ノジマ相模原ライズの秋のリーグ第2戦の相手は強豪オービックでした。台風が迫って来ているとかで、会場の富士通スタジアム川崎は雨でした。
 僕が指導しているランニングバック(RB)陣には「雨で手が滑ってボールを落とすなどのネガティブなことは考えずに、練習してきたことを全力でしっかりやろう」なんて気休めを言いましたが、内心は心配でなりません。


 僕は自分がチームの主力時代に土砂降りの雨での試合というものをそれほど経験したことがない上に、NFLを見ていても正直雨の日には絶対ファンブルするものだと思っています。
 せめて試合中だけでも、シトシト降らなければいいのにと願っていました。


 その日は、ほぼ同時進行で早稲田大学が明治大学との試合を、東京の調布市にあるアミノバイタルフィールドで行っていました。
 こちらは本来なら夕方キックオフの予定でしたので、ノジマの試合後に移動するつもりでしたが、台風の接近で開始が早まり、試合時間が重なってしまったのです。


 30キロしか離れてない場所ですので、お天気は同じく「土砂降り」です。ですからこちらもファンブルしないか心配です。
 早稲田のRB陣は昨年のエース格二人が卒業でいなくなり、試合経験の少ない2、3年生が中心に編成されています。


 「大失敗した後の精神的フォローや叱咤激励はどうすんねん」などと、心配ばかりです。「監督やコーチがいるので大丈夫だよな」なんて感じで、試合前に電話で少し気合を注入することしかできませんでした。


 さて、ノジマは前半0―7とリードされハーフタイムを迎えました。僕の担当する攻撃側はいろんなことがうまくいきません。
 常時フィールドポジションが悪かった上に、オービックのファインプレーに阻まれます。そして自分達のミスもあり後半立て直していくしかありません。


 そこで情報が入ってきました。「早稲田対明治は7―0だよ!」と。「おー、何とか勝ってるのか安心」と思ったのもつかの間、ノジマと同じ0―7でリードされていることが分かりました。
 でも細かい内容まで気にしている余裕はありませんので、後半に向けて気合を入れるだけです。


 結局ノジマは三つのインターセプトと一つのファンブルロストの計4ターンオーバーを献上してしまいました。オービックは0です。
 ロースコアのゲームな上にターンオーバーレシオが「-4」で勝つのは難しく、0―14と無念のシャットアウト負けを喫してしまいました。


 この負けでションボリしているところに早稲田の新情報が入ってきました。「早稲田逆転勝ち! 23―7だよ!」
 「あーよかった。逆転勝ちか。ヤリよるなーあいつら」。内容はあとで調べればわかるので素直に喜びました。
 でも「なんで前半負けていたのか。まさかRBが大チョンボしてないやろな」という思いが頭に浮かびました。


 しかし、シャットアウト負けというのは3部リーグの学生時代は3試合ありましたが、社会人以降は経験がありません。
 ノジマはショットガン隊形がベースで強肩アメリカ人QBガードナーがパスを投げまくる攻撃スタイルですが、このゲームでは3人のRBに合計20回ものランプレーが与えられました。


 ファンブルロストはありませんでしたが、チームの期待には応えることができず、ロングランもタッチダウンもありませんでした。
 平均でたったの3・8ヤードという、情けない結果でした。もっともっと練習やミーティングで技術を向上し、強大な相手への対応力を少しでも身につけていくしかありません。


 また今週末も徹底的にシゴいて次節の「IBMビッグブルー」との対戦に備えます。
 IBMには、僕がフットボール界に戻って来るきっかけを与えてもらった恩がありますが、秋のリーグ戦では僕自身初対決ですので少しワクワクしています。


 そして早稲田RB陣とは試合後に反省ミーティングでいろいろ修正をし、試合経験の多い僕の立場から見るとまだまだ彼らは場数踏む必要があります。
 緊急事態やトラブルが起こったりすると力を発揮できなくなりますので、そこは練習でもっと緊張感を持って日々を送るしかありません。


 練習場は、彼らRB同士のレギュラーポジション争いの戦場です。練習場では、試合よりも必死で戦わなければならないのです。
 仲間ですが自分がスターやヒーローになるためには、まずはチームメートとの競争が待っています。病気やけがも選手としての価値に関わってきます。


 監督やコーチは選手の巧さや強さ、速さだけでなく熱意や気合、賢さ、ズルさといった部分を見て評価します。
 まだまだ未成熟なみんながこれからどこまで伸びるのか、とても楽しみですね。また明日からシゴキますので覚悟してくださいね、RB諸君。

【写真】雨中の試合となった9月17日の明大戦で独走する早大RB元山=写真提供・早大アメリカンフットボール部