アメリカンフットボールのXリーグX1はファーストステージの第4節を迎えます。その中に、僕はもちろんファンが注目するゲームが三つあります。そこで今回は僕なりの「見どころ」や「注目すべき選手」を書いてみたいと思います。


 まずそもそも論として、今後しばらくの間Xリーグではアメリカ人選手(以後アメリカン)の質や出来不出来でチームの明暗が分かれることになります。
 4人枠をめいっぱい使い、同時に出場できるのは2人までなので残る9人の日本人選手がいかに足を引っ張らないかにかかってきます。アメリカンに厳しいマークが付き、日本人へのマークが甘い時に決してミスをしない。これに尽きます。


 そしてチーム側も一度登録した選手はそのシーズンが終わるまで交換がきかないので、「期待する活躍を見せない」「私生活に問題あり」「ラフプレーが多い」「チームの和を乱す」「けがや病気で欠場」などマイナスの結果に終わったとしても、翌年は別のアメリカンを登録すればいいので、大学を出てすぐの日本人選手を育成するより手っ取り早いですから、この流行はアメリカンをどう考えていくかのルールが変更されるまでしばらく続くことでしょう。
 では先に各チームの注目すべきアメリカンを僕独自の情報ルートと考察法により抜粋しましたのでご紹介します。


 【富士通フロンティアーズ】
 ▽QB(3番)キャメロン=長身からフィールドのあらゆる所へクイックにパスを投げまくる。兄はNFL選手。
 ▽RB(29番)ゴードン=ハーバード大卒の秀才であり、日本でイチバン活躍するランニングバック。母親は日本人。
 ▽DB(40番)アディヤミ=日本のフットボールに慣れてからの活躍はご存知の通り。基礎が違う。
 ▽LB(16番)トラショーン=新人。守備選手でありながらタッチダウン獲得済み。まだ未知数だが評判良し。


 【ノジマ相模原ライズ】
 ▽QB(14番)アンダーソン=新人。第3節まででチームトップのラン成績。パス力は未知数。割り切って40回走れば300ヤードは確実。
 ▽LB(12番)ローレル=新人。チームトップのサック数。
 ▽DB(6番)マヌ=新人。オービック戦でインターセプトリターンタッチダウン。ヘルメットから出ている長髪が特徴。


 【IBMビッグブルー】
 ▽QB(3番)クラフト=初代黒船。有名校UCLA卒。富士通キャメロンに比べ被インターセプトが多い。コーディネーター兼務するが悪い方向へ行くと修正できず必ずチームが負ける。
 ▽TE(40番)スタントン=優れたインサイドレシーバー。でも米国では守備選手でレシーバー未経験。
 ▽DE(34番)ブルックス=昨季の「ジャパンエックスボウル」で富士通キャメロンを負傷退場に追いやったオトコ。基本に忠実なプレースタイル。
 ▽DL/LBB(5番)イートン=新人。調査不足で情報なし。


 【アサヒビール・シルバースター】
 ▽QB(15番)ミルズ=新人。クラフト、キャメロンと同じくパスが得意。サンディエゴ大のパス記録を持つ。
 ▽WR(3番)ウィルソン=ミルズの第1ターゲット。脱力スタイルのプレーは日本では斬新。視野が広く、気持ちに余裕枠がある。父親は元NFL選手。


 【エレコム神戸ファイニーズ】
 ▽QB(6番)フナキ=「日本人のタックルなんかで倒れるか!」という気迫が溢れ出ているハワイ大出身。たまにポカがあるが今年も調子は上向き。
 ▽T(57番)ガウル=アイオワ大で昨年までスターター。完全に本物。
 ▽DL(32番)オズボーン=ファイニーズOBが太鼓判を押す逸材。
 ▽DL(53番)マーティン=ファイニーズOBが太鼓判を押す、こちらも逸材。


 【アサヒ飲料チャレンジャーズ】
 情報源がなく何もわからなかった。


 ではここからはゲームについてです。
 これだけのビッグゲームな上に暑からず寒からずな素晴らしい気候になり、会場に足を運ぶ方も多いことでしょう。またどうしても都合の悪い方はネット放送を見て楽しまれることでしょう。


