ね、言った通りでしょ。NCAA1部Aの125校中、全勝チームはとうとう1校だけ。自慢するわけじゃないが、シーズン序盤で全勝って難しいと、言ったのがすっかり当たってしまった。先だっては、往年のオクラホマ大の名将が語った、キザなセリフなんぞを引用したが、本当にフロリダ州立大だけになってみると、ここも果たして全勝のまま乗り切れるかな、と思ってしまう。


 12月の第1週、5日、6日、7日に、全米の各1部リーグのレギュラーシーズン最終戦やプレーオフが行なわれ、それぞれのリーグチャンピオンやボウルゲームの出場チームが一斉に決まった。全勝にこだわるわけではないが、この3日間で2校に初黒星が付いた。
 まずは6日、中部アメリカン・リーグ(MAC)の東西両地区1位で争う王座戦で、APランクの16位にいた西の北イリノイ大が、東のボーリング・グリーン大に27―47で敗れ去った。今季通算12勝1敗はどう見ても好成績だが、それでもリーグの王座は通算10勝3敗のボーリング・グリーン大に譲らざるを得ない、ということになる。


 次いで7日、ビッグ10で全勝街道まっしぐらのオハイオ州立大に土がついた。前週まで主だったランキングはすべて2位、リーダーズ地区を12戦全勝で制した同校だったが、この日はAPランキング10位で通算11勝1敗とレジェンズ地区1位のミシガン州立大と、中立地域のインディアナポリスで対戦した。だが、第4Q一気に2TDで14点を奪われて、24―34と初黒星に涙をのんだ。これでオ州大はリーグの王座は無論のこと、2007年度以来のボウル・チャンピオンシップへの出場の望みも絶たれた。


 一方、リーグ優勝と選手権試合への出場権をかけた、全米注目の南東リーグ(SEC)の王座決定戦は、すさまじい点の取り合いの末、西地区1位のオーバーン大が東地区を制したミズーリ大を59―42で下し、リーグの栄冠と選手権戦への切符を手に入れた。オーバーン大は通算12勝1敗、ミズーリ大は11勝2敗。オーバーン大としてはシーズン半ば、ルイジアナ州立大(LSU)に21―36で敗れた試合が、悔やまれるところだ。


 太平洋12大学(Pac12)では北地区のスタンフォード大が、南地区のアリゾナ州立大に38―14で勝った。ビッグ12は地区がないので、この7日がリーグ最終戦。リーグ内の成績で7勝1敗が3校いたが、その中のベイラー大が30―10でテキサス大に2敗目を付け、2敗のオクラホマ大が1敗のオクラホマ州立大を33―24で破ったので、ベイラー大の優勝となった。


 さて一番肝心なフロリダ州立大だが、これはデューク大を相手に45―7と楽勝だった。大西洋岸リーグ(ACC)の王座戦は、アトランティック地区で8戦全勝、通算で12戦全勝のフロリダ州立大がハイズマン賞候補のQBジャメイズ・ウィンストンの活躍で、ハイパワーオフェンスの威力を存分に発揮。無傷のまま選手権戦に臨むこととなった。フロリダ州立大が選手権戦に臨むのは、今回が初めて。全米チャンピオンは2000年(1999年度)のシュガーボウルでバージニア工科大を倒して以来となる。


 何かというと、すぐトリビアめくのが私の癖だが、これで今季のレギュラーシーズンは終了したわけではない。もう一つだけ12月14日に、陸軍と海軍の両士官学校の対戦がある。日本で最も知られたカードで、よく「世界の3大対抗戦の一つ」などと呼ばれる。語呂がいいし、なんとなくもっともらしいが、これはよくお分かりの通り、日本国内だけで通用する表現で、本人たちに言ってもきょとんとされるのが落ちだ。ちなみにスポーツマスコミあたりで使うのは、ほかにケンブリッジ―オクスフォードのボートレース、そして野球の早慶戦、とこうなっている。要するに「早慶戦」を飾る「3大対抗戦」なのだ。


 陸海対抗戦のほかに、エール大とハーバード大の試合を持ってくることもあるが、おかげでフットボールの宣伝になるのは歓迎したい。もう一つちなみに念を押しておきたいのは、「Navy」の日本語表記だ。日本では昔から「海軍」とくれば「兵学校」といってきた。これは昔々軍国少年だった者としては、間違いようのない事実である。しかし私は、もとより共同通信は「海軍士官学校」と表現する。年配の方々から「無知だ」といわれそうだが(昔、これで編集局長、整理部長らと大ディスカッションをした記憶がよみがえる)「無知」といわれる方に無理があることを書いておきたい。


 つまり、日米の海軍教育機関の違いをどう認識するかの問題だと思う。実は昔の日本の海軍は、直接戦闘にかかわる「士官」を養成する「海軍兵学校」のほかに、船を動かすメカを学ぶ「海軍機関学校」、海上を移動する都市の運営者を育てる「海軍主計学校」の三つに分かれていた。米国はこれらが一つになっている。従って「海軍士官学校」なのだ。面倒だが、NCAAでは今後も陸海の対戦を扱う機会はあるだろう。したがってこの区別はこれからもきちんとしておきたい。


 さて各リーグの優勝校について語ったが、米国のフットボールでは、タイトルとランキングは必ずしも一致しない。「なんでや」といわれても、これだけは心得なくてはならない。
 ランク1位のフロリダ州立大と2位のオーバーン大が1月6日、カリフォルニア州パサディナのローズボウルを舞台に大学選手権戦で対決するのは、その通りである。ややこしいのは3位以下である。注目のBCSランク3位は前週無念の黒星のアラバマ大となった。アラバマ大は1月2日、ニューオーリンズのシュガーボウルに11位のオクラホマ大を迎える。相手のランクなどを考えると、3年連続「全米一」の夢は消え去ったといえる。


 4位はミシガン州立大で、カードは1月1日のローズボウル。ランク5位のスタンフォード大との対戦だ。昔通りの「Pac12」と「Big10」の王者同士が相まみえる。なお1月6日のローズボウルは、スタジアムの名称としてで、この1月1日のローズボウルは昔からの催しとしてのローズボウルであることを念押ししておきたい。
 35もあるボウルゲームを全部書くと、間違いなく編集長に怒られるので、あと一つ二つにする。


 3日のオレンジボウルはランク7位へ後退したオハイオ州立大が、12位のACCのクレムソン大と対戦。1日のフィエスタボウルはランク6位のベイラー大がアメリカン体育リーグ(AAC)の王者でランク15位の中央フロリダ大と顔を合わせる。昔の4大ボウルの一つだった3日のコットンボウルは、ランク8位のミズーリ大と13位のオクラホマ州立大の対戦となった。
 来年からはプレーオフ制の導入という。今年ようやく35ボウルに追いついた者としては、また新たに勉強のし直しとなる。ああ!

【写真】守備選手を飛び越えてTDを決めるフロリダ州立大のQBウィンストン=12月7日(AP=共同)