「フラッシュ・チアリーディング・コンペティション」(注1)の関係者の方々からお招きいただき、関西学生リーグのGAMEDAYに顔を出してきました。


 見たのは同志社大学対京都大学の試合です。真剣この上ない学生さんの試合内容に僕みたいな者が何か言うことなど一切ないのですが、ビックリしたのは試合終了後なんです。
 そもそも、大学を出てから関西学生リーグ秋の公式戦を観戦した記憶がありません。ですから試合終了後の儀式もじっくり見たことがありませんでした。


 「エールの交換」という儀式です。
 両校の応援団(とチアリーダー)が観客を全員立たせ、自校と相手校に対して「フレー、フレーウチの大学〜! フレーフレー相手の大学〜!」とお互いに交代でやるわけです。
 歌を歌ったり、チームによっていろんなスタイルがあると聞きました。しかしその雰囲気が非常に「厳粛」なんです。笑ったり私語をしたりは厳禁です。選手やチーム関係者は当然で、観客もです。これはとても新鮮な体験でした。


 この「エール交換」というのはフットボールチームがやりたいことではないらしく、当該大学の応援団同士の取り決めでやっているそうで、取材した選手たちからは、「さほど興味もなく、昔からのシキタリなので仕方ないから終わるまで黙ってじっと耐えている」そうです。
 負けた試合では泣きたいだろうし、勝った試合では喜びたいだろうし、けがをしていれば痛いところを早く治療したいだろうし、学生さんは大変だなと思いました。
 また、広告などを見てたまたま観戦に行った無関係のお客さんは何をやっているかがわからない(この日の僕と同じ)ので困っちゃいそうですね。


 興行主からのキチンとした放送で、大学スポーツの醍醐味としてもっともっと名物として盛り上げたらいいのになと感じました。僕も大学時代にあんな応援団に後押しされてフィールドで暴れたかったなー。


 僕の中で応援団と言えば洋ラン着て酒飲んでケンカばっかりしているイメージはマンガ「嗚呼!!花の応援団」で決定していますが、現代の応援団はキチンとしたクラブ活動。屈強で顔に傷があるような団員は見当たらず、あくまでも応援活動するクラブ、という位置づけのように見えました。
 この後少し取材をしたところ「試合会場で応援団同士が通路やその他ですれ違ってはならない」というようなことも守られているそうで、現代の若者にも理不尽な厳しさを守っていく意思や心意気があるんだなとうれしく思いました。


 今回の「フラッシュ・チアリーディング・コンペティション」はその試合後に開催されました。が、今まさに行われている「エール交換中」は出場選手である彼女らにとって試合直前です。
 観客席の裏側には出場校の全チアリーダーが待機しています。しかし、この待機中も彼女たちは私語どころか笑顔さえ見せず、2列に並んで話や打ち合わせもせず整然と立っているのです。


 演技する直前だから緊張しているのかな? と思っていたのですが、コレもあとで取材をするとわかりました。「他校がエール交換している時は顔を伏せて無言で無表情で待つ」のが応援団のシキタリなんだそうです。
 学生リーグの試合は久々に見ましたが、笑ってヘラヘラしている人も見当たらず、非常に独特の雰囲気で営まれているんだなと思いました。


 この締め付けの中でプレーしていれば、社会人リーグは完全に遊んでいるように見えるでしょう。彼らにとっては、しがらみから解放された自由の中であくまでも趣味として楽しむのが社会人フットボール。
 シーズン最後の勝たなければならない試合で負けてもヘラヘラ笑い、ファンから見える所で相手チームの友人と笑顔とピースで記念撮影。僕はこの厳粛な学生時代を経験していないので、そういう連中の気持ちが全く理解できませんでしたが、これでわかりました。


 でも学生時代のままの気持ちで努力を続けて練習や試合に臨めばもっと日本のフットボール界は成長するんじゃないかなと感じました。


 負けたチームには、気持ちの仕上がりが足らない人間の割合が勝ったチームより多くいます。試合日だけでなく、365日をどういう気持ちで過ごしてきたかが、シーズンの最後、スコアボードに数字として反映されることはみんな知っているのに、仕事や家族、生活、けがなどの理由をつけて、自分と仲間をダマして逃げたがります。
 下手でも何でも必死に戦えば、相手も同じ人間。もうちょっとオモロい試合ができるんちゃいまっか。


 今週も楽しみなゲームがいくつもあります。ベンチで気持ちを抜く選手が多くいるのが社会人リーグの特徴です。試合中に談笑できるレベルの選手など、リーグ内に数人しかいないことは明らかです。
ファンの皆さんは是非、そこらへんもフットボールの楽しみ方のひとつとして観察してもらいたいと思います。会場入りから試合の最後まで、スターもホケツもスタッフも「GEMEFACE (ON)」を見せてもらいたいもんですな。


(注1)各大学のハーフタイムショーが一度に見られるのが人気で、オリジナリティーや母校愛の比重が高いことが魅力の競技会。技術点が足りなくても、アイデアで勝負できることもある。アメリカンフットボールとともに、応援するチアリーダーを育成するのが趣旨。日本チアリーダーのレジェンド浅井直湖さんの監修。以前は関西電力のサポートがあった。

【写真】試合後に整列する同志社大の選手たち=12日、EXPO FLASH FIELD