ラグビーのワールドカップ(W杯)で日本代表が大躍進。注目度はずいぶんとフットボールと差がついてしまいましたので、ラグビーを見ていて感じたことを書こうと思いましたがやめておきました。
 今回はラグビーとは全く関係のない、僕の生活を支えている仕事について軽くお話ししてみようと思います。


 零細で赤字まみれではございますが、経営者として17年も働いている顔も持つ僕です。大成功していれば成功法などの文章も書けるのでしょうが、フットボールと違い社会で生き抜くのは非常に難しく、皆さんに誇れることは何もありません。


 飲食業ですので「アルバイトスタッフさん」の出来不出来に業績が左右されます。これまでで数百名のアルバイトスタッフさんと仕事を一緒にやってきましたが、彼らのモチベーションをアップさせたり、元気に働いてもらう方法などを勉強しようと本を数十冊読み漁りましたが全ては無駄に終わりました。


 出来る人は出来るし、出来ない人は出来るようにはならない、ということが10年を過ぎた頃から分かってきました。
 以降はアルバイトスタッフさんの人間的な部分の教育には一切エネルギーを使わなくなりました。お店独特のルールや約束事、飲食店のスタッフとしてのルールや作法、そういった基本的な事項すら覚えたり実行したりできない人も多くいるので、その上を目指すなど到底無理な話だったのです。


 希望に満ち溢れた若い僕は「こんなアホが世の中に存在するはずがない! 必ず成長するはずだ!」なんて息巻いて頑張っていましが、無理でした。今回はそんな特例な人々が僕のお店で猛威を振るった数々の例(公には書けない事の方が多いのですが選りすぐってみました)をご紹介したいと思います。
 大学を出てスーツ着て名刺を持つような社会では考えられないような事例もありますのでぜひご一読ください。

 ▽ストーカー社員
 テーブルにおいてあるアンケート用紙に住所、氏名、年齢、電話番号、メールアドレスなどを気軽に書いてもらえた時代。そこに書かれた顧客情報を「ナンパ」に使い、お客様に電話をしまくる社員。中には当然私の知人も含まれるので苦情が殺到しました。


 ▽店の酒を全部飲むコック長
 バーの棚に陳列してあるウイスキーやその他の酒が著しく減っているので新しく買った時に私にだけわかるように印をつけて減り加減を見ていたら一日でウイスキーのボトルで合計3〜5本分を飲んでいました。
 ラッパ飲みしているようで、その時に食べている物がボトルの中に逆流しており小さな何かがウイスキーの中を泳いでいました。全て捨てて買い直したのは言うまでもありません。


 ▽黙って辞める
 店舗へ行くと制服やその他の貸与品などが置いてあり退職している。給料が出た翌日に逃げることが多いのが特徴です。
 ランチタイムは出勤してディナータイムまでの間に逃げる輩もいました。お金を盗んで逃げる者もいます。書き置きする場合もありますが、誤字脱字だらけでちゃんと読めないケースが多いですね。


 ▽気絶する
 稼ぎ時の週末金曜日に無断で欠勤。心配して電話してもメールしても反応がなく、日曜日になってフラッと出勤してきます。①金曜日の出勤時に電車を降りてスグ気を失い病院に運ばれていて先ほど退院してきた②病み上がりで頑張って出勤してきた僕を褒めてくれ―などというズル休みの理由を並べる人もいます。


 ▽スマホ大好き
 時給で働くアルバイトさん。勤務中も悪びれずスマホチェックを怠りません。バリバリとメールの返信をしているどころかSNSに書き込んだりして遊んでいます。もちろん原則は禁止です。急ぎの用があるなら許可を取ってやれば良いのですが、それはイヤなようで、何度注意しても願いを聞いてもらえないという事態に陥ります。


 ▽タイムカードの不正記入
 出勤時と退出時にタイムカードを打刻して時給を計算しますが、人間なので打つのを忘れることもありますが、打たずに許可なく自筆で書き込んで知らぬ顔をしている人がいました。一月に10回以上の打ち忘れたと言い、全部手書きされていることもありました。


 ▽お店暑いっすよ
 電気代節約のために日中はエアコンを切って汗だくで仕込みや開店準備をしています。夕方になりアルバイトスタッフさんが「おはようございまーす!」ではなく「アッツー!」と言いながらお店に登場。迷わずエアコンのスイッチをONにします。


 ▽社長より先輩アルバイト優先
 仕事の方法が派手に間違っているので指摘すると「先輩アルバイトの○○さんからこう習ったので」と一蹴される社長がいました。


 ▽レジの打ち損じなど俺の知ったことか
 お会計でレジを打ちますが、必ずと言って良いほど打ち忘れがある。ご注文時に伝票への書き忘れも含むとかなりの値引きです。指摘すると「あ、はぁ…、すいませんねー」とちょっとキレられ焦る社長がいます。
わずかな利幅で小さな商売しているのに、それやっちゃどうやって利益出せっていうのでしょうか。


 ▽毎日什器備品を破壊する
 毎日必ず三つ以上の皿やグラスを割る社員。それほど急いでいるわけでもない時にも必ず割ります。忙しい時はもっとです。お客様の対応に追われているのに、一人だけいつもガラスの掃除をしています。


 ▽熱いお皿
 「これ熱いから気をつけてねー!」と厨房から出てきたお客様の大きく重いお料理。両手で慎重に持ち少し歩いたら「熱っ」と言ってリリースするアルバイトのお嬢さんがいました。地面に叩きつけられ皿も料理も木っ端微塵。待っているのは、作り直しと掃除です。


 ▽銀行がきらい
 現金商売ですので、売上金は毎日銀行へ入金するのが店長の大きな仕事の一つです。でも2週間くらい放ったらかしなどザラ。もちろん売上報告も書かずに放ったらかしです。
 何度お願いしても聞いてもらえない。で、10万円、20万円がどこかへ消えてしまう。不思議ですね。


 ▽お客様にご馳走してもらう
 お客様と意気投合し、ご機嫌になられたお客様にご馳走になりましたって君、あのお客様は飲み放題プランやで。やれやれです


 ▽ゴーヤーの正体
 「ゴーヤーって皮むくと中には何にもありませんね」なんてさっらという人がいます。


 ▽チューハイレモン
 氷を入れたグラスに焼酎を満タン。そこにレモンを垂らしかき混ぜて完成。「それ間違えてるよ」と指摘したら「先輩アルバイトさんにこう習いました!」と後輩アルバイトさんにキレられる社長。「じゃあそれ飲んでみー」で「ウエー! ゴホゴホ」となってしまいました。
 既に先ほど別の方にそれをご提供済みだと聞いて震えが止まりませんでした。酎ハイレモンというのは「焼酎+ソーダ+レモン」で構成される飲みやす〜いお酒でございます。


 昔は求人広告を出せば電話が殺到し、電話担当者を一人用意しておかねば営業ができないほど応募者が集まりました。
 面接は10分おきに1時間に6人。毎日6時間ずつ面接すると30人強。10日続けて約300人と面接後、2、3人を選びます。こういう選択方法だとほとんどが優秀でお店にとってプラスになるような人ですが、現代は応募者が1人も来ないというような事態は珍しくありません。


 やっと応募してくださった1人を採用するとロクでもない結果になることがあり、人材不足は解消されても次に教育で苦しめられます。
 これは知人の紹介でも同じことで、大人数の中から選び抜かないと良い人とは巡り会えません。何万人の中から選ばれてドラフトされるNFLと希望すれば入部できる日本のチームでは実力差が埋まらないのと同じですね。

【写真】多聞さんが経営するお店の従業員の皆さんと