NFLのドラフトを控え、どのチームから電話が掛かって来る(注1)のかドキドキしているニッポンのフットボール選手もいることでしょう。32チームが7巡目までを指名するので200人と少し。非常に楽しみです。


 ちなみに最下位指名の選手に授与されるのが「Mrイレレバント」いいます。もらえるトロフィーの名前はハイズマンではなくボールを落としている像の「ロウズマン・トロフィー」。ドラフトで指名されても最下位なら嘲笑するアメリカ人は、本物のいじめっ子気質(注2)ですね。


 今回のお題は「日本人のNFL選手は出るのか」「出るならどのポジションか』です。コレはとても多くの方から質問されます。
 まず、ニッポン人の体力的資質だけで考えると「可能」だと思っています。その証拠に世界のあらゆる競技においてニッポン人は活躍しています。メダルを取るような人もいらっしゃいます。


 なので、そういう人たちが子どもの時からフットボールをしていれば、何てことなく当然のように1巡でドラフト指名されると思います。
 つまり、もし日本の法律で「スポーツはフットボールしかしてはならない」とかになれば、NFLに行ける人はナンボでもいます。
 スポーツのレベルはその国や地域での人気度合いで上下しますので日本の子ども全員が何世代にも渡ってフットボールに勤しめば、米国に対抗できるレベルにはなる、というのが僕の考えです。が、夢の法律改革を唱えても仕方ないので少し意見を書いてみることにします。


 【ラインマン】
 最近、各大学のメンバー表で身長、体重を見たところ、ニッポンのフットボール選手もかなり大型化しています。NFL選手と同じサイズ(注3)の人もたくさんいるようです。
 その人たちの中で、大相撲や柔道のトップクラスとあちらのルールで互角に渡り合えるような選手が登場してくれればうれしいですね。
 しかしチームやリーグでイチバン強い選手は自分より強い人と対戦する機会がほとんどありません。練習や試合で「負けない」「失敗しない」ので向上心の行き場を失い、能力アップが非常に難しくなります。
 近年は国際試合で大きな外国人と対戦することもありますが、目標であるNFL選手とはほとんどが比較にならない技術レベルの相手ですので練習には役不足でしょう。
 外国人選手のいる社会人リーグでは、対戦相手としてとても良いのですが、大学を卒業して社会人になってしまうとNFLに行くには少し遅すぎます。


 【攻守スキルポジション】
 ラインマンだけではなく、攻守バックス陣でも素晴しいスピードを誇り俊敏性に長けた選手も多く見受けられます。
 コチラに関しては僕も専門の眼力を持っていると自負しております。が、トップの選手でもNFLと比較した場合、まだいろいろと不足しているところ(注4)が残されていると感じます。ですが、何をどうすれば近づけるのかは、どのポジションのことよりも分かっているつもりですのでコレはまた別の時に。


 【キッカー/パンター】
 ならば「ボールを蹴るポジションは最も近いのではないか?」ともよく質問されます。その考え方はひどく間違っています。
 プロのチームにはキッカーとパンターは1人ずつしか登録されません。よって地球上には32人しかプロのキッカーはいないので、どのポジションよりもベンチ入りの競争率が激しいのです。


 そして同じくフットボールのスキルよりも蹴ることが得意な人の方が世界には多くいる(注5)ので同じ考えでNFL入りをもくろむ人も多くいます。
 また、パンターはキック時のホルダーを務めることもあり、ボールさばきが街のジャグラーのようですから、ニッポンのパンターは24時間ボールを離さずクルクル回したりオリジナルのジャグリングを編み出しましょう。


 試合でボールを100%失敗なく異常に飛ばせることは最低条件です。他のポジションは左右があったり交代メンバーを控えさせるのが普通ですがキッカーとパンターは、比較的けがが少ないポジションですし、万が一けがをしても、翌週の試合には別の人がすぐに用意されるだけ。
 ウシロで順番を待っている人数は、ディズニーランドで人気のアトラクションよりたくさんいますので、なかなか難しいと言えるでしょう。


 【ラインバッカー】
 次にラインバッカーです。あの河口マーサ正史氏(注6)ほどのあらゆる要素を兼ね備えた人でさえ不可能だったポジションですし、僕も数人のNFLラインバッカーを知っていますが、ニッポン人でこのレベルに達している人をまだ見たことはありません。
 次点は時本昌樹氏(近大コーチ)です。時本氏の基本動作を生で見る機会があったのですがすごかったです。アメリカでした。


