ポジション別の「「オールアメリカ」の選手数だが、QBとRBを比べると、QB1に対してRBは2以上はいそうである。1チームだと1対3、1対4だって不思議ではない。
 前回、カレッジで注目を集めるQBを何人か取り上げた。米国の各地に散らばっていた。各有力リーグに、全米一を狙える力量と評価されるQBが、最低一人はいた。そうだろうな。だから各地で盛り上がるんだ、と勝手に一人で納得し、さあ次。RBの番と、イヤーブックのオールアメリカを繰ってみて驚いた。


 偏っていたのだ。南部と中西部とにである。もちろん今年だけの話だろう。具体的にリーグの名を言うと、南東リーグ(SEC)とビッグ10(Big10)である。末席に大西洋岸リーグ(ACC)の選手が二人入っているが、これはむしろリーグの代表選手に近い扱いである。
 ともかくオールアメリカだから、QB1に対してRBは2。2軍、3軍が普通だが4軍までつくっている雑誌もあって、この6人から8人を紹介すれば十分と考えていたが、他の有力リーグはどうなると突っ込まれると、少々悩んでしまう。


 ま、愚痴をこぼさず始めるか。最初はSEC。ジョージア大3年のトッド・ガーリーが群を抜く。ハイズマン賞の有力候補にも挙げられていて、前回紹介したQBたちと肩を並べる。
 昨季は足首のねんざで3試合ほど休んだが、とにかく大きくて速い。身長185センチは並だが、体重が105キロ強。100キロを超えるRBは少ないが、ガーリーはそれでいて俊敏だし、当然当たりも強い。
 アスロン・スポーツ誌は、編み込んだ長髪をヘルメットの下からなびかせるガーリーの写真説明に「この男をタックルしたいとは、誰も思うまい」と書いている。

 もう一人のRBキース・マーシャルもSECを代表する好RBだが、足をけがして昨季は8試合を休場した。二人を交互に使えれば、ジョージア大のランプレーの威力は計り知れないものがある。
 アラバマ大のラン攻撃は、ジョージア大以上と評価されている。軸は3年生のT・J・エルドン。昨季は合計で1200ヤード余りを稼ぎ出しているが、とりわけルイジアナ州立大(LSU)から133ヤード、テキサス農工大から149ヤード、オーバーン大から141ヤードと、強敵相手に限って好成績を残し、一躍全米から注目されることとなった。


 つまり単にオールアメリカというのではなく、ハイズマン賞の候補として有力視されているわけだ。もし受賞に至れば、アラバマ大にとって2009年のRBマーク・イングラム以来2度目の栄光となる。
 アラバマ大のRBはほかに、デルリック・ヘンリー、キーナン・ドレークといったタレントが数多く存在する。名簿をつくるのが目的ではないので、すべては書かないが、走り手に関していえば、質量ともに恵まれたチームである。


 このほか南カロライナ大の3年生、マイク・デービスも出色のRBである。かつてフロリダ大を指揮し、パスのチームとしてその名を天下にとどろかせたスティーブ・スパーリア監督が、今度は南カロライナ大をランのチームとして売り出しにかかっている、のだそうだ。南部の力比べは、今季も目が離せないようだ。


 Big10に移る。まずはウィスコンシン大の3年生メルビン・ゴードンが突出している。1プレー当たり8・1ヤードと高率の数字を残しているが、、ほかならぬBig10という水準の高い組織での平均前進距離だけに、そのまま評価しても全く差し支えあるまい。
 2年生にコーリー・クレメントという逸材もいるので、互いにいい影響を及ぼし合うだろう。


 ネブラスカ大の4年生、アミーア・アブダラーもこのリーグを代表するRBだ。昨季はリーグをリードする1690ヤードを記録した。3年生に100キロを超す大型のRBのイマーニ・クロスがいて、短い距離はすべて任せることができるので、それなりのいい数字を残せることができた。
 こうしたケースは個人賞を議論するときには強みである。ミシガン州立大の4年、ジェレミー・ラングフォードと並んで個人記録争いが激しくなるだろう。


 他のリーグではACCのフロリダのマイアミ大の3年生のデューク・ジョンソンという快速のRBが注目される。バージニア大の4年生、ケビン・パークスも出色だ。
 フロリダ州立大では4年生のRBカーロス・ウィリアムズの走力も買われている。昨シーズン、1年生でハイズマン賞を手にしたQBジェーミス・ウィンストンのパスを下支えする走り手の一人だ。


 Big12とPac12は、リーグ代表クラスのRBをご紹介しよう。雑誌に「オールアメリカ」として掲載されなかっただけのことで、実力は全く遜色あるまい、というのが私の考えである。
 一つ波に乗ると驚くような成果を上げ、チームの栄冠に貢献する様は、これまで毎年目にしてきた。こうした意外性がフットボールにはいっぱいあって、これが楽しいのである。


 米国の内陸部に位置するBig12はその昔、ビッグ8と呼び、オクラホマ州、ネブラスカ州という合衆国の地図で見れば、薄茶色に塗られた州の大学が活躍していたリーグである。
 のちにその南に広がるテキサス州の諸大学を中心とした南西リーグが解散。ビッグ8との合併再編が行われて、現在の形となったのはご承知の通り。組織の中心にはオクラホマ大、テキサス大といった、大学フットボール史を飾る「力」のチームが腰を据えている。


 そのリーグにオールアメリカのRBがいないというのはどういうことか、と少し悩んでみたが、これも仕方あるまい。
 そもそも「力」と言えば「ランプレー」と決めつけるのもおかしな話で、正直、感覚的な表現で取り上げているものを、あまり具体的に語らぬ方がいいのではと思う。事実この地域は、太平洋戦争前はパスが多用され、高名なパサーを生み出しもした。またショットガンの前身ともいうべき、スプレッド・フォーメーションも生まれている。


 で、RBだが、テキサス大の4年生マルコルム・ブラウンとベイラー大の2年生、ショック・リンウッドが双璧のようだ。テキサス大には3年生のジョナサン・グレイもいて、レベルは高い。この2校を追うオクラホマ大は、2年生キース・フォードの評価が高い。


 太平洋12大学(Pac12)は、かつてPac8であった。米本土の太平洋岸には日本の方を向いて北からワシントン、オレゴン、カリフォルニアと州が三つ並んでいる。(アラスカがあるではないか、と混ぜっ返さないで欲しい。話が混乱する)
 ワシントンとオレゴンにはそれぞれ二つ、カリフォルニアには四つチームがあったところへ、アリゾナの2校が登場し、近年、ユタ大とコロラド大が加わって12大学となった。


 ここで強いのは、昔から南カリフォルニア大(略して南加大)である。今季は代表的RBに3年のジャボリウス・アレンがいる。ライバルのカリフォルニア大ロサンゼルス(UCLA)の4年生、ジョードン・ジェームズとの争いは見ものである。
 もう一人、オールPac12と言えるのが、オレゴン大の3年生バイロン・マーシャル。2年生にトーマス・タイナーという相棒がいるのも心丈夫だろう。このほかアリゾナ州立大のD・J・フォスター、スタンフォード大のバリー・サンダースらも注目すべき存在といえる。

【写真】今季、けがから復帰する注目のRBの一人、マイアミ大のジョンソン=(AP=共同)