社会人Xリーグは、10月21日に長居陸上競技場で行われた西地区の最終節で、アサヒ飲料が12-10でパナソニックに逆転勝ちした。この結果、3チームが4勝1敗で並んだが、直接対決の得失点差によりパナソニックが地区優勝となった。西地区からはアサヒ飲料、アズワンを加えた3チームが、11月3日から始まるセカンドステージへと進む。


 ▽4人の司令塔
 アメリカンフットボールの攻撃を率いるQBは、しばしば野球の投手に例えられる。今季のアサヒ飲料のQBの起用法は、まさに近年のプロ野球投手の分業制を思い起こさせるものだ。バランス型の椙田圭輔にベテランパサーの安斉宏享、自らのランを得意とする原口大知の3人を中心に、本職はWRの呉田達哉を要所で起用して攻撃にアクセントをつけている。社会人レベルでのQBの交代は攻撃シリーズごとが一般的だが、アサヒ飲料はプレーや状況に応じてQBをめまぐるしく入れ替えていた。第2クオーターの得点シリーズでは、3人のQBが5回交代して、6分近くの時間を費やしドライブを完結させた。特にTDを決めた原口のランは、2009年に関大を62年ぶりの学生王者に導いた時の迫力を思い起こさせた。アサヒ飲料の矢部寛之ヘッドコーチ(HC)は、「それぞれが自分のできることをやり切ってくれた」と評価し、セカンドステージ以降も4人のQBをフル活用した総力戦で臨むと意気込んだ。


 ▽勝利呼ぶアサヒ飲料守備
 一般的には政局や相場の勢いを表す用語である「モメンタム(勢い、流れ)」が両チームの間を激しく移動していた。7-6とパナソニックの1点リードで迎えた第3クオーター、後半から投入されたパナソニックのQB河野順が攻撃のリズムを作り、敵陣深くまで侵入する。しかし、TDを狙ったパスをアサヒ飲料の主将DB星田光司がインターセプト。アサヒ飲料はこの攻撃権を着実にTDにつなげた。パナソニックは続く攻撃で敵陣に攻め込んだが、再びインターセプトを喫して流れをつかめない。第4クオーターにはアサヒ飲料が自陣ゴール前でファンブルし、攻撃権を渡したが、このピンチを守備が踏ん張りFGの3点に抑えた。一連のターンオーバーバトルについて、「苦しいところでボールを奪う、粘り強い守備ができた」と目を潤ませながら話すアサヒ飲料の矢部HCとは対照的に、「負けパターンにはまってしまった」とパナソニックの荒木延祥監督は悔しさをにじませた。


 ▽関西勢の巻き返しなるか
 近年のXリーグでは、昨年のファイナルステージ進出チームが全て関東地区所属となるなど「東高西低」の傾向にある。今季もパナソニックは主力選手を故障で欠き、アサヒ飲料はアズワンに足をすくわれた。だが、最終節の両チームの激しい戦いぶりを見る限り、関東勢もそう簡単には勝たせてもらえないだろう。22日に富士通に勝利して、セカンドステージでのアサヒ飲料との対戦が決まったオービックの大橋誠HCは、接戦を制して勢いに乗るチームを警戒していた。

【写真】第3クオーター、逆転のTD後に2ポイントを狙うアサヒ飲料のQB呉田=21日、長居陸上競技場