年が明けて、やはり35もあるボウルゲームを少しは総括しておかねば、と考えた。リーグごとに成績などをまとめてみると、傾向のようなものが出てこないかと思ったが、はっきりした答えは見つかっていない。


 さて、この35のボウルゲームはすべてが「有力校」同士の試合である。既にご承知だろうが、全米大学体育協会(NCAA)の有力校は、昔の表現で言えば「メジャー」、あるいは「1部A」といわれる125校に絞られる。これは無論、2013年度の話で、年によってこうした数字は、どんどん変化するのはご存じだろう。
 この125校は10のカンファレンスに分かれている。ほかに、どのカンファレンスにも所属しない独立校が6校ある。この有力校群の下に「1部AA」「2部」「3部」があり、このほかに別組織の全米大学対抗競技協会(NAIA)がある。私どもが取り上げるのは、言うまでもなくこの125校にほかならない。


 定着するまで、何度でも繰り返すが、最初に取り上げた「カンファレンス」は、本稿の中では以後「リーグ」と表現するので、ご承知いただきたい。組織、連盟…訳語は何でも、幾つでもあるのだが、日本のスポーツ界では、この「リーグ」が一番通りがよくて、間違われることがほとんどないからである。
 それにカンファレンスに比べて、字数が少ないのがいい。リーグを翻訳した言葉ではなくて、日本に定着した「外来語」と考えれば、それほど違和感もあるまい。


 本題に戻る。平素はこの各々のリーグ内の試合と、よそのリーグとの対戦とが混じり合って、通常の日程が出来上がっている。試合数は12か13で、今年度は8月最終週の週末から、12月の第1週週末までの15週がそのレギュラーシーズンの期間だった。
 ただ陸海両士官学校の伝統の一戦だけは、12月第2週に組まれていた。そしてボウルゲームは12月の第3週週末から始まり、新年の1月6日の選手権試合で幕を閉じた。


 1部AA以下はレギュラーシーズン後に、それぞれトーナメント形式の選手権試合を組み、それぞれのチャンピオンを決定する。1部AAは16校のトーナメントで、決勝戦まで行くと15試合を戦うことになる。今回は1月4日にテキサス州フリスコで決勝が行われ、北ダコタ州立大が35―7でタウソン大に完勝し、3連覇を飾った。15戦全勝の見事な成績である。


 話がどんどん脇道へそれていくのが私の悪い癖だが、ついでに書いておかねばならないことを思い出した。新聞記者が投票するAP通信の最終投票に、この北ダコタ州立大の名があったのにはちょっと驚いた。ランキングでの順位の発表は通常25位までで、それ以下は通常「投票があったチーム」としてランク外で処理される。もちろん北ダコタ州立大は正式にはランク外だが、ポイントは17点あって、いわば29位に当たる位置に納まっていた。


 実はAP通信のランキングで、1部A以外の投票を認めているのを、私は今回初めて知ったわけだ。資料が完備していないので、はっきりしたことは言えないが、これまでにもこうしたケースはあったのだろうと思う。確かに土つかずの15戦全勝なら、投票される資格はありそうである。
 1980年代にオクラホマ大の大監督バリー・スウィツァーが、1位票を自校に入れないで、唯一の全勝校に投じた話を書いたが、大勢に流されずに、こうした個性的な行動はいかにも米国だな、と思う。日本でこんな一票を投じたら、「犯人捜し」に始まって、規約の不備だ、やれ何とかだと大騒動になりそうな気がする。


 ただ北ダコタ州立大が25位以内、つまりランキングに入っていたらどうなったか。「今年は1部AAのチームに投票したやつがいたんだぜ」と、大らかに話題にしただけで済んだかどうか。ちょっと知りたい気がする。また同時にこの投票、何人分だったのかも気になる。25校連記なので、もし北ダコタ州立大への投票が一人だったとしたら、この記者は間違いなく9位に入れていることになる。クレムソン大、オレゴン大、中央フロリダ大クラスの評価だったわけだ。


 本題に戻る。まずランキングだが、無論1月6日、カリフォルニア州パサデナのローズボウルでの選手権試合を制した王者フロリダ州立大が、記者投票、監督投票ともに満票で1位となった。APは60票で1500点、USAトゥデーなどが使用する監督投票は3人ほどがサボって、59票1475点となっている。このフロリダ州立大に惜敗した南東リーグ(SEC)のオーバーン大も2位をキープした。3位にはローズボウルでスタンフォード大を退けたビッグ10のミシガン州立大が入った。


