3年ぶりの日本一を目指す鹿島と、初戦でアサヒビールを延長戦の末に下し、勢いに乗るノジマ相模原が18日、東京ドームで対戦した。鹿島にとっては相性の悪い相手だけに苦戦も予想されたが、すきのない試合運びで31-10と完勝した。ノジマは点差の離れた後半は、見せ場を作れずに力負けした。


 ▽変幻自在の鹿島守備
 守備選手の動きに迷いがない。DL小宮、LB大舘らフロントがことごとくランプレーを止める。最終的にノジマのランによる前進を、わずか63ヤードに抑えた。パス守備も多彩だった。ラッシュを3人にして分厚いゾーンカバーを敷いたかと思えば、両外からブリッツを入れて5人でQBに襲いかかる。 第2クオーター、ゴール前まで攻め込まれたこの日唯一のピンチにも、DBを1枚増やしてエンドゾーン内を完璧にカバーした。試合を通して目に留まったのは、鹿島守備がプレーの開始前に動き回っていたことだ。特にパスの場面ではノジマオフェンスに作戦を読まれないように工夫していた。第3クオーターにはDB佐野が中央から突入してQBサックを決め、試合の流れを引き寄せた。
 ディフェンスにとって最も守りにくいプレーの一つである、走力のあるQBのスクランブルランもほぼ完ぺきに止めた。「サイドラインを味方につけろ」とはディフェンスコーチの決まり文句だが、鹿島守備は基本に忠実な動きで、QBをフィールドの内から外へと押し流していった。第4クオーターには、相手QBがサイドライン際で苦しまぎれに投げたパスを佐野がインターセプトし、ノジマの反撃の芽を摘んだ。


 ▽進化するバランスアタック
 昨シーズン、タレント揃いのWR陣を生かすため、鹿島の攻撃はパス中心へと切り替わった。その一方で、長い間鹿島オフェンスの代名詞だった力強いランプレーは影を潜め、重要な局面で迫力を欠いた。この日は完成度の高まったパスアタックに加えて、主将のRB丸田がOLとの息のあったコンビネーションで、力強いランを披露した。「今季はランとパスどちらかに重点を置くことはない。状況に応じてどちらもできるようなバランスアタックを目指す」。森ヘッドコーチ(HC)の試合後の談話を裏付けるように、この試合の鹿島攻撃のスタッツは、ランとパスがほぼ同じ数字を示していた。


 ▽QB加藤の成長が鍵
 この日の鹿島のプレーの完成度の高さを表すもう一つの数字が、わずか1回という反則の少なさだ。唯一の反則は、スクリーンプレーのパスを、故意にパスを失敗し後退を避けるインテンショナル・グランディングと判定される微妙なものだった。前半残り30秒を切った場面で、QB加藤がタックルを受けてボールをファンブルし、相手にボールを奪われた。森HCは「あの状況で絶対にやってはいけないミス」と厳しく指摘した。加藤は昨季、得意のパスを武器にセンセーショナルなXリーグデビューを果たしたが、プレーオフでは勝負どころで力を発揮できないこともあった。今季も、司令塔の出来がチーム浮沈の鍵を握りそうだ。

【写真】社会人屈指、鹿島の誇る大型攻撃ライン=撮影 Yosei Kozano