Xリーグセカンドステージの第2節で、アサヒビールとアサヒ飲料が11月10日に大井第二球技場で対戦した。試合は延長戦の末に、アサヒビールが26-20で制した。この結果によりBブロックはオービックの1位通過が確定した。アサヒ飲料は最終節のオービック戦に勝てば、ファイナルステージ進出の可能性を残す。


 ▽「アサヒ対決」
 セカンドステージの初戦となった3日のアサヒビール―オービックで、アサヒビールは3連覇を目指す王者の猛烈な勢いに圧倒され、7-69の大敗を喫した。敗戦からわずか1週間後のアサヒ飲料戦。戦力的には互角だが、ファイナルステージ進出の芽が断たれたアサヒビールと、4年ぶりにパナソニックを破って勢いに乗るアサヒ飲料ではモチベーションの差は明らかだと思われた。第1クオーターにテンポのいいドライブからアサヒ飲料が先制のTDを奪う。この時点で「アサヒ対決」が延長戦5回に及ぶ熱戦になるとはとても想像できなかった。だが、この試合での引退を決めていたQB有馬隼人を中心に、攻守に気迫のあふれるアサヒビールと、ファイナルステージ進出のために負けられないアサヒ飲料は、一進一退の攻防を繰り広げた。


 ▽白熱の延長戦
 戦いはタイブレーク方式の延長戦へともつれこんだ。アメリカンフットボールの延長戦は野球と同じように表と裏の攻撃を繰り返し、得点差がついた段階で決着する。アサヒビールにとって延長戦は今季2度目だ。リーグ戦の初戦、ノジマ相模原戦では延長1回表にTDで先制し勝利は目前だったが、守備がふんばれずに逆転負けした。
 この日は1回表、先攻のアサヒビールの攻撃は無得点。アサヒ飲料は裏の攻撃でFGの3点でも決めれば勝ちという状況になった。第4クオーター終了間際のアサヒ飲料K影山進治のキック(56ヤード)の感触を見れば、40ヤード前後の距離は問題なく入りそうな雰囲気だった。しかし、ここからアサヒビールの守備が奮起する。激しい守備で1回裏をFG失敗に追い込むと、その後も素晴らしい集中力で相手の前進を許さず、最後はDB植村鷹輝のインターセプトで3時間を超える激戦の幕が下りた。延長戦5回までのアサヒ飲料の攻撃、全18プレーによる合計獲得ヤードはマイナスを示していた。


 ▽名門「シルバースター」のプライド
 試合後のハドルに劇的な勝利を歓喜する姿はなかった。関口順久ヘッドコーチをはじめ、多くの選手、スタッフの目には涙があふれていた。社会人の試合では珍しい、まるで学生の引退試合のような光景だった。涙の理由は、目を真っ赤にはらした主将のDL定方雄太の言葉に全て詰まっていた。「ふがいない試合、シーズンが続いた。シルバースターはまだ終わっていない、過去のチームではないことを証明したかった。ただプライドのためだけに戦った」。アサヒビールは有力な若手がチームの中心として機能していて、戦力は整いつつある。来季は、過去に日本選手権(ライスボウル)連覇も果たしている古豪の巻き返しがあるかもしれない。

【写真】延長タイブレーク5回表にTDランを決めて、拳を突き上げるアサヒビールRB濱田=撮影:Yosei Kozano