ダイエットを開始したのが7月の下旬でした。そこから3カ月が経ち、ゆっくりですが順調に体重も19キロほど減少し、体のサイズも幾分小さくなってきました。


 たまーに「ちょっと痩せた?」と言われるようにもなってきました。でも余分な皮下脂肪はまだ山ほど体中にへばりついています。
 ざっと見渡して20キロ分はあるかと思います。簡易に体の成分を測る機械に乗ってみれば約30キロの脂肪が残っているようです。体重80キロになれば体脂肪率ゼロになれるそうです。


 痩せると良いことがいくつかありました。まずは就寝時の寝返りが楽。椅子から立ち上がるときに楽。車の乗り降りが楽。犬の散歩も楽。
 そしてグラウンドで歩いたり駆け足したり立っていたりが楽。つまり日常生活の全てが随分と楽になりました。


 しかし良くないことも二つあります。まず、服が大きくなってしまいサイズが合わなくなる、という問題です。
 特にズボンです。大きなサイズなので滅多にジャストサイズが見つかりません。たまにバーゲンで見つけると買いだめしておくのですが、これがかなりブカブカになってしまい、一度も着ることなく大きめのお友達にあげちゃう事態になりそうです。これが悔しい。


 そしてもう一つは「寒い」ということです。子どもの頃から暑がりの僕は、みんなが寒いと言う日も半袖でウロウロするという感じでした。


 ですから東京や大阪にいる限りは、寒すぎるという感覚は長時間オートバイに乗るだとかの特殊な環境下でないと感じたことがなかったのです。
 昨年から始めたフットボールのコーチも、寒さよりも夏の暑さ対策の方が深刻で、昨年の冬も寒さなど何も気にならなかったのですが、今年は違います。


 「日本てめちゃくちゃ寒い!」と知りました。そこに雨でも降ろうものなら大変です。薄くても温かいというキャッチフレーズの下着を探してみたり、スキー場で使うために買ったスノーブーツを履いたりと、大混乱です。
 年を取って体から湧き出る熱量が減ったということも考えられますが、何よりも約20キロ分の「脂肪と筋肉」が秋の間に体から消え落ちたわけですから、体感温度は激しく下がるのは当然でしょう。


 「コーチってこんなに大変だったの?」と先輩コーチに聞いて回っても、ほとんどの人は慣れきっていて「うん、まあこんなもんじゃない?」と、寒さに関しては特別な意識はないようです。


 しかし今はまだ10月。僕の記憶では2月まで寒い日が続くのが日本の気候だったはずです。
 ライスボウルの1月までとかそういう問題ではなく、勝ち残っていようがどうだろうがランニングバックの鍛錬は年がら年中休みなどありませんので、この先も厳しい自然の中で戦っていかねばなりません。油断しているとクシャミと鼻水が出て風邪までひいてしまいかねません。


 とはいえ、まだ100キロ以上ある肥満体ですので、少しでも運動すればたちまち汗だくになり体はずーっと熱いままです。
 それじゃあ少しジョギングでもして、体を温めればイイじゃんとはなりません。昔は少し鳴らした運動選手でしたが、それはタッチダウンがしたいから頑張れただけで、今はあまり運動したくないのです。


 今回のダイエット計画も、アドバイザーからはトレーニングもちゃんとするようにと言われていましたが、犬の散歩とコーチでグラウンドをウロウロする以外は全く運動せずに食事制限だけでやっています。


 大阪に長く住んでいて、沖縄に移住するときにダウンジャケットやその他の防寒着は全て処分してしまい、冬服を多く持っていません。
 少しは持ってはいるのですが、全てオシャレな街用ですので汗だくの大男たちに接触して汚されたり破られたりはイヤな服ばかりです。


 夏も帽子をかぶると日陰にはなるけど通気性が悪く余計に暑くなったり、短パンだと虫に刺されまくったりと、問題は多発しました。
 そして快適な秋は一瞬で過ぎ去り、いきなり雨の多い冬が来てしまいました。コーチの体温調節問題は、僕がこれまで関わってきたフットボールのいろいろな問題に比べて非常に難しく、対処しきれていません。
 試合日などは、チームの〝制服〟を着用しなくてはなりませんので、暑さや寒さの調節もかなり制限されます。


 「服を重ねて着て体温を調節する」という、都会の人間なら普通にできるテクニックが、僕には著しく欠落しているようで、まだしばらくは研究を続けていかねばならない感じです。
 着込みすぎると暑くなって脱いでしまう。薄着だと寒さを感じてしまう。世の中の人が天気予報を毎日チェックしている理由が少し理解できたような気がします。


 暑いか寒いか雨か雪か、どういう服を着て外出するかを検証するためでもあったのですね。48歳になって、タッチダウンより難しいことが世の中にはたくさんあるのだと知りました。


 さて、いよいよ僕の所属するXリーグのノジマ相模原ライズは、10月29日のリーグ最終戦で今季負けなしのパナソニックとの試合を迎えます。
 全勝のパナソニックとリーグ最終戦で対決。僕はこれを、選手時代に嫌というほど経験しました。彼らにはランプレーが全然通用しなかったという悪いイメージが頭に焼き付いていますが、それは忘れて選手たちにはしっかりと仕事をしてもらおうと思います。


 同じ日には、教え子がいる早稲田大学も日本大学との全勝対決があります。ずーっと頑張ってきたみんなの笑顔が試合後に見られればいいな、と思っています。
 ノジマの試合を終えて会場に僕が到着するのは後半になりそうです。リーグ後半戦で、いきなりの難敵ですがガンバレ早稲田ボーイズ!

【写真】試合前のコイントスで、パナソニックの山中正喜主将と握手するアサヒ飲料時代の中村多聞さん=撮影:佐藤誠