復刊した専門誌「アメリカンフットボールマガジン」には、僕のコラム「TAMON’Sスタイル別館」が、ピリッと辛口で掲載されておりますので、お読みいただけるととてもうれしいです。
 フットボールマガジン誌の復活に尽力された関係者の皆様、どうもありがとうございます。そして大変お疲れさまでした。東西大学と社会人の顔写真つき選手名鑑ですので、試合会場での観戦時には是非使わせていただきたいと思います。


 さて、僕のフットボール界での肩書きに「すべてのレベルを経験した日本でただ一人の選手」というものがあります。練習の日に二人しか集まらない河川敷のプライベートチーム、何年間も勝利できない大学3部リーグ、そして社会人の2部、ライボウルチャンピオンのチーム、NFLヨーロッパ、そしてNFLパッカーズ。未経験なのは高校フットボールと米国の大学だけです。


 10歳の頃にフットボールを知り37歳で引退するまで、誰に強制されることもなく、ずっとずっとフットボールのことを思い、人生のすべてをフットボールにかけていました。
 高校や大学でフットボールを知り、何だかよくわからずにフットボールを始めた多くの人たちとは思いの量が比べ物にならないハズだと思っています。


 いつかフィールドを走る日のために子供時代からずっと単独でトレーニングを続け、すべての運動をフットボールに結びつけて生きて来た人生は、勘違いかもしれませんが誰にも負けない強いフットボールへの愛情があります。


 前述したあらゆるレベルで自分を試しつつ、冷静に内部からチームを観察しまくった僕の目は、フットボール選手の能力をかなり的確にジャッジすることができるようになりました。
 無理なものは無理。頑張ればイケる。おそらくイケる。絶対にイケる、といった具合です。あと何が足りないか? などもおおよそわかります。


 この能力というか見る目が肥え過ぎてしまい、その選手の未来が見えてしまうので少々つまらなくなってしまいました。もちろん自身の選手晩年時代もそれがハッキリと見えてしまっていたので、挑戦も何もなくただただ「PLAY FOOTBALL」がつまらなくなってしまいました。
 目が肥え過ぎてしまうと、面白いものも面白く感じることができなくなってしまいます。こんな残念なことはありません。しかし、勉強すればするほど目に狂いが少なくなってしまいました。


 で、何が言いたいのか、ですね。フットボールマガジン誌面には若い選手を中心に多くの記事が掲載されています。僕にも彼らのような時代がありました。もちろん彼らのような年齢の時に専門誌に取材された経験などありませんが、がむしゃらさは同じです。
 今日の練習をしっかりやって、1プレー1プレーで「打倒○○大学!」という気持ちを強く持ち、ウェアが泥々に汚れていようが破れていようがお構いなしに情熱を傾けていました。
 不甲斐ないチームメートや自身を罵倒し気持ちを高め鬼になり今自分のやれることをすべてやる。コーチもいない大学時代は、そんな調子で楽しい仲間たちと効率の悪い練習でどこに向かえばいいかわからない毎日を過ごしていました。


 今の僕はいろんな経験をして、いろんなことを知ってしまっています。勝ちたければあんな馬鹿げた時間を過ごすことはありません。もっと効率のいい方法でライバル校に立ち向かうでしょう。
 しかし、若い時はそれでいいのです。がむしゃらに何も考えず気にせずドカーン!と進む。とりあえず進む。行けるだけ行く。思いついたことをやれるだけやってみる。そして周りや運に恵まれ、勝利や優勝といった良い結果が出る人もいれば、出ない人もいるでしょう。


 しかし、若い時代にはトロフィーの数を気にせず何しろ前に進む。その向こう側に「本当の結果」が見えて来ると思うのです。これはトロフィーの数ではなく人生の経験値としてです。何事も真剣にやっていればそれを認めてくれる人が出てきて得をするとかのセコい話だけではなく、その努力や苦労が後の人生で何かのパワーとなるのです。


 年齢を重ねると「もしもう一度18歳の時に戻れたら…」なんていう会話をすることがあります。その時に「もうちょっと頑張っていればなー」という思いが頭をよぎることがないように、若い時代を過ごすのがいいのではないかと思います。
 「若い奴の考えていることはさっぱりわからん!」と年配の人に言われようが、そんなのはお互い様。今を思い切り生きていくことが大切なのです。


 学業に恋や遊び、そしてフットボール。やることはいっぱいありますが、あっという間に過ぎ去っていく若い時間をどう過ごしたかは、人生にはとても重要です。


 社会人チーム三武ペガサス時代にオーナーが「30歳までは何も考えずにしっかりやってみろ。その後のことはその時考えろ!」とみんなの前でよくおっしゃっていました。
 22歳の僕は100%それを鵜呑みにして30歳までを過ごしました。尊敬する先輩だけの言葉しか耳に入れず、誰に何と思われようが嫌われようが一切気にせず自分のやるべきことをやり切ってきまた。
 どうか若い時間を無駄にせず、365日24時間全力の青春を過ごしてみてはいかがでしょう。


 今週からいよいよ日本のフットボールが開幕しますね。新しい若いパワーを見るのがとても楽しみです。

【写真】社会人チーム「三武ペガサス」時代の多聞さん