日本社会人選手権(ジャパンエックスボウル)が17日に東京ドームで行われ、オービックが鹿島を27―24で下して、史上初の3連覇を果たした。2010年の秋季シーズンから続く公式戦の連勝記録は「35」に伸びた。オービックは来年1月3日の日本選手権(ライスボウル=東京ドーム)で、2年連続で甲子園ボウルを制した学生王者の関学大と対戦する。


 ▽王者のパスユニット
 「誰か1人をマークしても止められない」。試合前、鹿島の伊藤吾朗守備コーチは頭を悩ませていた。オービックのWR陣は数年前までは清水謙がエースポジションに収まっていたが、昨シーズン、NFLに挑戦していた木下典明が加入すると、他の選手もめきめきと頭角を現した。その中でも萩山竜馬の成長が目覚ましい。母校である東北大のコーチを務めながら、今季はオービックでもリーダーシップを意識した取り組みを続けているという。「チーム内での競争が刺激になっている。2人(木下、清水)にも負けるつもりはない」。今シーズン、全試合でTDを決めている成長株は、この日もチームトップとなる13本目のTDパスをキャッチした。


 ▽鹿島WR前田が終盤に活躍
 試合の終盤、鹿島のWR前田直輝が爆発した。第3クオーター、QBのポジションに入ってブロッカーをうまく使った巧みな走りをみせると、3点差へ迫る最後のドライブではオービックのDB陣を置き去りにして、TDプレーを含む2本の決定的なパスを捕球した。
 前田は昨年の世界選手権に日本代表として出場。大会のベストメンバーに選ばれるほどの能力に恵まれながら、プレーを向上させるための努力を怠らない。ここ数年、体重をかなり増減させているのもWRとして理想のプレーを追い求めた結果だ。この日も藤本将司、渡辺雄一ら日本を代表するオービックのDB陣を攻略するために、秘策を練っていたそうだ。「スピードでかわすか、パワーで対抗するか1プレーごとに考えていた」。その取り組みが後半に結実したが、試合後は「思うようにプレーをできたのが遅かった。もっと早くからできていれば…」と話した。


 ▽ターンオーバー
 第3クオーター、オービックのDLビーティー・ジュニアのインターセプトを、大橋誠ヘッドコーチ(HC)が珍しく感情をあらわにして喜んだ。理由は明らかだった。2000年にHCに就任して以来、ターンオーバーの重要性を強調してきた。たとえ攻守で劣勢でも、ターンオーバーバトルで相手に三つ勝ることができれば、勝利を手繰り寄せることができると「プラス3」をテーマに掲げていた。前半が終了してスコアは7―10。二つのファンブルにインターセプトがあり、三つのターンオーバーを喫する完全な負けパターン。後半の開始早々、オービックにとって悪い流れが続く中で、ハーフタイムに大橋HCが指示をしていた通りのかたちで生まれたのが、ビーティーのインターセプトだった。その後も勝負どころで主将のLB古庄直樹がインターセプトを奪うと、攻撃陣は前半のミスを取り返すようにドライブを完結させた。後半に2ターンオーバーを奪ったビーティーは、「後半はとにかくボールを狙っていた。KG(関学大)のスキームは素晴らしく、強いチームだが、絶対に勝つ」と、ライスボウルに向けて意欲をのぞかせた。

【写真】第4クオーター、決勝点となるTDランを決めるオービックのRB中西=17日、東京ドーム