社会人Xリーグのパールボウル・トーナメント準決勝が5月25日、川崎球場で行われ、日本選手権(ライスボウル)3連覇中のオービックは富士通に13―31で敗れ、公式戦の連勝が37で止まった。オービックの敗戦は、2010年7月にパールボウル決勝で同じ富士通に敗れて以来。


 約3年間勝ち続けていた王者があっけなく敗れた。試合の序盤にパントキックの処理で立て続けにミスが起き、タッチダウンとセーフティーで9点を献上する。「ミスで浮足立つようでは論外。その点は大丈夫だった」。オービックの大橋誠ヘッドコーチ(HC)の言葉通り、チームが慌てることはなかった。前半終了間際にQB菅原俊がWR木下典明にTDパスを決めると、後半にはLB古庄直樹がインターセプトリターンTDを決めて一時は逆転した。だが、その後は富士通に3TDを許すなど攻守で力負けした。
 オービックはこの試合の1週間前にドイツ遠征を行うなど、強行日程で試合を消化していた。大橋HCはコンディションに問題があったことを認める一方で、「きょうは全ての精度で相手が勝っていた」と勝者をたたえた。


 富士通守備がオービックの攻撃を抑え込んだ。QB菅原は、相手守備の戦略を瞬時に判断する能力に長けた選手だ。タックルをかわすのがうまく、QBサックを受けることが少ない。だが、この日はパスを投げられずにタックルされる場面が目立った。
 ポイントは二つある。一つは富士通が試合を通して最後まで菅原に守備戦術を読ませなかったことだ。菅原はノーマークのWRがいない時や、相手のパス守備が判断できない時に無謀なパスを投げない。菅原がパスを投げられない状況を作り出し、いわゆるカバーサックを量産した。そして、もう一つは富士通守備の第一列が完全にオービックのOLをオーバーパワーしたことだ。一人だけならタックルはかわされるが、複数の選手が包みこむように圧力をかけたため、QBの逃げ場はなかった。試合後、菅原は「今までとは明らかに守備の手法が変わった。守備選手11人の完成度が高かった」と、富士通守備の新戦術に対応できなかったことを敗因に挙げた。


 試合後のオービックのミーティングには重苦しい空気が流れた。勝ち続けることで強くなってきたチームである。大橋HCは「負けることでしか学べないこともある。この敗戦を生かさなければならない」と語る一方で「決して負けることに慣れてはいけない」と選手を戒めた。今シーズンは前人未到の日本選手権4連覇がかかる。秋までに王者がどうチームを建て直してくるかが注目される。

【写真】オービックのQB菅原をタックルする富士通のDL古木=撮影:Yosei Kozano、25日、川崎球場