 【QB】
 QBに関しては、僕も少年時代はNFLでパスを決めまくるQBになって大スターになる! なんて夢を描いたこともありますが、彼らに近づいてみて、そのすごさが身にしみました。
 しかし、プロ野球で超一流の選手だったりすれば不可能ではないと思います。アメリカのQBに必要なのは強い肩や頭脳だけでなく、国で最も人気のあるスポーツの中で子どもの頃からシノギを削り、長い時間トップに君臨し続けて身につけた精神力やリーダーシップ、そしてスター性も必要なのです。


 ニッポンの場合だと、例えばチームで5人いたQBのうち二人が1年生、たまたま試合に出て何となく活躍。顧問の先生の口添えで強豪大学へスポーツ推薦で進学し、スポーツで入社。と言えばエリートに聞こえますが実際はたまたま周りのヘタクソよりもうまかっただけですので、大人になるまでに倒してきたQBの数と質も、10代の半ばから地元のスターとして腕を磨いてきたアメリカ人とは比べ物にならないワケです。


 結局、どのポジションが入りやすいか? という質問の答えとしては、規律を守ることにストレスがない日本人にはオフェンスのラインマンが良いのではないかと思います。
 センター、ガード、タックル5人の和が大切ではありますが、最もチャンスがあるのではないかなと思います。もっとも、ラインの奥深さをよく理解していないので、反対意見は素直に受け入れます。


 ただし、アメリカで少年時代を過ごしておかねば到底無理なハナシなので、日本人的な奥ゆかしさ、遠慮や感謝、謙虚さを余計に持っていてはいじめられて終わってしまいます。
 だからといってアメリカ人顔負けのゴリゴリのワルでも、ギャングに近づくのでコレも良くないですね。バランスがとても難しいですね。


 そして、最後の手段としてはお金です。サラリーキャップでチーム毎のギャラ上限が決められているので、チームの代わりに選手らに何十億円もプレゼントしてチームの負担を軽くし、強いチームを作る。「その代わりと言っては何ですがオーナー、シーズンを通して僕をロースターに入れてもらえませんやろか?」という方法は、おそらくルールで規制されているのでしょうね。


 団体球技であればバスケットボール、ハンドボール、野球、サッカー、バレーボール、ラグビーなどにフットボールの各ポジションに理想型な選手はたくさんいます。
 少人数のテニスや卓球、陸上、体操など、そして各種格闘技や相撲、武術系などから選りすぐって、真の全日本ナショナルチームを結成すれば20年でNFLオールスター戦(プロボウル)の出場枠をほとんど日本人が勝ち取る(注7)ことは間違いありません。


 ニッポンフットボールのレベルを上げるには競技人口をとにかく増やすこと(注8)が最も重要ですので、明日からはフットボールチームなどのグッズを身につけてフットボールを小さく宣伝して行きましょう!(注9)


(注1)指名されたらコーチやチームから携帯電話に連絡がある
(注2)しかしアスリートを尊敬する文化がある。スポーツ関係者は冗談でいじめや差別が平気
(注3)190センチ、130キロくらいですかね。一昔前はそんなのいなかった。あとはその人たちがサッカーやバスケ、木登り、鉄棒や水泳といったスポーツ全般を難なくこなすことができるかどうかが鍵です
(注4)ラン、キャッチ、ブロック、プロテクション、タックルと基礎体力。そしてうまさ。うまさが足らない人はヒットされる率が上がるのでタフさが必要。けがをしないしなやかさと強さが必要だが、ニッポンなら少し速くてボール感覚が良ければ誰でも活躍できるので勘違いしやすい。野球の人は全員ボール感覚がいい
(注5)競技人口が世界最高なのはサッカーですから
(注6)基本的な運動能力は当然ながら、貪欲さ、狡猾さ、うまさ、そして対話力。アタマもものすごくいいです。日本史上最高のアメリカ向けLBはマーサ河口と断言します。まずは彼の全てを越えることが先決ですね
(注7)アメリカ人のことなので、そういう事態になればゲームそのものが廃止されるでしょうな。オーナーは白人ばかりですから面白くないでしょうし
(注8)少年野球やサッカー部を謎の不祥事で廃部に追い込み全員強制的にフットボール部員にする。これを全てのフットボール関係者がやるしかないですね
(注9)結局、差別や人種配慮の問題がありすぎて、今回のハナシは核心の部分をうまく書けませんでした。ゴニョゴニョした感じの文章になっていることをお許しください

【写真】NFLパッカーズと契約する河口正史さん(左)と中村多聞さん=ランボーフィールド