社会人Xリーグのセカンドステージ初戦は3日にアミノバイタルフィールドなどで行われ、IBMはパナソニックに17-34で敗れてファイナルステージ進出の可能性がなくなった。今季のXリーグは米国出身のQBが日本で初めてプレーすることが大きな話題となった。IBMのケビン・クラフトとエレコム神戸のライル・モエバオ。2人の本格派QBが残したものとは何だったのか。


 ▽東西開幕戦の衝撃とライバルの対応
 米国の名門「UCLA」出身のクラフトとオレゴン州立大出身のモエバオは、Xリーグ中地区のIBM―富士通、西地区のエレコム神戸―パナソニックでそれぞれデビューした。クラフトはクイックリリースから正確なコントロールのパスを次々に繰り出して攻撃を指揮し、昨季リーグ準優勝の富士通をあと一歩まで追いつめた。モエバオもパナソニックのQB高田鉄男の負傷があったとはいえ、堂々たるクオーターバッキングで強豪相手に近年にはない接戦を演出した。
 しかし、その後対戦した強豪チームの対応も早かった。王者オービックは豊富なタレントを駆使した多彩な守備戦術でIBMを圧倒。パナソニックもパスラッシュの人数を減らして8人で強固なパス守備を展開した。エレコムは序盤に主導権を奪われたアサヒ飲料戦に続き、ブリッツを多用したアズワンの積極的な守備の前に、3インターセプトを喫して、セカンドステージの上位リーグ進出を阻まれた。米国人QBが率いる攻撃に対しても、情報さえあれば日本のトップチームは対応できることが示されたといえそうだ。


 ▽来季の去就
 2人に共通しているのが、日本での準備期間が短かったことだ。モエバオがエレコムに合流したのも、クラフトがIBMで本格的にリーダーシップを発揮し始めたのも春季シーズンの終了後。実際、IBMの夏の練習を見た時点でレシーバーとのタイミングはそれほど合っていなかったが、試合を重ねるごとに精度が増していった。少し気は早いが注目されるのが2人の去就だ。パナソニック戦後に「予定は決まっていない」と言葉少なだったクラフトに対して、エレコムのモエバオはアズワン戦後に、「今年はテストのようなもの。お互いを知れば知るほど、もっといいプレーができる」と来季もプレーする意欲に満ちていた。
 モエバオをはじめ、エレコムが今季RBロッキー・アロ、DLタイラー・オズボーンの3人の外国人選手を獲得した背景には荒木紀仁ゼネラルマネジャー(GM)の尽力がある。荒木GMはスポンサーら関係者に対してプレゼンを繰り返し、粘り強く交渉した。リーグ戦終了後、「今季はどうしても結果を残したかった」と語ったが、すでに来季に向けた準備は始まっているようだ。IBMの山田晋三ヘッドコーチも、豊富な海外経験を生かしてクラフトを日本に連れてきた。日本のアメリカンフットボール界も、有能な選手をめぐって監督、GMらが獲得競争をする“ストーブリーグ”が白熱する時代になった。


 ▽望まれる和製QBの育成
 プロ野球やJリーグでは、クリーンアップやフォワードがほとんど外国人という時代を経て、近年は和製の大砲やストライカーを育てて、チームの中心に据えているケースが多い。今後、有能な本場のQBが海を渡って続々とXリーグに参戦することも十分に考えられる。だが、それはあくまで一時的な流れにとどめ、将来的にはリーグの顔となるような日本人QBの育成に努めることが理想の姿だと思う。

【写真】第2S上位リーグ進出をかけたアズワン戦で、エレコム神戸の攻撃を率いるQBライル・モエバオ=10月20日、エキスポフラッシュフィールド