日本社会人Xリーグは、10月4日に東地区で富士通―IBMの注目の全勝対決が行われ、41―13で富士通が勝った。IBMの13得点は、2012年に米大学の強豪UCLA出身のQBケビン・クラフトが加入してから最も少なかった。


 試合は第1クオーター、富士通がQBコービー・キャメロンからWR中村輝晃クラークへのTDパスで先制するが、その後は両チームの守備が粘り強く守り、14―6と富士通が8点リードで折り返す。
後半は富士通が21―6とリードを広げて迎えた場面で、守備がIBMのQBクラフトからファンブルフォース。これをDL平井基之がリターンTDに結びつけて、試合の大勢を決めた。
 「もっと苦しい時間帯があると思ったが、守備が想定以上に頑張ってくれた」。富士通の藤田智ヘッドコーチは、四つのターンオーバーを奪ったディフェンスの健闘をたたえた。


 守備の要となる二人の外国人選手は確実にマークされていた。昨季、富士通に加入したDBアルリワン・アディヤミが守るサイドには、パスはほとんど投げられなかった。今季チームに入ったDLオースティン・フリンも、IBMのダブルチームなどで自由に仕事をさせてもらえない。活躍したのは彼らの逆サイドを守る日本人選手だった。


 アディヤミの反対サイドのCBを務める三木慎也は、勝負どころで二つのインターセプトを奪った。「アディの守るゾーンは警戒されているので、こっちにたくさんパスが飛んでくることは分かっていた。ボールを奪うチャンスが増えている」と、自分のサイドが狙われていることを前向きにとらえて臨んだ結果だった。


 DL陣でもフリンの逆サイドの岩熊正貴が、クラフトをQBサックに仕留める。試合を決めた平井のTDも粘り強くラッシュをかけ続けて生まれたものだった。
 「ノーハドルを想定して、夏からDLは本当によく走ってきた。スタミナは確実にアップした」と延原典和守備コーチはフロントのレベルアップを勝因に挙げた。


 外国人選手たちがチームメートへ寄せる信頼も厚い。「とにかく耐えろ耐えろと言い聞かせた。自分がマークされれば、仲間が決めてくれるから」。フリンは来日してまだ3カ月ほどだが、既にチームに溶け込んでいる。アディヤミも「オービックにリベンジするまで絶対に勝ち続ける」と、春のシーズンは負傷で欠場したこともありモチベーションは高い。


 さらに富士通守備に好循環をもたらしているのが、ベテラン選手の奮闘だ。平井や岩熊の活躍をはじめ、チーム最年長のLB鈴木將一郎は、IBM戦ではタックルリーダーとなる好守で勝利に貢献した。
 かつての富士通は能力の高い若手選手に対して、ベテランがあまり存在感を発揮できていなかった。能力に任せて活躍するのは新人の頃で、後はパフォーマンスが落ちていくというような選手も多かった。
 しかし、昨年あたりからベテランが踏ん張り、若手と競争することによってチーム力が向上している。


 外国人、若手、ベテランが一体となり、成熟したディフェンスができあがりつつある。一方、日本選手権5連覇を目指すオービックの守備も、5日にアサヒビールを14―0で破り、ここまでリーグ戦4試合を完封している。
 チームの総合力もそうだが、特にディフェンスにおいてこの2チームの力が突出している。セカンドステージ以降も、優勝候補のこの2チームから目が離せない。

【写真】1Q、IBMのQBクラフトのパスを富士通DB三木がインターセプト=撮影:Yosei Kozano、4日、川崎富士見球技場