ニッポンフットボールのシーズンも日本選手権(注1)を残すだけで、そろそろ終わりですね。
 スポーツ選手には好むと好まざるにかかわらず、必ず第一線から退かなくてはならない時が来ます。しかし我が国のフットボールにおいては、職業として選手(注2)をしているわけではありませんので、試合当日の戦力以外の部分で残留することも許されます。コレがプロとアマの大きな違いです。


 学生を最後にフットボールをやめる人もいるでしょう。いろいろな人(注3)がいるでしょうけど、今回は社会人としてかなり必死で日本一を狙っている人だけに該当するお話です。


 僕が引退について強く思うのは「体が動くならやめるな」ということです。家庭や仕事の事情(注4)で、毎日トレーニングして週末は練習場にカンヅメなどできなくなってきたかもしれません。


 もう選手として動けなくなった、弱くなった、遅くなったという現実が年齢とともに訪れます。そうなれば、やめどきは自分や家族で決めればいいでしょう。しかし動けるなら、他の事情で辞めてしまわないでほしい。もしかしたら1年後2年後に生活の状況が変わるかもしれません。ヤル気の火だけは消さずに可能な限りの運動をしておき、フットボールや栄養などの勉強(注5)をしておけば、再び合流した時に何とかなります。


 僕自身は、勤めていた会社から「いつまでもフットボールなんかしてちゃダメだよ。しっかり働いてカネを稼がなきゃ」と厳しく言われ続けていたので、体は動きましたが選手としてピークの時に引退せざるを得ませんでした。しかし、10カ月後にはその会社を退職し再びチームに合流(注6)させてもらった経験があります。


 僕は現在、社会人として毎日働いているだけの楽チンな生活を楽しんでいます。トレーニングや減量、練習や試合の重圧も一切ない生活は本当に楽しくて素晴らしいと思います。引退して7年目ですがまだ朝起きた時に「今日もカラダ鍛えんでエエねんやあ」と笑みがこぼれます。


 仕事だけしている社会人は、世界中に山ほどいます。つまり誰にでもできることなんですよ。一流の稼ぎを得て、一流の選手としてシーズンを過ごすことがいかに難しく大変なことか。大変だから選手をやめようかどうか悩むわけで、悩んだら続行。やめたら終わりやで。
 辞めろと言われても「まだあと3年やったる!」という気概で、引退に傾く気持ちを打ち破ってください。甘い気持ちを捨て、現役選手としての誇りを持って毎日を過ごす覚悟さえあればどうにかなりますよ!


(注1)学生日本一対社会人日本一が対戦する「ライスボウル」は1月3日
(注2)日本のルールにプロ選手は不可とあるが、実際は全員がそんなモンを守ってるわけではない。カネのあるチームが強いのはどのスポーツでも当り前。それも大切な実力の一つ
(注3):向上しようとせず持てる力を使うだけの趣味な人や、自分がもし1部校にいたら活躍していたと信じて疑わない楽天家など、ホントいろいろいる
(注4)たいていは怖い嫁ハンが子どもを風呂に入れろとかで現役続行の邪魔をする。そんなキッツイ嫁ハンを顔だけで選んだその人が100%悪いからそれもまた実力
(注5)練習を見る、フィルムを見る、イメージする、これだけでも上級者は上達します。中級者はコレに反復練習が必要です。初級者はそもそもライスボウルを狙わないで下さい
(注6)ライスボウルから10ヶ月後は10月。一応登録しといてくれたんやなあ藤田さん(元アサヒ飲料、現富士通ヘッドコーチ)

【写真】2000年シーズンのライスボウルで引退した多聞さん、翌年10月に復帰する=写真提供:産経新聞社