 ボウルゲームに10校を送り込んだ南東リーグ勢は、7勝3敗の好成績。シュガーボウルで敗れたアラバマ大が7位へ後退したものの、南カロライナ大がAPで4位、監督投票で5位、ミズーリ大が監督投票で4位、APで5位とベスト5に3校が名を連ねた。
 このほかAPランキングでルイジアナ州立大が14位を守り、テキサス農工大が18位へ上がり、ランク外からバンダービルト大が、ランク外へ消えたジョージア大と入れ替わるように24位へ顔を出した。計7校のランキング入りはリーグとしても全米トップの好成績である。


 これに次ぐ好成績は太平洋12大学リーグ(Pac12)だろう。ボウルゲームには9校が指名され、6勝3敗と勝ち越した。ただリーグ優勝のスタンフォード大、南地区トップのアリゾナ州立大がともに敗れて、ランキングではSECのような上位独占、とはいかなかった。最上位はアラモボウルでテキサス大を退けたオレゴン大で、10位から9位へ上がって面目を保った。ローズボウルを落としたスタンフォード大は5位からAP11位、監督10位へ後退した。


 アリゾナ州立大は20位へ順位を下げ、代わってカリフォルニア大ロサンゼルス(UCLA)がサンボウルの白星で順位一つを上げて16位。ランク外からは南加大が19位へ滑り込んだ。ほかにランク外からワシントン大がAP25位へ入って計6校がランキングに名を連ねた。ほとんど下位ではあるが、数だけでいえばSECに次ぐ。


 ボウルゲームの出場校数でいえば、大西洋岸リーグ(ACC)の11校が最多だった。私の感覚でいえば、昔はビッグ10、ビッグ8、SEC、SWC、Pac8といった「5大リーグ」が幅を利かせ、ACCはこれに次ぐ存在だった。当時の東部独立校や、山岳体育連盟とほぼ同格の扱いだったのを、今しみじみと思い出す。チャック・ミルズ氏がこのリーグに所属するウェークフォレスト大を伴って、2度目の来日を果たしたのも、ついこの間だったように思われる。


 そのACCはフロリダ州立大が見事に全米チャンピオンの栄冠を獲得し、クレムソン大がオレンジボウルで、ビッグ10の古豪オハイオ州立大に競り勝ったが、もう一つのコースタル地区の上位校が軒並み黒星を喫して、盛り上がりを欠いた。
 11校の成績は5勝6敗。ランキングに顔を出したのは、フロリダ州立大のほか、クレムソン大がAP8位、監督7位と高位置を占めたものの、シックフィラボウルでテキサス農工大に競り負けたデューク大が、辛くもAP23位、監督22位に踏みとどまっただけで、計3校に終わった。


 名門ビッグ10は7校出場で2勝5敗。ミシガン州立大がローズボウルを制して、8位から3位へ躍進したほかは、上位がさえなかった。オハイオ州立大がAP12位、監督10位とランクを落とし、ウィスコンシン大も南カロライナ大に敗れてAP22位、監督21位へと後退した。ネブラスカ大がジョージア大に勝って監督ランクの末尾につけて、ランク入り4校と面目を保った。


 ビッグ12も6校出場で3勝3敗。名門オクラホマ大がシュガーボウルでアラバマ大を破り、11位から6位へとランキングを上げたのはさすがだった。しかしベイラー大が中央フロリダ大に、オクラホマ州立大がミズーリ大に敗れてランキングを下げた。
 テキサス大の敗戦と合わせ、かつての強豪が枕を並べて討ち死にとは、さえない結末だった。ランク校は3校。ボウルゲーム開幕前と変わらなかったのが救いだった。


 アメリカン体育リーグ(AAC)は、先にも触れたが、中央フロリダ大がベイラー大を倒し、ルイビル大もフロリダ州のマイアミ大に大勝して、ともにランキングを上げた。5校出場だったが、あとの3校は黒星を喫した。このリーグはかつてビッグイーストと名付けられたリーグの後継組織で、それ相応の実力はあるのだが、あまりにも地域に統一性がないのが難。略称もACCとAACといった具合で、間違えやすい。


 このほか独立校では、名門ノートルダム大がニューヨークで行われたピンストライプボウルでラトガーズ大に快勝し、レギュラーシーズンでの25位から21位にランキングを上げた。独立校勢は3校が出て2勝1敗だった。残りの4リーグはカンファレンスUSA(CUSA=表記をリーグにするといっても、こればかりはカンファレンスを書かないとどうしようもない)が6校出て3勝3敗。ミッドアメリカン(MAC)が5校出場で全敗の憂き目を見、マウンテンウエスト(MWC)は3勝3敗だった。新興のサンベルトは出場2校が全勝した。
 ボウルゲームは書きだすと、一つ一つが独立しているため、ついはまり込んでしまう。このユニークなスポーツイベント、折あればまた触れてみたい。

【写真】FCS選手権に勝利して、喜ぶ北ダコタ州立大の選手たち=4日(AP=共同)