オービックを止めるチームは現れるのか。今季、社会人Xリーグの最大のテーマだ。ライスボウル2連覇を含め、オービックの公式戦の連勝記録は28まで伸びている。対するIBMは1カ月前の開幕戦で富士通に敗れたとはいえ、米国人QBケビン・クラフトが期待通りの活躍で、ファンをうならせた。9月30日に川崎球場で行われる注目の一戦について、両チームのヘッドコーチ(HC)の談話をもとに試合の見どころを探った。


 ▽能力高いオービックDB陣
 「うちと当たるまでに、IBMはもう一段進化してくるだろう。作戦はこれからビデオを分析して考える」。クラフトの衝撃デビューの興奮が冷めやらぬ中、初戦となった富士ゼロックスとの試合後に、オービックの大橋誠HCは冷静に語った。IBMオフェンスをどうやって止めるかについて、富士通守備が出した一つの答えが、徹底したゾーンカバーだった。同じようなコンセプトになるかと聞くと、大橋HCは「それも一つの考え方だが、違うアプローチもある」と、対IBMの守備戦術に含みを持たせた。それもそのはずだ。オービック守備の陣容はXリーグの中でも群を抜いている。能力の高いDB陣は、日本代表クラスがそろっているからだ。
 オービック守備は多彩な戦術を展開することが予想される。例えば、富士通と同様にゾーン守備で網を張り、クラフトのパスを奪う。あるいは激しいプレッシャーをかけ投げさせないという戦術だ。オービックのDL陣は機動力も兼ね備えていて、パス守備に参加することもできる。高い運動能力を誇るDB陣はマンツーマン守備にも自信を持っている。そして、後方の守備を信頼した上で、ケビン・ジャクソン、ビーティー・ジュニアを中心にQBへ積極的なラッシュをかけることもできる。クラフトのクイックリリースは、ブリッツを仕掛けても毎回大きな効果を生むとは考えにくいが、IBMのレシーバーをしっかりマークできれば、いわゆる「カバーサック」が期待できる。
 さらに、オービックの特長は攻守ともに後半の勝負どころで発揮する抜群の集中力だ。28連勝のうち、プレーオフ10試合に限ると、実に4試合が後半の逆転勝利だ。特に、第4クオーターの爆発的な得点力が目を引く。仮にIBMの奇襲が成功して前半にリードを許したとしても、WR木下典明らビッグプレーメーカーが試合の流れを引き戻す力を持っている。


 ▽秘策あり
 IBMの山田晋三HCはオービックの圧倒的な強さを認めた上でこう言った。「秘策はある。キーワードはQB以外。ケビンが最高のプレーをするのは、オービックを倒すための前提条件だから」。クラフト以外で中心になるのは、RBの末吉智一だ。開幕戦ではランとパスで大車輪の活躍を見せた。彼がフィールドで躍動する展開になれば、IBMに勝機が見えてくる。WR小川道洋とTEジョン・スタントンらレシーバー陣に、時間のコントロールも考慮して、クラフトが短いパスをテンポよく通すことができれば、面白い展開になる。
 ほとんど情報がなかった開幕戦とは違い、この試合は互いをしっかり分析した上での作戦が用意されているはず。IBMが番狂わせを演じるのか、それともオービックが王者の強さを見せつけるのか。フットボールファン注目の試合は、午後1時30分キックオフだ。

【写真】高い身体能力を発揮して、パスをカットするオービック・DB藤本(左)=11年、JAPAN X BOWL