6月6日、富士通スタジアム川崎で行われた早大―関大の定期戦は、関東のライバル日大、法大の学生たちがスタンドで見守る中、早大が30―12で快勝した。


 東西の勢力図が明らかになってきた。関西学生リーグでは5連覇を目指す関学大がQB伊豆充浩の成長とともに調子を上げてきており、7日の神戸ボウルでは社会人のエレコム神戸に45―3で快勝した。


 関学大の対抗馬として、今季最も注目されているのが関大だ。5月に立命大を24―7で下すと、続く関学大との試合では3―23で敗れたが、パスではQB石内卓也が200ヤードを稼いで、何度も関学大のゴール前に迫った。
 関学大の鳥内秀晃監督は、「立命が夏にどこまでチームを仕上げてくるかにもよるが、最も警戒しなければならないのは関大だろう。パスで予想以上にやられた。QBがいい」と、関大の石内、岸村恭吾の二枚看板のQBを高く評価した。


 一方の関東は日大、法大、早大の三つ巴の争いになりそうだ。今春の定期戦で、3年ぶりに関学大に勝った総合力の日大を筆頭に、得点力の法大、堅守の早大の力が拮抗している。
 特に強力な守備フロントで立命大オフェンスを完封した早大ディフェンスの評価が急上昇している。。


 これらの状況を踏まえて、今年の東西の台風の目となりそうな勢いのある両校、早大と関大の対戦は、甲子園ボウルを狙う上位校にとって注目の一戦となった。


 試合経過だけを見ると、前評判通り早大守備の強さが際だった展開となった。前半は関大QB石内の長短織り交ぜたパスで前進を許すが、レッドゾーンでは粘り強く守り切り、終わってみれば失点は4FGの12点にとどめた。
 一方の早大オフェンスは、先発したQB笹木雄太が不調だったが、坂梨陽木に交代してリズムを取り戻す。


 前半終了間際には早大のLBケビン・コグランのインターセプトから攻撃権を奪い、直後のプレーで坂梨が決勝点となるTDパスを決めた。守備のビッグプレーを攻撃が得点に結びつけてモメンタムを呼び込むと、後半も攻守がかみあって関大を突き放した。


 しかし、この試合では評価の高い早大守備の弱点の方が目についた。それはCBのマンツーマン能力と、機動力のあるOLへの対応だ。


 早大の守備フロントはとにかく強い。主将の村橋洋祐を中心としたDLとコグラン、加藤樹の二人のミドルラインバッカ―のコンビネーションもいい。
 だが、DBのレベルはライバルチームと比較すると低い。つまり、パス守備に不安があるのだ。この日は副将のSF寺中健悟とエースCBの久保颯の二人が欠場する布陣だったが、CBがマンツーマンでWRに抜かれて、インターフェアで何とか止めるというような苦しい場面が散見された。
 たまたま一発TDはなかったが、相手が日大のWR岩松慶将や西村有斗らトップレベルのスピードを持った選手であれば、同じ結果にはならなかっただろう。


 ランディフェンスにも課題がある。立命大のOLのようにあまりダウンフィールドブロックをしないオフェンスにはめっぽう強いが、機動力のあるOL相手だと守備のほころびが出てくるのだ。
 つまり、早大守備は二人のMLBに絶大な信頼を置いているため、アウトサイドのLBが外に開くことが多い。中央付近の人数が6人(DL4人・LB2人)になることも多く、DLがOLを処理できずに、コグランと加藤がブロックされると一気に苦しくなる。


 関大のランプレーが出る場面が何度かあったが、OLのブロックがLBまで届いていた。法大オフェンスの象徴とも言えるスピードが持ち味のOLが相手だと、今のままでは崩される場面が増えるかもしれない。
 早大ディフェンスは、LB二人が自由に動けることによってその威力を発揮する。


 日大、法大はこの守備を崩すために、秋までにしっかりと準備をするだろうし、早大も課題を克服するような戦略を用意して、リーグ戦に臨んでくるだろう。
 この三チームの対戦は、昨年のゲームを見ても展開が読みにくい。前半と後半で全く違う内容になった試合もあった。バランスの日大、オフェンスの法大、ディフェンスの早大。秋に繰り広げられる熾烈な三つ巴の争いを楽しみに待ちたい。

【写真】関大との定期戦で、試合の流れを変えるインターセプトを決めた早大DB村上=撮影:seesway、6月6日、富士通スタジアム川崎