エックス(X)リーグでは、本場アメリカの大学でバリバリに活躍していた「アメリカン」がドンドン増えてきています。
 ここで言う「アメリカン」はアメリカの大学でプレーしていた選手を指し、実際の国籍はアメリカ合衆国でないかもですがそこは関係ありません。


 好プレーを連発してファンや関係者を驚かせたアメリカンの最初って誰だったでしょう? 富士通のレシーバーだったブラッド・ブレナン氏はいい選手でした。
 体のサイズは日本人と変わらず、競り合いに強く肝心な時に頼りになるレシーバーとして記憶に残っている方も大勢いらっしゃることでしょう。


 そしてオービックの守備ラインであるケビン・ジャクソン選手ですかね。相手オフェンスの目論見を破壊しまくり、チャンピオンシップでもMVPを獲得するなど「チームを勝たせる守備選手」として現在も活躍中です。


 そもそもアメリカンを雇える資金力のないチームは、優勝することができないという根本的な理由もありますが、まあそれは置いておいて、近年ではアメリカンのいないチームが勝利(優勝)することはほぼ不可能となりました。
 アメリカンは自チームを勝たせることはもちろんですが、相手チームがそのアメリカンを攻略するために過去の日本式フットボールの概念を取っ払った訓練、つまりアメリカ式の練習を積まなければならず、否が応でもレベルがアップする、という効能も持ちあわせています。


 数年前、IBMにQBケビン・クラフト選手が登場してパスを決めまくるオフェンスを展開した時はどうなることかと思いましたが、好きなように暴れさせないように各チームが工夫をしてうまく止めています。
 あらゆるポジションに多くのアメリカンが出てきていますが、まだまだ「日本人選手の健康を脅かす危険な存在」という事態には至っていません。
 しかし、本国アメリカでNFLを目指してもその夢が叶うのは毎年200から300人程度。9割がクビになる世界です。


 じゃあNFLの職場からはじかれた人は、とりあえずフットボールで食いつなぐことができる道を模索すると「俺らの実力があれば楽にそこそこ稼げる国があるらしい。ジャパンとかいう国だ」となってきています。ですから今後もXリーグにやって来るアメリカンは増え続けます。


 マイナス面としては、アメリカンの流入によって日本選手が実戦から遠のいてしまっているという問題があります。
 これを解消していかないと、アメリカンがいるポジションの選手が伸びません。学生さんもXリーグに行ってもアメリカンが幅を利かせているし、試合に出られないなと考えてしまうと、そもそも競技人口の少ないマイナースポーツが滅んでしまいます。


 QBで考えると、本場で本物クラスの選手が来れば日本選手ではチーム内での競争に勝てません。QBというポジションはそれほど頻繁に交代しないので、あくまでも「ホケツ」という立場を押し付けられてしまいます。
 入部する人が減り日本人のレベルが下がるのでは。いやいや、打倒アメリカンという高い目標に向かって頑張るから青春なんだとさまざまな意見もあるでしょうが、これはタモンの戯言ですので、どのように定義づけようが僕の勝手です。


 「Xリーグに行っても、どうせホケツやしなー問題」と、先ほど少し触れた「日本人の健康を脅かす問題」が頭をもたげてきます。
 日本に来る選手のレベルがもっと上がってきて、アメリカンとまともに対抗できるハイレベルな日本人が正面衝突した時に問題が出てきます。現在はアメリカンとの差が有りすぎてそれほど大きな〝事故〟は起きていません。
 しかし、アメリカンと真っ向勝負できる体力と技術を持つハイレベルな日本人が育ってきたら〝事故〟は起こります。


 また「お金がないからアメリカン雇うん無理やわ問題」も面白いリーグを作るためには明らかな不平等が生じています。
 資金の問題はアメリカンの雇用だけではなく練習用グラウンドやミーティング環境、リクルーティング、トレーニングや健康管理などの予算など全てに影響します。
 Xリーグはフィールド上での戦いなどほんの少しの要因でしかなく、チームを取り巻く環境の全てが勝負の分かれ道となっていることは皆さんご存知でしょう。 


 これらを鑑みて僕の夢の中で新ルールを制定しました。。新しいリーグ名はもちろん「ゴリゴリリーグ」となります。
 試合会場周辺では楽しいイベントが開催され、ディズニーランドに行くくらいワクワクする週末になるイベントにしてしまうのです。
 以下が僕の構想です。


