アメリカンフットボールのシーズンもいよいよ終盤戦。今回は、11月16日に横浜スタジアムで行われた、Xリーグのベスト4を争ったIBM―LIXILの一戦をリポート。そこから見えてくる同30日の準決勝での再戦を展望する。


 この試合は、いまひとつ熱気に欠けるものになった。理由は大阪のキンチョウスタジアムで行われた第1試合で、富士通がパナソニックに勝って、ファイナルステージへの1位通過を決めたからだ。


 この結果により、LIXILはIBMに負けてもファイナルステージに進出できることが決まった。しかも、ベスト4の組み合わせでは再びIBMと対戦する可能性が高い。
 つまりこの試合で手の内を見せて勝っても、2週間後の再戦に向けてメリットがない。必勝で臨むIBMに対して、LIXILは難しい判断が迫られた。


 LIXILは鹿島時代の2012年に、逆の立場を経験している。セカンドステージ最終節で富士通に27―15で勝ったが、抽選の結果、2週間後のファイナルステージで再び富士通と対戦したのだ。最終的には24―14で競り勝ったが、前の試合よりもはるかに苦しい戦いを強いられた。


 理由は簡単だ。試合に勝つということは一つ一つのプレーがうまくいった結果であり、反省点を見つけるのが難しい。一方負けたチームは、次の試合に向けて改善策を講じて、大きなモチベーションを持ってこの期間を過ごすことができる。


 LIXILは、QB加藤翔平をはじめとしたレギュラーメンバーの交代は最小限にとどめたが、プレーはかなり限定して戦っていた。この傾向は点差が開き始めた第2クオーターから顕著に表れる。
 試合の決まった後半にはIBMもQBケビン・クラフトがベンチに下がり、ランプレーで時間を流してスムーズに試合が終わった。


 最終スコアは38―10でIBMが勝利したが、LIXILが攻守ともに温存したプレーを展開してくる次の試合は、全く別の内容になる可能性もある。
 IBMの山田晋三ヘッドコーチも、「こっちは負けたら終わりだったので、カードを全部出した。次は相当しんどい試合になるだろう」と警戒を緩めていなかった。


 これらの状況を踏まえて、30日に同じ場所、同じ時間に行われる両者の対戦を予想してみたい。
結論から言うと、それでもIBMがかなり有利と見ている。理由はLIXILのディフェンスがIBMのオフェンスを止めるイメージが、全く浮かばないからだ。


 LIXIL守備は単調だった。ほとんどパスラッシュをかけずに、クラフトに気持ちよくパスを投げさせていた。次戦ではQBに激しくプレッシャーをかけてくるだろう。さらに後ろのパスカバーも工夫するはずだ。
 だが、春から米国人選手を配置したオービック、富士通、ノジマ相模原の強力守備陣と対戦してきたIBMにとっては、それほど脅威になるとは思えないのだ。


 LIXILはオフェンスについてはパス攻撃が十分に機能している。エースWRの前田直輝が守備と1対1になる場面を作れば、どこからでも点を取れるだろう。だから、LIXILが勝つとすれば40点前後の、昨年のオービック戦のようにハイスコアで競り勝つしかないと思っている。
 IBMのディフェンスは試合を重ねるごとにレベルアップしているので、これを崩すのもそう簡単ではないのだが。


 日ごろからXリーグを取材している記者たちに話を聞いても、「IBMのオフェンスが止まらない」という声が多い。果たして、予想どおりハイスコアの展開となるのか。それともLIXIL守備にはクラフトを止める秘策があるのか。2週間後の再戦に注目したい。

【写真】オフェンスのキーマン、IBMのQBクラフトとLIXILのエースWR前田=撮影:Yosei Kozano