2月17日、東京・汐留で日本社会人Xリーグ富士通の現役タイトエンド(TE)白木栄次さん主催のイベント「Athlete Of Japan」が開催された。講演と座談会の2部構成で行われたイベントには、14競技から17人のトップアスリートが参加した。


 ▽頂点をつかむ取り組み
 Jリーグ、ラグビーといったメジャーな競技からドラゴンボートやウィンドサーフィンといった、あまり知られていない競技の選手まで多彩な顔ぶれがそろった。参加者には事前にヒアリングシートが配布され、関心の高いテーマに絞って議論が交わされた。
 「試合前のプレッシャーを克服する方法は?」という話題で座談会が始まると、総合格闘技の川村亮さんが口火を切った。「お客さんのことを考える。プロとして楽しませる責任があるから」。サッカーのロンドン五輪代表の斎藤学選手は、「前評判が低かったので(五輪の)プレッシャーはなかった。みんなマスコミを見返してやろうという気持ちだった」とベスト4に躍進した舞台裏を語った。
 「とにかく思っていることを紙に書き出して可視化する。考えを整理することで、次の取り組みに生かせる」。フライングディスクを使ったアルティメットという競技で日本代表の監督兼選手として活躍し、世界選手権優勝に導いた森友紀さんの発言に対して、ボクシングの元世界チャンピオンの高山勝成さんも、「ラウンドごとに一つだけ意識することを決めて、コーナーで復唱している」と話した。各選手がその道のトップならではの独自の取り組みを披露した。


 ▽アスリート取り巻く厳しい現状
 最も関心の高かったテーマがアスリートとしてのキャリアだ。日本で完全なプロ選手として生活していける競技者は限られている。陸上長距離の安生充宏さんは、「ランニングブームで競技人口は増えているのに、スポンサーがついてプロとして活動できる選手はごくわずか」と陸上界の実情を明かした。フットサル日本代表主将の小宮山友祐さんは、プロリーグの給料だけでは生活できない選手が多い現状を説明した上で、昨年のW杯に参加した三浦知良選手の言葉を紹介した。「今のフットサル界は20年前のJリーグと同じような状況」。フットサル界の先駆者として男女サッカーに続く飛躍への思いを語った。
 2016年のリオデジャネイロ夏季五輪から正式競技として採用される、7人制ラグビー女子日本代表の鈴木実沙紀さんにはジレンマがあった。五輪に向けてレベルアップするため海外に挑戦したいという気持ちと、現役の大学生として将来のために必要な資格を取得したいという思いがあるという。これに対して「資格はいつでも取れる。今挑戦しないと絶対に後悔する」と、大学を卒業後米国に渡り、4年以上NFLに挑戦していた井上友綱さんがアドバイスした。


 ▽スポーツ界の発展を目指して
 「参加者のパフォーマンスやモチベーションの向上につながれば」。そんな思いで開催されたイベントは、予想以上の相乗効果を生み出している。メンバーは交流サイトなどで連絡を取り合い、各競技の要素を盛り込んだ合同合宿の企画なども出ている。白木さんは言う。「競技の枠にとらわれずスポーツ界のネットワークを広げて、高め合っていきたい」。アメリカンフットボール選手が中心となって発足したこのコミュニティが、日本のスポーツ界にどんな役割を果たしていくのか。今後の展開を見守っていきたい。

【写真】活発に意見を交わした各競技のトップアスリートたち=17日、汐留、撮影:Yosei Kozano