アメリカンフットボールの東日本社会人王者を決めるパールボウルトーナメントの決勝が、24日に東京ドームで行われる。企業チームとしては今季限りとなる鹿島と、日本選手権3連覇中の王者オービックを破り勢いに乗る富士通の対戦は、白熱した好ゲームが期待できそうだ。


 ▽鹿島守備の対応力
 鹿島と富士通は昨年のXリーグのプレーオフで2度対戦している。ともに鹿島が勝利したが、決め手となったのは簡単にはTDを許さない守備の粘りだった。1戦目はドライブされながらも富士通の攻撃をFG5本に抑えた。2戦目はスキームを大きく変えてきた富士通オフェンスに第1クオーターで2TDを奪われた。しかし「若手とベテランがうまくかみ合っていて、試合中でも落ち着いて対応できる」という鹿島の伊藤吾朗守備コーチの言葉通り、その後は相手の攻撃を勝負どころで封じた。
 ファンの記憶に最も残っているのが2008年の両者の対決。鹿島が2点リードして迎えた試合終了間際に富士通が攻め込んだ。鹿島はこのピンチに、DL鈴木修平がQBに激しいプレッシャーをかけてDB加藤公基のインターセプトにつなげ、勝利をもぎとった。パールボウルトーナメント準決勝のノジマ相模原戦でも、DB佐野忠也のインターセプトなど、要所でボールを奪う粘り強い守備で試合をコントロールした。


 ▽富士通攻撃の切り札
 富士通には頼もしい新人がいる。WRの宜本潤平。身長169センチと小柄だが、キックオフのカバーでは弾丸のように飛んでいき、鋭いタックルでリターナーを仕留める。立命大出身の宜本は昨年、甲子園ボウル出場をかけた関学大との全勝対決でエースWRとして出場したが、前半に負傷。攻め手を欠いた立命大は0―27で敗れた。試合後、宜本は4年生全員に謝ったという。「この悔しさは社会人の舞台で晴らすしかない」。不完全燃焼だった学生時代の思いを胸に、フィールドで躍動している。
 弟の活躍に、兄で副将のWR宜本慎平も刺激を受けている。元々勝負強い選手だが、球際の強さに磨きがかかった。2シーズン前まで富士通でプレーしていた米国人WRブラッド・ブレナンを思い起こさせる抜群の捕球力。準決勝のオービック戦では、チーム最多となる7回のパスレシーブを記録し、3年間無敗だった王者を破る原動力となった。富士通の柳秀雄攻撃コーチは「勝ち気な性格の兄弟が、チームに素晴らしい影響を与えている」と話す。決勝では宜本兄弟を中心としたパス攻撃が鹿島守備攻略の鍵を握りそうだ。


 ▽企業チームのプライド
 今季限りでチームの解散が決まっている鹿島は、準備委員会を設置して来季以降のチームづくりと平行して春のシーズンを戦っている。主将のRB丸田泰裕を中心に、新チームの理念を模索していく中で、そもそも鹿島とはどのようなチームなのかを選手全員で考えているという。
 富士通も数少ない企業チームとして、その存在意義を自問自答している。応援し、支えてくれる会社や地域の人たちに対して自分たちは何ができるのか。毎年秋の本番で優勝候補の一角に名を連ねながら、日本一のタイトルを手にしたことはない。今回の決勝は、鹿島以上に結果が問われる試合になる。

【写真】決勝に向けて意気込みを語る鹿島の森HC(左)と富士通の藤田HC=撮影:Yosei Kozano、6月18日、都内ホテル