僕は遊びでフットボールに取り組んだことがありません。自分なりに真剣に取り組み、何年も何年も才能の少ない自分(注1)の限界に挑戦し続け、人生の全てをかけて大きなプレッシャーを抱えながら試合会場に足を運んでいました。ですから論点に他の人とかなりの温度差があるかもしれませんが、フットボールのことでは一歩も引きません。(注2)


 どうしても勝たねばならなかったゲームに負け、そこでシーズンが終了した事がありました。途方に暮れていると「観客席に何か言え」とキャプテンの僕にマイクが回って来ました。内容は覚えていませんが、必死で涙をこらえ何か少し話しました…。この時に相手チームとユニホーム姿で写真撮る気になど全くならないのが普通だと思います。今回はこういうお話です。


 トップリーグに所属するチームには全て同じチャンスが与えられています。それは日本一になれるというチャンス。そもそも優勝はあきらめていて、まずは何勝とかの堅実な目標を立てているチーム(注3)もあるでしょうが、「日本一を目指す」と謳って応援させたりグッズを販売したり、試合を見に来いとメールやニュースで連絡している、いわゆる強豪チームと自覚しているならば、応援している観客や関係者に対するマナーをどないかしてくれんと。


 10年以上前に、所属していたチームのメールマガジンでも書いたことがあるネタですが、「本気で日本一を目指している途中で敗退し、目標を失った直後に何故ヘラヘラ笑えるのか?」と相手チームをののしったこと(注4)があります。「負けても平気なのか!」という感じです。
 試合会場に純粋なファンとして来場しておられる方は、僕が何を言いたいのかココでお気づきだと思います。皆さんが怒っておられることですよね。
 応援するチームが負けてしまい(注5)残念がるファンを尻目に、各会場でユニホーム姿の選手らがこんなことしていますよね。
・試合前後に観客がいるエリアで相手チームの友人知人と大騒ぎで談笑
・そして「ナイスなスマイル」で写真撮影
・それがネット上に投稿される


 懐かしい昔の友人と久々に会えるのは遠征を伴うプレーオフのこの日しかない(注6)かもしれません。しかし、あれだけ「日本一、日本一」と年がら年中アピールしておき、期待させ、応援している人ら(スポンサー会社や社員さんも含む)に対してせめてウソでも会場内では悔しがるところくらいは見せてもらわんと。ましてやユニホーム姿。
 「来期こそは今回の失敗を糧に必死で頑張ります」とマイクで言うだけ、ホームページで書くだけ。実際は悔しいことより敵チームの懐かしい友人とユニホーム姿のままで談笑し写真撮影することの方が大切なイベントなの? アカンやろ。こんなだから試合にも勝てないんじゃないの?


 規律を重んじる風土がないだけでしょう? 元から規律などないかもしれません。つまり指導者や責任者が悪いのですよね。指導者が悪いとトップリーグでは絶対勝てません。これで強けりゃ良いがフットボールも弱い、態度もヘタレじゃあ応援している人は浮かばれません。
 作戦が良く、練習が良く、ゼニまわりが良く、選手が良く、運がよく、規律正しくと何でもそろっていても勝つってホンマに難しい(注7)のに、ファンやスポンサーを軽んじているようなチーム作りじゃあ勝てません。


 理解不能、複雑怪奇なプレーオフシステム(注8)の中、雨でも風でも応援のために1000キロ以上を喜んで移動(注9)してくれる赤の他人様に「優勝する喜び」を与えることが目標とちゃいまっか。でも負けてしまう事もあるんだから、負けた時こそ振る舞いには細心の注意をお願いしたい。
 どんな無名のザコでもユニホーム姿で観客の前にいたらファンはうれしいものです。ファンから見たらスターなんです。そんなスターがユニホーム姿でリラックスしているところを見かければ、写真を撮らせてほしいのがファンの心理です。そしてその時々にそれぞれが「一流」としての自覚とマナーを身につけていないならば、リーグやチームが教育せねばならないと思います。
 『試合後にユニホーム姿でファンと接触できるのは、リーグの責任下で選出された選手だけ』とか、何ぞ考えてもらいたいですな。会場の構造に問題がある(注10)とかの責任転嫁ではなく、ゼニを取ってる以上お客様の喜びを最優先するのが義務とちゃいまっか。


 「負けて泣くなら泣くほど練習せえ」と以前にも書きましたが、負けても泣かない連中には当てはまらないんだと勉強になりました。時代は進んでいます。
 ニッポンフットボールよ、もっと成熟せい!


(注1)短距離走や重量挙げでオリンピックに呼ばれた訳でもなく、プレーを覚えるのも苦手で、何をやっても大した成績を出せない自分の悲しい素質を理解していたからこそ足りない部分を補うことに注力できたのかもしれません
(注2)人それぞれの考え方があるので、信頼して信用している人の意見でないと聞く耳持ちません
(注3)今回は全勝や優勝を本気で狙っていると謳っているチームだけのハナシです
(注4)この時はユニホーム姿ではありませんでした。こうやってののしってばかりいたので彼らと和解するのに10年の月日がかかりました。僕の商売的にはとても痛いハナシです
(注5)勝つと信じて、勝ってくれと願って会場に来ているのでココロの痛みは倍です。大好きな選手がナマで見られたらソレで良い、という方は別
(注6)社会人フットボールは公式戦用の遠距離遠征は年に2、3度あれば多い方なのです
(注7)強いはずのチームが必ず優勝していますかってことですね
(注8)ファンも選手も関係者も全くワケがわからないステージ制とそのルール。プレーオフ中に消化試合があったり、勝っても次に進めないだとか負けても進めるだとか、どういうつもりでこんなことやってんねん
(注9)東京―大阪だと片道500キロ以上。お金も何万円いるか
(注10)負けてニヤニヤできるような覚悟なら応援に来いって言わないことです

【写真】NFLヨーロッパのラインファイアーでプレーしていた当時の中村多聞さん