師走に入り、アメリカンフットボールはボウルゲームの季節を迎えた。日本でも大学の「甲子園ボウル」(12月13日・阪神甲子園球場)、社会人の「ジャパンXボウル」(12月14日、東京ドーム)、高校の「クリスマスボウル」(23日、横浜スタジアム)と各カテゴリーの日本一を決めるビッグゲームが続く。その中で直近に開催されるのは、12月6日の「TOKYO BOWL」(富士通スタジアム川崎)だ。


 昨年、新設され、今回が2回目となる関東と関西の両学生リーグの準優勝校による東西大学対抗戦。今年のカードは「赤対青」。日本大学フェニックスと関西学院大学ファイターズという、日本の学生フットボールでは最高のライバル同士が激突する。
 その一方で「TOKYO BOWL」について開催に懐疑的な意見もちらほら聞こえる。私はシンプルに考えたい。


 私が考える「TOKYO BOWL」の存在意義は、15分クオーターで戦うゲームということだ。こんなことを書くと、NFL観戦などが専門で、国内アメフットを見ないファンなら「アメリカンフットボールは15分クオーターで行うのが当たり前じゃないか、何を今更」と思われるかもしれない。しかし、国内の大学生、社会人では、メーンとなる秋季リーグ戦は12分クオーターが基本だ。


 社会人「X1」はセカンドステージこそ15分クオーター制だが、秋季リーグファーストステージは12分クオーター。学生アメフットは、全国的に12分クオーターが基本だ。
 関東1部が2ブロックに別れていた際は、甲子園ボウルに出場する東日本代表決定戦の「あずまボウル」「クラッシュボウル」は15分クオーターで行われていたが、関東代表が1校になってからは12分クオーター制度に変わった。
 西日本代表決定戦も12分クオーターで行われている。「TOKYO BOWL」ができるまでの数年は、学生の15分クオーターのゲームは甲子園ボウルだけだった。


 これが何を意味しているか。立命大のような国内有数の強豪チームであっても、どうかすると何年も15分クオーターでの試合を経験できないのだ。
 昨シーズンまで関学大が関西学生を4連覇していたため、立命大の昨年の4年生は「TOKYO BOWL」において、学生生活で最初で最後の15分クオーターの試合を戦ったことになる。この貴重な経験ができただけでも「TOKYO BOWL」には大きな意味があるのではないか。


 全米大学体育協会(NCAA)ルールでは、アメリカンフットボールは15分クオーターで行われると規定されている。そのルールを杓子定規に適用することを求めているわけではない。
 国際アメリカンフットボール連盟(IFAF)の世界選手権のように、1週間で3試合を戦うようなレギュレーションの大会も出てきている。下位リーグや地方リーグなども含め、競技水準や体力、安全面も考慮されるべきだろう。


 だが、学生時代の、貴重な時間と情熱と体力をすべてアメフットに注ぎ込み、戦い続けたトップ校の選手たちなら、その戦いに十分に耐えられる。母校のジャージを着る最後の戦いは15分クオーターでもいいではないか。


 15分クオーターということで言えば、前述したとおり社会人Xリーグのセカンドステージは上位リーグ「スーパー9」も下位の「バトル9」も、等しく2試合ずつ15分で戦ってきたのは、画期的だった。
 準決勝進出チームの選出方法が難解などの問題点はあったセカンドステージだが、ぎりぎりまで勝敗がわからない好勝負も多かった。11月29日のバトル9決勝、オール三菱ライオンズ対アズワン・ブラックイーグルス戦はその好例だ。


 また、ファーストステージでは5連敗しながら、セカンドステージでリーグ中堅のブルズを撃破し、東京ガスを後一歩まで追い詰めた警視庁イーグルスの健闘も、警察官として鍛え抜いた体力が、15分制の戦いになって生きたと見ることも可能だろう。


 昨年の「TOKYO BOWL」。立命大は、法大相手に準備したフットボールを遂行し、素晴らしい戦いを見せた。今季ついに「関学越え」を果たした力と技と知恵は、あの戦いの中にすでにその萌芽があったのだ。


 日大対関学のライバル対決の春季定期戦は、毎年東西で開催されているが、春季オープン戦の一環のため、当然12分クオーターだ。深く濃いライバルの戦い、12分では物足りない。
 両チームの選手にとって、今季最初で最後の15分クオーター制ゲームで、体力、気力を出し尽くしてほしい。好試合を期待する。

【写真】今年の「TOKYO BOWL」は赤と青の対決。春の日大―関学大定期戦から=撮影:Yosei Kozano