アメリカンフットボールの東日本社会人選手権「パールボウル」決勝が24日、東京ドームで行われ、鹿島が17―10で富士通に逆転勝ちし、4年ぶり8度目の優勝を果たした。今季限りで親会社の援助が打ち切られる鹿島と富士通の企業チーム同士の対戦に、過去10年では最多となる1万9250人の観衆が詰めかけた。


 ▽3人ラッシュ
 「前半は小林選手(富士通OL)にかなりやられていたので、最後にいいプレーができて良かった」。試合終了間際、鹿島のDL鈴木修平が試合を決めた。7点差を追う富士通の攻撃。残り2分を切って自陣30ヤード付近まで攻めこまれたが、鈴木が富士通のQB平本恵也をタックルして大きく後退させ、富士通の反撃の芽を摘んだ。
 通常QBにプレッシャーをかける守備選手は4人。勝負どころではその人数を増やして5、6人でパスを投げる前につぶしにいく。対する攻撃側は5~7人で司令塔を守る。鈴木がQBサックを決めたプレーで、鹿島のラッシュはわずか3人だった。相手のTDを阻止するために、後方の守備に人数を割いていたからだ。3人でラッシュする時は意外とチャンスがある。オフェンスは大勢のラッシュを想定したブロックのコンビネーションにはかなりの練習時間を費やしている。一方、少人数のラッシュで目の前に相手がいなくなると、誰をブロックするのか戸惑い、連携が乱れることがあるのだ。この日、富士通のOLは試合全体を通してQB平本をよく守っていた。しかし、鈴木はわずかなすきを逃さなかった。


 ▽以心伝心
 MVPに選ばれたのは予想外の選手だった。鹿島のWR岩井悠二朗。同期で日本代表のWR前田直輝らの陰に隠れて、WRとしてこれまで目立った活躍は少なかった。しかし、キッキングでの堅実なプレーや献身的なブロックなど、岩井に対するチーム内での信頼は厚い。
 第3クオーター、決勝点となるTDパスを捕球した。WR鈴木謙人をターゲットにしたパスプレーだったが、岩井は鈴木がうまくリリースできていないことに気づく。「もしかしたら(自分にパスが)来るかもしれない」とエンドゾーンの奥に走りこんだ。QBの山城拓也はそれを見逃さなかった。山城から思い切りよく投げ込まれたパスを、岩井がわずかにエンドゾーンにつま先を残して捕球した。日大時代から10年以上コンビを組む、2人の「あうんの呼吸」が生み出した、逆転のTDパスだった。

【写真】パールボウル決勝、4年ぶり8度目の優勝を決めた鹿島の選手たち=撮影:Yosei Kozano、24日、東京ドーム