「ハンドオフ編その3」
 ▽目線
 目線も大切だと偉大なコーチたちから学びました。初心者はつい、つま先のスグ前を見てしまうのですが、視線のヤリどころは遠くであればあるほど良いのです。
 クルマやバイクのレース、競技スキーなどでのコーナリングは、今通過中のコーナーを見ていてはドンドン遅れてしまいます。二つも三つも先の旗門を見据えて先手先手でアクションしていく必要があります。


 RBも同じで、一番近くの敵(邪魔になる味方の選手も含む)は見ようとせずに、その向こう側を、そしてそのまた向こう側を見るようにクセづけなければいけません。試合では五感の内「視覚」しかレーダーとして使えません。
 「目」で見るというヤツです。何しろ試合中は今起こっている事を自分の目で見るしか情報収集はできないので、目はRBの全てと言っても過言ではありません。


 具体的に言うと、視野は270度ほど欲しいトコロです。正面を向いておおよそ180度くらいが自然に見える範囲ですが、左右にあと45度ずつ目玉と顔を動かせってことです。
 距離は5ヤード以上先を見てください。自分に最も近いQBや敵味方のラインマンは視野の隅っこか下の方に置きます。最も近くにいる人たちは、無理しなくても視野に入って来ると思います。


 それよりも見なければいけないのは、大きなラインマンの後ろに隠れている敵です。RBであるアナタの背が低く、見づらい場合もあるでしょう。
 しかし、そこは相手も同じ条件です。元々構えている位置はスナップ前に確認できますし、自分がどちらかに動けば敵もある程度動くのは当り前ですし、それを予測する事もできます。


 しかし、今はハンドオフの練習なので、視野のトレーニングとしては、「走り出したら右45度&左45度をチラっと見る」ことなのです。コレをクセづけておくと以前は「死角」だった所から襲いかかって来る敵がモロに見えます。
 見えた敵を吹き飛ばすのかよけるのかはRBの自由です。ハンドオフ練習では目玉か首を左右45度に動かして視野を広げて下さい。もちろん顔を上げて5ヤード以上先の遠くを見るように。


 ▽TD後
 ハンドオフ練習では「理想の走りを練習する」ので必ずタッチダウン(TD)まで行けるはずです。RBたる者、TDすることに慣れておくのも大切ですので、自分なりのTDセレブレーションを編み出しましょう。


 このTDがこのゲームでどれほどの価値があるのかは歓声や仲間の喜び具合でわかります。ですから、試合の勝敗に影響のないTDで興奮してバンザイなどすると素人だとバレてしまうので非常にカッコ悪いです。
 また、規制が過剰に厳しいニッポンでは、いくらチャンピオンシップゲームで感動的な逆転のTDをしても興奮した状態でダンスなどするとたちまち反則(スポーツマンらしくない行為/試合時間の遅延行為など)になってしまいます。
 試合会場での全ての行動は理性の中でしっかりコントロールしましょう。TD後にどう振る舞うのが自チームにとって良い影響を与えるのか(悪くないのか)をしっかり考えられる冷静さを残す練習を、普段からTDを量産(ボールを持った回数TDする)して慣れておいてください。TDを決めたRBの言動全てを含めたものが「TDセレブレーション」なのです。


 練習は自身が上達し試合で活躍するためにやるのですが、チームの勝利のためでもあります。
 ここまでは初心者編なので「エースの役割」や「リーダーの役割」については少ししか述べていません。RBは試合を支配できる数少ないポジションの一つです。そんなRBの出来不出来で仲間の現在過去未来、全てを変えてしまいます。


 1個のボール、1回のブロック、1回の練習、毎日の一つ一つを少しでもおろそかにすると、仲間を裏切ることになります。仲間から預かった大切なボールを目的地まで運べるかはセンスや運ではなく、RBの練習量です。
 味方のブロックや作戦などはほんの少ししか助けてくれませんので、RBは良い練習をたくさんするしか道はありません。練習する時間は、寝る時間や笑う時間を削れば1日に1時間ぐらい用意できるはずです。


 運動着とスパイクシューズを常に持ち歩き、近所の広場に行ってスマホをどこかに立てて動画撮りっ放しにし、ハンドオフのステップを練習し続けることは容易だと思います。
 大事な試合で負けて、相手が喜んでいるシーンをどうしても見たければ、チームの練習日だけ真剣なツラでヤッテルフリして「仲良しフットボール」で満足しといてください。
 暑い日に何10キロも走るのが根性ではありません。負けたら悔しいと思う気持ちがあり、自分が決めたことをつらくても継続するのが「ガッツ」です、「根性」です。


 これは今も昔も変わりません。ニッポンのフットボールでは「試合終了後に楽しい気分になれる」だけしかトロフィーはありませんが、それでも頑張ろうと決めたらあとは「根性」で目的を達成して下さい。
 僕はガッツのあるRB、ガッツあるプレーを応援しています。

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