3年連続学生日本一の関学大の春第1戦が4月19日、神戸・王子スタジアムに慶大を迎えて行われ、関学大が昨季からのエースQB斎藤圭を中心に、安定した試合運びで37―28で勝った。
 今季躍進が期待される慶大は、QB高木翼を軸に攻撃で関学大を上回る347ヤードを獲得したが、キッキングのミスで試合の流れをつかむことができなかった。


【第1Q:関学大13―7慶大】
 試合開始のキックオフ、慶大がRB李卓の100ヤードリターンTDで先制。関学大も斎藤圭を中心にラン、パス織り交ぜた攻撃で前進すると、WR横山公則へTDパスを決めてすぐに同点に追いつく。続く慶大の第1プレーはショートパス。これを関学大のLB吉原直人がフラットゾーンに飛び込んでインターセプト。そのままエンドゾーンまで持ち込み逆転する。


【第2Q:関学大27―14慶大】
 QB高木のパスとRB李のランでゴール前1ヤードまで攻め込んだ慶大は、力勝負を挑む。だが、関学大守備の壁は厚く、4回連続でラン攻撃を止められて攻守交代。続く関学大の攻撃は、2年生のスピード派RB橋本誠司がTDランを決めて点差を広げる。
 第2Q終了間際、慶大オフェンスはゴール前3ヤードのチャンスに、QB高木から新人WR柴田源太にTDパスを通して6点差に迫る。続くキックオフで関学大の主将RB鷺野聡がリターンTDを決めて、再び13点差として前半終了。


【第3Q:関学大30―14慶大】
 関学は、パンター兼任の2年生QB伊豆充浩を投入。WRも若手に切り替えて、ラン主体の攻撃を展開する。これを慶大守備が今季LBからコンバートしたDLライト太一らを中心に止めて、FGの3点みに抑える。関学大守備も慶大オフェンスにアジャストしてダウン更新を許さない。試合は一進一退のこう着状態となる。


【第4Q:関学大37―28慶大】
 慶大がゴール前まで攻め込み、このQ開始早々に高木のQBスニークでTD。9点差とする。続く関学大のドライブは、一度はパントに追い込まれるが、慶大の反則により前進。最後はRB橋本がこの日2本目のTDラン。慶大は残り1分を切ったところで1TDを返したが、及ばなかった。


 ▽「厳しさ足りない」
 「仲良し」。今年のチームの特徴について質問された関学大の鳥内秀晃監督は、皮肉を込めてこう表現した。今季のチームは司令塔の斎藤をはじめとして温厚な選手が多く、例年と比べても特に仲がいいという。
 若手WR陣に落球が目立ったことについて鳥内監督は、「周りが優しすぎる。秋はごめんじゃすまない。落とした連中は何度もチャンスがあると思わない方がいい。1年生にもいい選手はたくさんいる」と厳しい表情を崩さなかった。


 この指摘に対してオフェンスを引っ張る斎藤は、「練習中からミスが目立っていた。自分がもっと厳しく指摘していかないといけない」と語った。また、個人の課題については、「昨年1年間でパスに自信はついた。もっと効果的に走れるようになりたい」とQBとしての更なるレベルアップを目標に掲げていた。


 ▽若き才能の対決
 この試合で激しい競り合いを見せていたのが、慶大の2年生WR田邊翔一と関学大の3年生DB田中雄大の二人だ。田邊は慶応高野球部出身の未経験者だが、今季スターターの座を勝ち取った慶大のエースレシーバー候補だ。
 マッチアップした田中も昨季、2年生ながら先発メンバーに抜擢され、日本選手権ではオービックの木下典明、萩山竜馬ら日本を代表するWRらと勝負して、2インターセプトを記録した関学期待のDBだ。


 第2Q、ポストパターンのパスを田邊が関学大のDB梅本裕久と競り合いながら片手で捕球すると、スタンドが大きく沸いた。
 だが、田中がマークした場面では田邊に簡単には仕事をさせず、3回捕球48ヤードにとどまる。能力の高い二人の闘志が全面に出たプレーだった。


 ▽許されないキッキングのミス
 「キッキングの二つのミスが致命的だった」。慶大のデービッド・スタントHCは敗因についてこう語った。
 第2Q終了間際に許したリターンTDと、第4Qに犯したラフィング・ザ・キッカーの反則。これが、追い上げムードに水を差すかたちとなった。


 スタントHCは関学大戦に向けて、並々ならぬ気迫でチーム作りを進めてきた。3月の時点で、プレーの精度はかなり高かった。
 守備に課題を残したが、攻撃は王者に通用していた部分も多くあった。だが、キッキングでミスをしては格上のチームに勝つことはできない。


 関学大は攻守共に安定していたが、若手を起用していたことを差し引いても王者としてもの足りなさを感じた。
 この印象は1年前も同じだった。斎藤については、失礼ながら「このQBでは立命大に勝てないだろう」と思った。だが、秋には全く違うチームが出来上がっていた。斎藤は別人のように生き生きとパスを通していた。


 全日本大学選手権(甲子園ボウル)4連覇と打倒社会人を目指す関学大。4月27日には、東京・アミノバイタルフィールドで春恒例の日大との定期戦に臨む。昨年の甲子園ボウル以来のライバルとの再戦は、今季を占う試金石になりそうだ。

【写真】学生選手権4連覇を狙う関学大のエースQB斎藤=撮影:山岡丈士、19日、王子スタジアム