日本人初のNFL入りに挑戦していたQB井上友綱さん(26)=早大出=が、NFLを目指す次世代の選手を育成するため、1月12日から14日まで千葉県でアメリカンフットボールのキャンプを開催した。キャンプには高校生と大学生38人が参加した。


 ▽情熱にひかれる人々
 コーチ、トレーナー、栄養士にヨガの先生まで井上さんの志に共鳴した多くのスタッフが集まった。中でも「ガッチャバック」という仕組みで井上さんの米国挑戦の資金集めに尽力した田中なおぶみさんは「自分が友綱君から得ているものの方が大きい」と、今回も事務手続きなどの裏方を進んで買って出た。陸上界のトップ選手として活躍した為末大さんは、ランニング技術や思考法を惜しみなく披露した。「海外に出て、世界的に活躍する日本人アスリートが増えてほしい。陸上とアメフトの親和性は昔から感じていた」


 ▽自己管理
 キャンプ2日目の夜、夕食の準備に遅れてきた選手たちを井上さんが叱った。「NFLの選手が遅刻すると思うか」。NFLのキャンプでは、たった一度練習に遅刻しただけで、次の日にはカットされることもあるという。米国のトップアスリートにとって自己管理を徹底するのは当然のことで、一流の選手は「超」がつくほどまじめだそうだ。井上さんは、米国挑戦を通じて肌で感じたことを、自分の言葉で伝えていた。


 ▽奨学金の設立へ
 日本人初のNFL選手を送り出すというゴールに向けて、当面の目標を聞くと明確で具体的な答えが返ってきた。「フットボールキャンプを定期的に開催することと、奨学金制度を設立すること」。特に優秀な選手をできるだけ早く、米国の環境でプレーさせたいとの思いがある。
 井上さんはネガティブな言葉を一切口にしない。例えば何をするにも資金面の問題はつきまとうが、その不安を全く感じさせない。「フットボールで儲けようとは思っていませんから、何とかなります」。早大を卒業後、様々なNPO法人などでのボランティア活動を通じて、資金をやり繰りしてきたことも自信になっているのだろう。人一倍の情熱を武器に突き進む、井上さんの今後の活動に注目したい。


【井上友綱(いのうえ・ともつな)のプロフィル】
 1986年生まれ。追手門学院高時にフットボールを始め、190センチの長身QBとして早大で活躍。卒業後は一貫して米プロフットボールNFLを目指して活動する。09年には米アリーナフットボールリーグ2部でプレー。その後もNFL選手発掘のトライアウトを通過するなど米国を拠点に活動し、12年に帰国。現在は「TOMOTSUNAアカデミー」を設立して、NFLを目指す次世代の選手を育成すべく活動している。

【写真】「TOMOTSUNAアカデミー」を創設し、フットボールキャンプを主催した井上さんと選手たち=13日、千葉県安房郡、撮影:Yusuke Ogata