・アメリカンは全員同額でリーグが雇い、ドラフト会議で振り分け、ビザも用意した上でアメリカンの人数分の通訳さんも用意する
・「NFL経験者は不可」の規制を取っ払い、引退したスーパースターも引っ張り込む
・ アメリカンのプレー可能期間は秋の2シーズンのみとし、日本のために残るべき選手に関してはオーナー会議により1年を2度までの延長を許可する
・ アメリカンの試合出場はアメリカンシリーズ(注1)のみとする
・ チームに入るアメリカンの人数は15人とし、1プレーに出場できる人数は5人まで
・ アメリカンは遠くの観客でも判別できるようなユニホームを着用する
・ 各クオーターのラスト4分は国内選手シリーズとなる
・ アメリカンが挙げたタッチダウンは4点とする
・ アメリカンが決めたフィールドゴールは2点とする
・ 獲得ヤードなどアメリカンの立てた記録は日本人記録とは別にしてアメリカンだけで競う
・ 練習やミーティングなどチームの公式行事にはリーグが用意した調査員を常時置き、リーグがアメリカンをコントロールする
・ リーグが開催する日本を学ぶ授業を毎週受講しなければならない
・ アメリカンは希望する中高大学生の家(条件を満たす必要あり)にホームステイする
・ サイン会やトークショー、メディア出演などの仕事には全アメリカンが参加する
・ 契約は7月から12月までの6カ月
・ 勝利ボーナスや決勝進出ボーナス、優勝ボーナスなども制定する
・日本選手のプロ契約も解禁する
・ プロ宣言した選手はアメリカンと同じくリーグに所属し別枠でドラフトされ振り分けられる
・ ギャラが発生するコーチ兼任選手は禁止
・ 給与外の報酬を受け取らない
・ 学生との日本一を競うライスボウルには出場できない
・目に余るパーソナルファウルは年間累積3回で解雇
・ 日常生活で問題を起こしたら即刻解雇
・ チームで年間累積3回もめたら解雇
・ 週に2度以上の外泊で解雇
・ 定められた場所以外での泥酔は解雇
・ 日本語の習得状況が悪い場合は解雇


 このような具合で、よほど結果を出してくれる選手でなければ価値が低く、関係者やファンからも厳しい目でジャッジされるので、中途半端な選手や不良はドラフトされず淘汰されていきます。
 アメリカンとしては「とりあえずフットボールで食える」「実戦を離れないですむ」という部分を重視した人だけが来るようになるので「日本ってどこやねん」「レベル低いんやろ蹴散らしたる」「暇つぶしや」みたいな人が来なくなります。


 日本側としては「よりハイレベルなフットボールが身近で見られる」ことが大命題になります。この部分は、日本フットボールの行く末が絡むだけにとても大切です。
 日本のリーグからはNFL選手を育てたいのか、企業スポーツとして昔のようにやっていくのか、社会人リーグは滅んで学生だけでやっていくのか、明確なビジョンは発信されていません。


 平成生まれの若者は昭和生まれに比べて人数が少ないと聞きます。アメリカ式のシーズン制を採り入れて、複数のスポーツを体験する環境で他のスポーツからの流入を期待するもよし、上記のようなゴリゴリリーグがもし盛り上がって何千万円を稼ぐ選手が出てくれば学生の熱量も変化します。


 現在のルールは、それほど練られたものではないと判断します。「元プロ」の定義も解釈次第の曖昧なものであり、法律と同じで抜け道もあり白と黒だけでなくグレーが大幅に存在します。
 はっきりとした改革案を打ち出し、変わっていく勇気も必要かもしれませんし、このままゆったり進んでいくのもいいかもしれません。
 何が正しいかは僕には分かりませんが、アメリカンは日本リーグにとってもっと良い影響を与える存在になってもらいたいと思っています。


 (注1)アメリカンシリーズ:前半後半の開始からの攻守蹴を両チームが終えるまでを1シリーズ目とし、これをアメリカンシリーズ。そして次は国内シリーズ。これを順に繰り返していくというNFLヨーロッパのナショナルシリーズを採用。間違いや不正があれば反則となり認定タッチダウンが相手に与えられる。これにより日本選手の実戦経験不足を防ぎレベルの向上が図られる。ほぼ全員がアメリカンと勝負せざるを得ないため、日本人選手もレベルの低い者は淘汰される。

【写真】富士通を日本一に導いたQBコービー・キャメロン選手(3)