早稲田大学にランニングバック専門の技術指導コーチとして参加させていただいて5カ月目となりました。


 甲子園ボウル出場のためにも勝つことを義務づけられた法政大学戦に無事勝利しましたが、優勝争いは11月27日の試合前の時点で、1位は全勝の慶應義塾大学。次いで2位は1敗の早稲田大学と法政大学。
 関西と違い関東はプレーオフがなく、1敗で2チームが並ぶと当該チームの対戦成績、3校が1敗なら3チーム間の得失点差で順位が決定されます。


 早稲田大学が優勝するには、慶應義塾大学が法政大学に僅差で敗れてもらう必要があり、得失点差の関係で30点差以上つけて法政大学が勝利すると、早稲田大学の優勝はなくなります。勢いで勝る慶應義塾大学が優勢なのは否めません。


 ノジマ相模原ライズのミーティングを終え、わずかな希望を持って横浜スタジアムに行きました。
 試合開始の5時間以上前です。慶應義塾大学対法政大学の試合を見るためです。もちろん法政大学の応援です。応援団やブラスバンドのすぐ前に陣取り、法政大学を必死で応援しました。


 前半が終わる前に早稲田大学のコーチ集合時間が来たので応援は終了。あとは自分たちが全力で戦うだけですが、何しろ試合経過が気になります。
 すると序盤から優勢に試合を進めて来た法政大学が勝利したのです。これで早稲田大学が日本大学に勝利すれば関東優勝が決まります。僕はもちろんですが、選手たちのボルテージがドカンと上がりました。


 日本大学フェニックスと戦った経験などない僕は、ミーハーなファンの気持ちと早稲田大学のコーチという立ち位置の狭間でそれなりに楽しめました。
 慶應義塾大学と法政大学の試合結果によっては自分の予定が変化する、という現実も初体験ですし、貴重な体験をさせてもらっています。


 で、ご存知のように法政大学が勝ち、早稲田大学も勝利し、得失点差の関係で早稲田大学ビッグベアーズが関東学生リーグ1部TOP8で2連覇を果たしました。


 トップリーグの大学でシーズンを経験したことがない僕には、学生さんたちの情熱や惜しみない努力にとても感動しました。
 自分が学生時代には、活動の全ては練習や試合後の飲み会でどう楽しむかに注がれていました。夕方に練習を終え、アルバイトに行き、朝まで飲んで遊ぶ、というスタイルで「学生フットボール」をしてきた僕のような者が、これほどまでにフットボールに真摯に向き合い、全力で取り組む彼らに心から敬服しています。


 ただし、僕がアメリカやヨーロッパ、そして社会人リーグで学んできたものを伝えることだけはできます。
 肩書きは「コーチ」ですが、人様にフットボールを教えた経験などほとんどありません。ですから自分の経験で得た知識を放出するだけで、選手たちが自分でそれを使って上達する必要があります。彼らのモチベーションを上げて、気持ちよく上達させることは僕には不可能だからです。


 その中で、彼らは僕の指導内容を「新しいネタ」として楽しみながら取り組んでくれ、たくさん練習してその結果をいろいろと報告してくれます。
 そして本番の試合では活躍できたり、うまくいかなかったりといろいろありました。


 彼らに指導している同じ情報をキャッチしてから僕はすぐに上達しましたが、リーグでトップ選手になるまで数年を要しました。
 ですから彼らが短時間で最高の選手になれるとは思えませんが、「戦士としての心構え」「考え方」「そして細かい技術」をできるだけ彼らにフィットする形でアウトプットしてきたつもりです。


 なおかつ、元々昨年の甲子園ボウルで3年生ながらレギュラーを張った逸材たちです。学業もしっかりやり遂げフットボールも全力投球。モラルや根性にはめっぽう厳しい考え方の僕も、彼らの取り組みや練習態度に微塵もケチをつけることはできません。


 どこの大学も同じように厳しい取り組みで頑張っているのでしょうが、どうか早稲田大学の元に学生日本一のトロフィーが届くことを祈っています。みんなガンバレ!

【写真】関東学生リーグ1部TOP8で2連覇を果たした早大ビッグベアーズのRB陣と多聞さん=撮影:MAKOTO SATO