声も上がった。だが、ベスト4の選定には誰しも納得できるものが必要である。
 やはり最終的にはどこかでランキングの助けも必要、となってくる。リーグ戦の成績は首位または首位に準じる成績。ランキングは無論上位ということは、黒星は限りなく「ゼロ」に近い成績が必要になる。


 こうした条件を考えてくると、まずはACCで圧倒的に有望視されるフロリダ州立大を「ベスト4」のトップに持ってこなくてはなるまい。
 QBのジャーミス・ウィンストンをはじめ、安定度を高く評価される攻撃ライン、逸材を並べたDB陣とどれをとっても群を抜いている。ACCではほかには強固な守備ラインを持つクレムソン大や、攻撃力のいい北カロライナ大もあるが、フロリダ州立大の独走は止まるまい。注意するべき相手としては、10月18日のノートルダム大を挙げる程度である。


 SECにいく。ACC同様にアラバマ大の独走だろう。昨季、初の3連覇を目指しながら終盤で星を落としたあの苦い味は忘れられまい。ニック・セイバン監督としては、もう一度手綱を引き絞って史上初の選手権大会に臨む。
 レギュラーシーズンは11月29日のオーバーン大との決戦まで、これといった難敵は見当たらない。昨季辛勝したテキサス農工大も、今季は戦力がいまひとつ。油断がなければすんなり乗り切れそうだ。最後の「伝統の一戦」がアラバマ大のすべて、といえそうだ。


 Big10はオハイオ州立大とミシガン州立大との争い。11月8日に東地区のタイトルを懸けて激突するが、今季のBig10はこれで決まりそう。もっとも、ミシガン州立大は開幕第2戦にPac12の優勝候補オレゴン大と敵地で顔を合わせる。
 オハイオ州立大以上の強敵だが、ここをどう戦うかがポイントといえる。西地区はウィスコンシン大が一歩リードしている。


 Big12はオクラホマ大がベイラー大と競り合う。オクラホマ大は特に守りに優れ、全米級のLBエリック・ストライカーが見事に全体をまとめている。一方ベイラー大はQBブライス・ペティの年季の入ったリードが光る。
 両校の対決は11月8日。対照的なカラーを持っているだけに、勢いをつかんだ方が栄冠に輝きそう。なお、伝統の一戦オクラホマ大ーテキサス大は10月11日。こうした試合は往々にして優勢を伝えられた方が取りこぼすケースが多い。オクラホマ大注意である。


 Pac12はオレゴン大を先頭に微差でカリフォルニア大ロサンゼルス(UCLA)、スタンフォード大、南加大さらにアリゾナ州立大が続く。
 QBマーカス・マリオッタの評価が図抜けて高いオレゴン大だが、守りでラインの手薄さが指摘されている。UCLAは堅い守りと、QBブレット・ハントリーのパスが看板である。


 しかし、強敵との対戦が続き、日程がいたって厳しいのがPac12で、有力校といえども、これを全勝で乗り切るのは至難の業だろう。バランスのとれた攻守を誇るスタンフォード大や堅守の南加大なども、この「星のつぶし合い」に遠慮なく参加してくる。
 果たしてどこが最小黒星でここから抜け出せるか。こうした実情を見ると、5リーグの中では「ベスト4」の座は一番遠そうに思える。


 こんなわけで「参考書」では2誌が、ローズはアラバマ大―オハイオ州立大、シュガーはフロリダ州立大―オクラホマ大、と同じ予想を立てた。もう1誌はローズがアラバマ大―オクラホマ大、シュガーがフロリダ州立大―オレゴン大とBig10を外して、Pac12のチームを登場させている。
 ともかく成績とランキングに注目しながら、2014年のシーズンを楽しみたい。

【写真】昨年、アラバマ大を破る大金星をあげたオーバーン大(AP=共同)