早大の浜部昇監督代行と、慶大のデービッド・スタント・ヘッドコーチ。ともに新指導体制となったチーム同士の一戦として注目された伝統の早慶戦が、4月29日に東京・駒沢陸上競技場で行われた。試合は序盤から早大がリズムをつかみ、RB井上広大のTDランで先制すると、前半だけで4TDを奪う猛攻を見せた。後半は慶大守備が粘ったが、早大が前半のリードを守り、38―7でライバル対決を制した。


 ▽春は予行演習
 TDを奪った早大の攻撃陣が、浜部監督代行と笑顔でハイタッチを交わす。この日、何度も繰り返された光景だ。早大のプレーのバリエーションと完成度は、新チームで臨む春のシーズンとは思えないレベルに達していた。
 早大は、昨年の夏合宿で未成年者の部員に飲酒を強要したことなどが発覚し、リーグ戦終了後の11月に朝倉孝雄監督が不祥事の責任をとって辞任した。監督代行に就任した浜部氏は、指導体制を一新し、急ピッチでチームを作り上げてきた。春は結果にこだわらないチームも多いが、早大は春の試合を本番の秋シーズンに向けた予行演習と位置づけた。「プレーの精度を高めて勝ちにいった」という言葉通り、攻守で慶大を上回った。


 ▽教え子たちの奮闘
 短期間でプレーを詰め込んできたため、選手の消化不良が心配された。しかし、早大学院高で監督を務めていた時の教え子たちを中心に、選手たちは見事なパフォーマンスで期待に応えた。特に攻撃は浜部監督代行が以前にコーチ留学していた、南カリフォルニア大の戦術を取り入れている。高校で導入していたオフェンスとコンセプトは大きく変わらないため、選手たちが短い準備期間でも順応することができた。


 ▽大学でも日本一
 2010年、浜部監督代行は早大学院高を24年ぶりとなる日本一に導いた。11年の大産大付高との両校優勝を含めて全国高校選手権(クリスマスボウル)3連覇を果たしている。部活動の時間だけではなく、高校の教諭として日頃の学校生活から選手たちを指導し、常勝チームを作り上げた。高校で頂点を極めた教え子たちとともに、今度は大学での日本一を目指す。
 浜部監督代行についてQB木村隆は言う。「高校時代から監督としてだけではなく、一人の人間として尊敬している。1月3日に東京ドームで浜部先生を胴上げするのが夢」。5月5日には関西の強豪、立命大と対戦し21―24と善戦した。チームの再建を託された指揮官の下に結束した「新生ビッグベアーズ」の動向に注目だ。

【写真】3年ぶりの甲子園ボウル出場を目指す早大の選手たち=4月29日、駒沢陸上競技場