関西学生リーグ第2節、京大―神戸大の一戦が9月13日にEXPO FLASHFIELDで行われ、神戸大が10―0で勝った。神戸大が京大に勝ったのは、2006年以来8季ぶりである。


 神戸大は第1クオーター、4年生QB鳥取奨護からWR中平泰次郎へのTDパスで先制すると、第2クオーターには、パントブロックをFGにつなげて10点を先取する。
 守備はDB陣が要所で京大のQB林田祐磨から五つのインターセプトを奪い、前半のリードを最後まで守りきった。


 ともに初戦を落として迎えたこの試合、下馬評では京大が有利と見られていた。理由は、神戸大の3年生エースQB櫻井太貴が欠場したからだ。櫻井は身長182センチのサイズに加えて、40ヤードを4秒台で走る俊足。ロングパスを決める強肩も兼ね備えている。神戸大のオフェンスの中心的な存在だ。


 この日、先発を務めた控えの鳥取は、サイズ、走力、肩の強さ、どれをとっても平均点のQB。試合が始まると、LB高橋一将ら京大守備の鋭いヒットを受けて、なかなか前進することができない。
 しかし、鳥取に慌てる様子はない。タックルを受けてもすぐに起き上がり、笑顔でオフェンスメンバーを鼓舞する。彼が出すポジティブな雰囲気に呼応するように、神戸大のオフェンスの雰囲気は終始よかった。
 そして、第1クオーター7分、わずかな隙をついて決勝点となるTDパスを決めた。


 ボールセキュリティーも素晴らしかった。京大が五つのターンオーバーを許したのに対して、神戸大にミスらしいミスはほとんどなかった。
 10点をリードした後半は、鳥取が自らボールを持って、身を削るように試合時間を消費し続けた。最終的に京大を10分近く上回る、29分を使って攻め続けた。


 結果的に神戸大オフェンスの総獲得ヤードは、京大を下回る152ヤード。パスについては、9回投げて3回成功のわずか25ヤードだったが、総力戦で勝利をつかみとった。


 後日、鳥取に話を聞くと、この試合に向けて強い決意を持って臨んだことを語ってくれた。「櫻井とは能力が違う。自分にできることをしっかりやることだけ考えた」
 時間を使ってロースコアの展開に持ち込むというゲームプランを、見事に遂行した。さらに、試合中笑顔を見せていることについて聞くと、鳥取はこう答えた。「以前コーチに、QBが不安な態度を見せたら、オフェンス全体に影響すると言われた。どんなに苦しい場面でも、態度と表情はポジティブでいるように心がけている」


 「仲間を信頼し、自分ができることに集中する。常に前向きに行動して、最大限の力を発揮する」。司令塔であるQBは、フィールド上のリーダーとして、マイナスの感情をコントロールし続けねばならない過酷なポジションなのだ。
 この日鳥取が見せたパフォーマンスは、フットボールに限らず、あらゆる組織のリーダーとして最も重要なことではないだろうか。


 今季、神戸大が目標にしているのは、リーグ戦の勝ち越しだ。現在1勝1敗で、ターゲットとなるのが近大、龍谷大、同大の3チームだろう。格上の近大と龍谷大に対しては、ある程度リスクの高いプレーも求められる。その時、どのようなプレーを見せるのか。リーダーとして成長を続ける鳥取のプレーに注目してみたい。

【写真】神戸大のオフェンスを率いたQB鳥取=写真提供:P-TALK、13日、EXPO FLASHFIELD