去年の夏からここでコラムを書かせていただいていますと、いろんなご意見を頂戴するようになってまいりました。そこで最近いただいた質問に対してお答えしてみようと思います。


Q 大量得点差の試合が少なくなれば観客は増えますか。
A 観客が増えない理由は大量得点差の試合が多いからじゃなくて、試合自体がつまんないからです。見ている人がハラハラドキドキするアメリカンフットボールならではの「激突」や「パスを決めまくるQB」「独走タッチダウン」「中央突破を連続するタフなラン」と言った、分かりやすいシーンが繰り返し行なわれないからです。反則でゲームが止まりまくるのも、初心者には意味がわかりません。NFLのように即座に反則を告げて、とっとと次のプレーを展開しなければ「止まりまくって意味分かんな〜い」と言って二度と来てくれないお客様が増えるばかりです。努力してせっかく新規のお客様を連れて来ても「また来たくなる→本当にまた来る→ファンになる→マニアになる」というところまで引き込むのは至難の業です。大量得点差でも応援する側のチームが勝っていれば何点差でも面白いワケですから点差とお客さんの数はあんまり変わらないと思います。コーチ、選手、審判、運営者、関係者が少しずつでも初心者に分かりやすく喜ばれることは何か、を真剣に考えて行動することが重要だと思います。今年から関東学生リーグの編成を変えるのも、試行錯誤してひねり出したアイデアの一つでしょうけど、フットボールの周りにいる僕らでさえ、どのチームがどこに所属しているか覚えられないリーグ編成や、勝っても次に進めない、負けても次に進めるという誰も理解不能なプレーオフ制度をやっているうちは、お客さんが増えることありません。だって分からないんだから。


Q タックルやターゲティングについて、最近は厳しく取り締まる傾向ですよね。これについてどう思いますか。フットボールすんな! とかはなしで意見を聞かせてください。
A ターゲティングとは、けがをさせようとして相手のヘルメット付近を狙って自分のヘルメットを武器にして突っ込む行為らしいですが、根本は頭を下げて当たりにいったら、その本人が首や背骨に大きなけがをする可能性があり非常に危険だからヤメておこうね、という趣旨もあったハズですよね。アメリカの高校や大学のロッカールームなどにはこの注意書きが図解でポスターとして掲示されているのを何度も見ました。日本ではそんなの一枚も見たことないどころか、日本一を争うようなゲームでもアタマを下げてヒットし合う情景は常に見ることができます。そもそもの基礎技術を正確に教えられる人が少ないので、基礎が十分にできている人ばかりでやっているアメリカのルールをそのまま持って来てもチグハグになるだけですわな。ジャッジする側もされる側も基礎の概念がアメリカとかなりズレているので無理にアメリカを追う必要はないように思います。危ないヒットをした選手を退場にするといっても、危ないかどうかをホンマに判断できる人がニッポンにそうたくさんいるとは思えないですしね。とりあえずカラダは45度に前傾して顔と手で当たれってぐらいをしっかり徹底しておけば、今よりはアメリカに近づくんじゃないですかね。


Q フットボールは関西と関東だけでいいのか。話題と言えば日大や関学、京大、立命、法政など名門強豪校のことばかりでうっとうしいです。他のスポーツのように全国的に展開されるようになるためにはどうしたらいいんですか。
A そんなん知らんがな。でも、入場者収入やテレビ放送権料を取れているカードなどから予算を出して、関西と関東以外に協会とかから優秀なコーチ軍団を4年単位で派遣するとか。アメリカ人でたとえ安くても給料もらってコーチしたい人はたくさんいますよ。さっきと同じですが、本当のフットボールを知らないのに作戦マニアなOBらだけで後輩を教えていても、甲子園ボウルには絶対出られません。戦力アップの鍵は、コーチングスタッフの質です。母校を愛してやまないセンパイらは、下手に教えに行くよりOB会費をプロコーチ雇用に回せば甲子園ボウル出場の確率は跳ね上がります。優秀なアメリカ人コーチの5人でも雇えばイッパツですよ。つまりどこのチームもそうしないから強豪校には絶対に勝てないような感じになっているだけです。強豪校はそう言われるにふさわしい「努力をする風土」と「歴史に裏付けられた誇り」を持っていますので、ビックリするような大改革をするしか打倒できません。全ては決断力にかかっています。頑張りましょう!

【写真】タックルの姿勢を指導する米国人コーチ=(ロイター=共同)