5月10日に大阪・エキスポフラッシュフィールドで行われた立命大と関大の試合は、24―7で関大が勝った。昨秋は21―0で立命大が関大を下しており、点差が開いての関大の勝利は大方の予想を裏切る結果となった。


 この試合の1週間前に両チームを取材した。4日に関大、5日に立命大とたまたま連日で練習を見るスケジュールだった。
 関大で印象に残ったのは、QB岸村恭吾のパスが素晴らしかったこと。1年時から試合に出場していて、今季が集大成となる岸村と石内卓也の4年生QBコンビは、ランの岸村にパスの石内のイメージが強かった。岸村のパス力向上は攻撃の幅を広げる上でも大きな武器になるだろうと予想された。


 一方でディフェンスには不安を抱えていた。昨季主将の林直輝(現パナソニック)らスピードのあるLBが卒業し、若手のLB陣は練習中に板井征人ヘッドコーチから何度も厳しい指摘を受けていた。今季主将のDB森岡良介を中心に、経験の少ないLBをどのようにカバーできるのかが守備の課題だった。


 立命大はストロングポイントとウィークポイントがはっきりしていた。何よりも目を引いたのが仲里広章を中心としたDLの圧倒的な強さだ。
 OLもサイズがあり決して悪くはないが、パワーとスピードでプレーを次々に破壊していくDLの個の力は、とても学生のものとは思えなかった。外国人選手を除けば、Xリーグのトップチームと比較しても遜色ないだろう。


 オフェンスの完成度は低かった。昨年から試合に出ているエース候補の2年生QB西山雄斗のポテンシャルは高いが、WRとのパスのタイミングはそれほど合っていなかった。ライン戦で優位に立ち、ランを中心に攻撃を展開できなければ得点力はまだまだ低いと思った。
 両チームの事前の練習を見た印象では、ほぼ間違いなく守備戦になるだろうと考えた。特に立命大の守備は鉄壁で、崩れるとしたら関大の方だろう。10日の試合を現場で見る予定はなかったが、14―6で立命大の勝利が私の予想だった。


 結果は予想と全く違うものになった。立命大の7点は想定の範囲内だが、関大オフェンスが立命大ディフェンスからどのように24点を奪ったのかがイメージできない。
 すぐにスタッツを確認したが、両チームの総獲得ヤードは関大の206に対して立命大は222と上回っていて、どちらかといえば予想どおりの守備戦になったことを表している。関大のパス獲得113ヤードという数字は岸村、石内の両QBの成長を思い起こさせたが、「24」という得点には結びつかない。


 「rtv」で試合を通して見てみると、立命大の敗因がすぐに分かった。キッキングで負けたのだ。第3クオーターの途中までまともにドライブできなかったオフェンスが敗因だと言う人もいるかもしれないが、立命大のオフェンスとしてはそれほど悪くないと思っている。
 つまり、立命大のように守備が強力なチームは、無理に攻撃することよりもターンオーバーを起こさないことの方が大事だからだ。よいフィールドポジションがめぐってきたときに、3点でもいいから確実に得点を積み上げていけば、最終的に試合に勝つことができる。


 試合を振り返ってみよう。第1クオーター4分、立命大のパントがブロックされ、関大はゴール前から攻撃権を得る。このピンチに立命大守備は粘り強く守ったが、反則もあり最後は岸村のTDランで先制を許す。


 第2クオーター、風下に立った立命大はパントで思うように陣地を回復することができない。現場にいなかったのでどの程度風が吹いていたのかは分からないが、パントが高く上がった割には飛距離を稼げなかった。
 中央付近から始まった関大の攻撃で、石内がプレッシャーを受けながらTE青根智広に連続でパスを決めると、最後はRB畑中登のTDランで点差は14点に広がった。


 後半開始早々、立命大はまたもパントで陣地を回復できず、自陣からの守備を強いられる。ここで石内からWR中村聡吾へ一気に34ヤードのTDパスが決まり、関大のリードは21点となった。
 この時、立命大守備としてはもう追加点は絶対に許してはいけない場面だ。FGレンジまでの前進も防ぎたい。その心情を逆手に取るように、ファーストプレーでロングパスがコールされ、DBを抜き去った中村に石内からピンポイントのパスが投じられた。


 3本目のTDを決められた時点で、試合はほぼ決着した。この後、立ち直った立命大のQB西山は1TDを返すが、大勢に影響はなかった。
 この日、石内のパスは素晴らしかったが、関大オフェンスが立命大ディフェンスを崩したかといえば、攻略するまでには至っていない。立命大がしっかりとキッキングで対抗できていれば、試合終盤までロースコアで進み、最後まで勝負はもつれていたと思う。


 フットボールに対する考え方はいろいろあるが、「オフェンス」「ディフェンス」「キッキング」の三つの要素のうち、二つを取れば試合に勝てるという考え方をしているコーチがいる。
 そういう意味では、この試合の攻守についてはともに両チームの守備が主導権を握っていて、互角に近かった。キッキングでミスを犯した立命大が負けるのは必然だったのかもしれない。

【写真】立命大戦に向けて練習する関大の選手たち=5月4日、関大グラウンド