 〈富士通―ノジマ相模原=10月3日・富士通スタジアム川崎〉
 昨年度王者の富士通。対するは優勝候補の大横綱オービック・シーガルズを前節に延長戦で破り、いよいよ念願のファイナリストになれるかどうかのノジマ相模原ライズ。両チームとも助っ人アメリカン規定いっぱい4人の登録で、もちろんクオーターバックもアメリカンですから過去対戦成績が全く参考になりません。


 まず地上戦では日本人守備の苦手や隙、風習、歴史、癖を完全に読みきったMVP男のゴードンが、ノジマの地味だが堅実なラン守備をどう攻略するか。
 ノジマはルーキーアメリカンのQBアンダーソンが強気にグイグイ走ることが予想されます。これに対し、人材豊富な富士通守備陣が、アンダーソンに「走りたくない」と思わせるほどハードなタックルを連発してパスを投げさせていけばノジマの攻撃が手詰まっていくのではないでしょうか。その時にmノジマの日本人がしっかり役に立てば、攻撃の幅は広がり守りにくくなることでしょう。


 ノジマのアンダーソンのパスはまだまだ未知数です。夏にチームと合流したそうなので、まだ日本人レシーバーとの息が合っていないのかもしれません。
 そこでNFLヨーロッパやNFLLニューヨーク・ジェッツでプレーしたベテランWR(7番)井本圭宣(立命大卒)がアメリカ仕込みの経験で身につけた「本当のフットボール」をチームに伝え、アンダーソンの活躍をアシストするところが見てみたいですね。
 そしてノジマの須永ヘッドコーチもNFLヨーロッパに所属した経験があり、アメリカンの考え方への理解度に問題はないでしょう。


 富士通は、昨年の優勝を請け負ったQBキャメロンとそこからのパスを捕るレシーバー陣の層の厚さは日本最強レベル。彼らのリズムを崩すには、ハードなタックルで集中力を奪うしか道はありません。
 静かな策士・須永ヘッドコーチは今も寝ずに作戦を練っているに違いありません。ちなみに僕も寝ずにコレを書いています。


 このゲームに関してはノジマQBアンダーソンがどれだけ活躍するかに的を絞ってもいいかと思います。


 〈IBM―アサヒビール=10月4日・富士通スタジアム川崎〉
 昨年度ファイナリストのIBMも同じく4人分のアメリカ人枠を使い、攻撃はQBクラフトとインサイドレシーバーにスタントン。守備フロントに2人の大型アメリカンを配備しています。


 アサヒビールも今年からアメリカンQBミルズにレシーバーのウィルソンが加入。冷静で正確なパス攻撃でこの二人がどれだけIBM守備を翻弄するかか鍵になります。守備の隙間で確実なキャッチを見せるウィルソンに注目したいですね。


 そして今年のIBMはクラフトのパスだけでなくラン攻撃も充実してきているそうなので、クラフトのパスで広げた守備をランで切り裂くことができれば、圧勝してしまうかもしれません。
 アサヒビール守備はどれだけ進まれても集中力を切らさずにハードなプレーをし続けないと、大量失点となってしまうかもしれません。


 〈エレコム神戸 ― アサヒ飲料=10月4日・王子スタジアム〉
 パナソニックに対して何もできなかったアサヒ飲料は、エレコム神戸に負けると3位以下が決定する。アメリカンQBのいないアサヒ飲料は、パス攻撃が効果的でないのでランで勝負すると予想します。
 対してエレコム神戸は、次節にパナソニックとの直接対決を控えています。昨シーズンのセカンドステージでラン守備に課題を残しました。


 サックされないQBフナキが、関学大卒のルーキーレシーバー陣にパスを決めまくるとエレコム神戸の勝利。アサヒ飲料が時間を支配して、エレコムの守備フロント二人のアメリカンを処理、地上戦を制することができればアサヒ飲料が有利と見ます。

【写真】昨シーズンの日本選手権MVP、富士通RBジーノ・ゴードン=写真提供・佐藤誠