日本社会人Xリーグ、東地区の全勝対決となった富士通と鹿島の一戦が21日、等々力陸上競技場で行われた。企業チーム同士としては最後となる可能性もある両者の対戦は、前半に攻守で圧倒した富士通がリードを守りきり、15―7で鹿島を下した。この結果、富士通は東地区1位、鹿島は2位で第2ステージに進出した。試合を決めたのは、この日がXリーグデビュー戦となった、富士通のDBアルリワン・アディヤミのインターセプトだった。


 今季富士通には3人の外国人選手が加入した。RBジーノ・ゴードン、DLアンドルー・セウマロ、DBアルリワン・アディヤミだ。3人とも米大学時代の実績は申し分ないが、映像を見る限り関係者の間で最もハイレベルな選手と予想されていたのが、サンディエゴ大の通算インターセプト記録を保持しているアディヤミだった。体調を崩すなどしていたため、アディヤミはリーグ最終戦の強豪鹿島戦で初めて日本のフィールドに立つことになった。


 身長177センチ、体重79キロ。DBとしてのサイズは日本人の平均と変わりない。実際にはもう少し小柄に見える。だが、そんなことを感じさせないほど彼の動きは際立っていた。足が速く身体能力が高いのはすぐに見てとれる。試合終盤に最大のピンチを救ったエンドゾーン内で決めたインターセプトも、驚異的な反応と動きでボールをもぎ取った。
 だが、試合後にアディヤミはこう語った。「自分より運動能力の高い選手は米国にたくさんいる。大事なのはフィルムスタディーだ。対戦相手の傾向や特徴を分析してイメージを作る。僕が小さい体で今までやってこられたのは、そこを徹底したからだ」。これらの考え方や基礎技術の高さなど、アディヤミの取り組みはチーム内に少なからず好影響をもたらしているようだ。


 富士通の延原典和守備コーチはアディヤミについて、さらに付け加える。「インターセプトも期待できるが、彼の守備を警戒させることで、パスを投げさせないという抑止力の効果も大きい」。この日、鹿島のQB山城拓也、加藤翔平が投じた30回のパスのうち、アディヤミが守るゾーンにボールが飛んできたのはわずか2回(スクリーンパスを除く)。
 1回目はショートパスを捕球したWRを素早くタックルし、2回目はエンドゾーン内でインターセプトに仕留めた。おそらくこの日のプレーを見たら、第2ステージ以降の対戦相手はアディヤミの守るゾーンに簡単にパスを投げ込むことはできないだろう。その存在感だけで相手QBに無言の圧力をかけることになる。さらに彼をオービックのWR木下典明、IBMの栗原崇ら相手のエースレシーバーにマッチアップさせるなど、戦術の幅がかなり広がりそうだ。


「日本でプレーできることに心から感謝している。仲間とともにタイトルを勝ち取りたい」。人なつこい笑顔でこう語ったアディヤミは、試合終了後、多くのファンから愛称である「アディー」と呼ばれ、サインや写真撮影に応じていた。出場1試合目にして大きなインパクトを残した本場のプレーは、早くもファンの心をつかんだようだ。

【写真】第4Q、鹿島のTDパスをエンドゾーン内でインターセプトする富士通のDBアディヤミ=撮影:Osamu Ikeda、21日、等々力陸上競技場