関東学生リーグTOP8は第4節が終了し、日大、法大、慶大、早大の4チームが全勝を守っている。10月24日に法大―慶大、25日に日大―早大と全勝同士の対戦が始まり、リーグ戦はいよいよ佳境を迎える。


 攻撃の法大、守備の早大、総合力の日大による三つ巴の戦い。シーズン開幕前の評価はスタッツだけを見れば前評判通りだが、実情は少し違っている。
 日大はQB西澤凌介を中心とした伝統のパス攻撃に加えて、強力なOLがベースのランの破壊力が際立っている。法大はオフェンスの注目度が高かったが、2年生の徳山翔輝ら若手のDLが活躍しており、守備のバランスも素晴らしい。


 一方で前節の専大戦を完封し、総失点がリーグ最少の30と守備が看板の早大は、DBの整備に苦しんでいる。エースCB久保颯の穴を埋めるべく、WRからDBへのコンバート、ルーキーのFSへの抜擢など試行錯誤を続けているが、強力なラン守備とは対照的にパスで崩される場面が目立つ。現状だと日大、法大の2強を追いかける早大という勢力図だ。


 チーム力では上記の3チームに劣るが、同じく全勝の慶大と法大の一戦について見どころをご紹介する。
 この試合はずばり「慶大のRB李卓が150ヤード以上走るかどうか」で勝敗が決まるだろう。李はここまで4試合で591ヤードのラッシングを記録し、関東のリーディングラッシャーとなっている。
 第3節の専大戦はほとんどボールキャリーしていないので、実質1試合平均で200ヤードほどを走っている計算になる。今夏の世界選手権に、学生でただ一人日本代表に選ばれた実力を十分に発揮している。しかし、李と慶大のOLにとっては、ここからがランオフェンスの真価を問われる戦いになる。


 まずは昨年の両チームの対戦を振り返ってみたい。最終スコアは法大28―23慶大で、李のラッシュ記録は8回で33ヤード。前半終了間際に法大守備が引いた状況で33ヤードを走っているので、他の7回のランでは1ヤードも前進できていないのだ。
 昨季の主将DL小林貴(現アサヒビール)を中心とした法大の守備フロントが、完璧に李のランを封じ込めた結果だった。そして、試合後のインタビューで法大の青木均監督は、「パスはいくら通されてもいいから、李君には絶対に走らせるなと指示していた。そうすれば勝てるという確信があった」とコメントした。


 青木監督は今年も李のランを徹底的にマークすると、明大戦後に宣言した。そして、その判断は正しい。なぜなら、李のランが止められると、慶大のオフェンスが一気に苦しくなることは明らかだからだ。
 昨季は高木翼(現オービック)というパッシング能力に優れたQBがいたため、第3ダウンロングの状況をパスで打開することができたが、今季の慶大オフェンスは第3ダウンロングのパスシチュエーションを何度も乗り越える力はない。


 つまり、法大守備としては李のランさえ止めていれば、慶大のオフェンスは必ず手詰まりになるという確信があるだろう。徳山、高橋孝綺の2年生DLコンビが暴れて、テクニックに裏打ちされた高いプレーの理解度を誇る4年生のDL金城慎基、LB早坂亮らが、李を仕留めにかかるはずだ。


 対する慶大オフェンスはどうか。Cの浅原宏太郎を中心に、OLユニット全体が昨年よりレベルアップしている。それは明大戦、中大戦におけるラッシング記録に如実に表れている。
 「米国から帰ってきて、これまで以上にリーダーシップを発揮した取り組みが目立つ」と久保田雅一郎監督が言うとおり、李自身のメンタル面での成長も目立っている。
 しかし、現状では法大の守備フロントの方がサイズとテクニックで1枚上手だろう。「ランを出さないと勝つチャンスはない」と言う慶大のデービッド・スタント・ヘッドコーチに、李を走らせるための秘策が果たしてあるのか。


 こういった勝負では、ファーストコンタクトが重要になる。エースの李がボールを持つ最初のランプレーでゲインを奪えば、オフェンスが勢いづくし、止まれば守備にモメンタムが生まれる。
 もちろん李自身の走力も鍵を握るが、最終的に彼が走れるかどうかは、慶大のOLと法大の守備フロントの勝負によって決まる。
 慶大のOLが昨年のリベンジをするのか、法大DLが再び慶大のランオフェンスを蹂躙するのか。関東TOP8、全勝対決の第1ラウンドのテーマははっきりしている。

【写真】昨季の対戦では法大守備が慶大のRB李(29)を封じた=撮影:seesway