久方ぶりに一筆啓上。


 4月から、立教大学アメリカンフットボール部の「シニアアドバイザー」を務めることになりました。中村監督のスタッフです。


 立教大学は、推薦入学はゼロと聞いています。ほとんどの強豪チームに比べると、大学による支援や選手の獲得といった面での不利は否めません。
 しかし、昨年は同じような条件で早稲田大学が甲子園ボウルに出場しました。中村さんは、立教大学の近い将来の甲子園ボウル出場を真剣に目指しており、そのためにチームを指導、支援する熱意には頭が下がる思いです。
 この度アドバイザーを引き受けたのも、そこに感じるものがあったからです。


 立教大学は、今年は関東学生リーグ「トップ8」に返り咲きましたが、トップ8の強豪と戦って甲子園を目指すには、昨年までの延長では、極めて厳しいものがあるのも事実です。
 それ故、中村監督はチームを質的に変えなければならないと考えられたのです。


 今、立教大学でヘッドコーチを務めている市瀬君は、1999年から2001年までの3年間、ボランティアで京都大学のコーチをしてくれました。
 それ以来、彼とは親交が続いており、よく意見の交換をしていました。昨年も、ゲームビデオを見せてもらいましたが、私が見るところ「ビッグ8」に落ちるようなメンバーではないと市瀬君に申していました。


 しかし、トップ8で戦うためには中村監督の考え通りにチームを変えなければならない。それがコーチの仕事だと言っていました。


 私自身は、昨年一年は無役であり、ラグビー日本代表のジョーンズ・ヘッドコーチの働きに刺激されて「体が動くうちは隠居していてはいけない。フットボールへの恩返しに、何かできれば幸い」と思っていました。


 そのような折に、中村監督と市瀬君から立教大学のチームを変えるために力を貸してほしいと言われたので、即引き受けることにしました。
 この歳で、やることがあるのはありがたいことです。というわけで、お世話になった追手門学院にも断りを入れ、正式にアドバイザーになることになったのです。


 小生の仕事はというと、「勝つ」という目標のために何が必要でどうしていくべきかをコーチ、選手とともに帰納法で考え、それを彼らに実行してもらうことだと考えます。
 小生の理念は、どんなことも優れたプランが求められるが、より大切なのは「実行」だということです。


 コーチの立てるプランより、選手が実行することがより重要であるということを忘れてはならないのです。
 全てのことは現実的でなければなりません。コーチはプランを立てたらそれを変えていくのが仕事です。


 練習をすれば、選手もチームも成長し進化するので、それに合わせてやるべきことも変える必要があります。
 まず「チームデザイン」ありきではなく、選手と練習ありきです。それは正しい創造と建築です。


 だから、コーチはいくら時間をかけてもかけすぎることはないのです。フットボールは365日、24時間なのであり、根気と体力がいる仕事なのです。
 ということで、この歳になるとコーチは大変、だからアドバイザーなのです。コーチに「遠慮なくもっと働け」と言うのが仕事だと思っています。


 既にチームを見させてもらっていますが、思っていた以上に才能がある選手(ただし要開発)が多いと感じています。
 まずは、選手の潜在力をプレーに出せるように、アドバイスしていきたいと思っています。(水野彌一)

【写真】立教大の中村監督(左)と水野さん=埼玉県富士見市の立教大グラウンド