日本社会人アメリカンフットボールXリーグのセカンドステージは、10月31日から横浜スタジアムなどで始まる。上位リーグ「スーパー9」は、11月29日のファイナルステージ(社会人準決勝)を目指すサバイバル戦だ。毎年どのチームが勝ち上がるかわからない戦いが、今季は一層複雑になった。ファーストステージで4勝1敗だったチームが増えたからだ。


 ここで、セカンドステージの順位決定方法を記しておきたい。
①総勝ち星(ファースト、セカンドステージ全7試合の勝数)
②当該チーム間の直接対決勝敗
③当該チーム間の直接対決得失点差(1試合上限20点)
④勝利した対戦相手の勝ち星数
 ※ただし、対戦相手はスーパー9のチームに限定
⑤セカンドステージでの総勝ち星数
⑥抽選


 まず押さえておきたいのは、ファーストステージの順位は、今後の勝ち上がりにほぼ関係がなく、現在の勝敗数が重要だということ。その上で、下位チームから見ていきたい。


 ファーストステージ3勝2敗のオービック・シーガルズとエレコム神戸ファイニーズが生き残る方法はとてもシンプルだ。セカンドステージで連勝するしかない。
 連勝の場合、5勝2敗となり、総勝ち星で6勝以上のチームが4チーム出るケースはそれぞれ一通りしかない。さらに、後で述べる「勝った相手の勝ち星数」が比較的大きくなり得る両チームがベスト4に進出できる可能性はかなりある。


 4勝1敗がIBMビッグブルー、LIXILディアーズ、ノジマ相模原ライズ、アサヒ飲料チャレンジャーズ、アサヒビール・シルバースターの5チームだ。
 彼らの戦い次第では、6勝1敗のチームが最大で5チームそろう場合がある。Aブロックでノジマ相模原、もしくはアサヒビールが2勝しパナソニックが1勝1敗、Cブロックでアサヒ飲料もしくはIBMが2勝、CブロックでLIXILが2勝、富士通が1勝1敗となるケースだ。


 また7チームが5勝2敗で並ぶ可能性もある。Aブロックでアサヒビール、ノジマ相模原、パナソニックが1勝1敗。Bブロックでオービックが2勝、もしくはオービック、IBM、アサヒ飲料が1勝1敗。Cブロックのエレコム2勝、LIXILが1勝1敗、富士通が2敗のケースだ。
 そしてこれだけのチームが並んだ場合②当該チーム間の直接対決勝敗③当該チーム間の直接対決得失点差(1試合上限20点)は適用されない。


 なぜなら、この二つの条件は並んだチームすべてに適用できる場合に限られるからだ。5チームが並んだなら5チームが総当たりで対戦していない限り適用されない。そのため、4強進出チームを決定するのは、①の総勝ち星数の次に、④の勝利した対戦相手の勝ち星数が適用されるケースが多くなる。


 同じ1勝でも強い相手に勝った方が価値があるという考えによるもので、これがさらに予想を困難にする。ファーストステージでの勝利数に限定されず、進行中のセカンドステージの結果まで含めるからだ。


 2敗のオービック、エレコム神戸は現段階で「勝利した対戦相手の勝ち星」ポイントがない。そのため連勝して5勝2敗になった場合の同ポイントは確定している。オービックは9でエレコムは10だ。
 4勝1敗のチームの場合、ファーストステージで「勝利した対戦相手」1チームが、セカンドステージ他ブロックでどう戦うかが、自軍の浮沈に大きな影響を持つ。


 IBMを例にとろう。ファーストステージで勝ったアサヒビールのセカンドステージ勝敗が、自軍の勝ち上がりに影響する。「勝利した対戦相手の勝ち星」ポイントが、アサヒビール次第で2点上下する。
 同様にアサヒビールはLIXILの勝敗次第、ノジマ相模原はオービックの成績が、LIXILはIBMの成績が、チームの勝ち上がりに影響する。

 ほとんど計算のしようがなく、頭が混乱するばかり。パズルはこの辺にして、フットボールの話にしたい。


 セカンドステージで、優位に立っているのは、故障者続出ながら高いレベルの攻守を維持している5戦全勝の富士通だろう。続くのは同じく全勝のパナソニック。後はどのチームにもチャンスがある状況だ。 最も混戦が予想されるのが、パナソニック、ノジマ相模原、アサヒビールのAブロックだろう。3チームともに、強力な米国人選手の補強によってチーム力が変わっており、昨年までの対戦成績が参考にならないからだ。
 まずは31日のアサヒビール対パナソニック戦、IBM対オービック戦(ともに横浜スタジアム)が焦点となる。


 アサヒビールにとってパナソニックは昨年11月にもセカンドステージで対戦し、3-65と屈辱的な大敗を喫した相手だ。あれから1年。QBメイソン・ミルズとWRローマン・ウィルソンの入団に加え、オフェンス、ディフェンスで25歳前後の若手が台頭し、チームは生まれ変わったといってもいい。


 若きリーダー、ミルズは「とにかくミステークをしないことだ。(ファーストステージの)IBM戦ではディフェンスは14点しか許さなかったのに、オフェンスがターンオーバーを繰り返した。それがなければ問題ない。オフェンスもディフェンスも、ニュープレーヤーが激しい地区を勝ち抜いてきたのだから」と語る。
 ウィルソンと並ぶエースWR林雄太も「昨年は65点取られたといっても、ほとんどがターンオーバーからの失点だった。今年は違う」と雪辱を誓う。


 確かに昨年の対戦では、アサヒビールは3人のQBが7インターセプトを喫した。3インターセプトを奪ったDB辻篤志、1インターセプトの今西亮平、DL飾磨宗和は、7月の世界選手権でも活躍、今季も健在だ。
 さらに4人の米国人選手が加入、日本の大学でプレーしていたため日本人選手と同じ扱いのLBデービッド・モトゥ、OLスコット・ダフィーも含めると、6人の米国選手がいる。


 RBのベンジャミン・デュプリーは5試合で587ヤード9タッチダウン(TD)、エースQB高田鉄男はパス734ヤード7TD、WR頓花達也らもまじえたオフェンス陣は相変わらず強力だ。君臨し続ける西の王者に、復活をかける銀の星がどのような戦いを挑むか。


 IBMとオービックも見逃せない。IBMにQBケビン・クラフトが加入して以来、オービックDLケビン・ジャクソン、バイロン・ビーティー・ジュニアと「本場のパサー対パスラッシャー」の息詰まる戦いを展開してきた両チームだが、春シーズンを除けば、2013年9月以来の対戦となる。
 かつてはクラフトが最も苦手にしたオービックだったが、IBMはいまや高木稜、末吉智一というリーグ最強のRBコンビをそろえるランオフェンスのチーム。敗れたLIXIL戦でも2人で200ヤードを超えた。オービックディフェンスもてこずるだろう。


 オービックは今季、オフェンスが機能していない。ファーストステージでは、下位チーム相手には効果的だった新しい戦術が、上位チームには通用せず、自滅で喫した2敗だった。
 とはいえ、経験豊富なQB菅原俊に加えRB、WRに人材がそろう。OLも依然としてリーグトップクラスといっていい。
 鍵はターンオーバーをどれだけ減らせるか。加えて、やはりWR木下典明の働きだ。今季ここまで、満足のいくパフォーマンスができていない。本人が一番悔しい思いをしているに違いない。日本のフットボールを背負ってきたビッグプレーメーカーに、チームの浮沈がかかっている。


 複雑なパズルが、さらに複雑化するのか、それとも落伍者が出るのか。3日後には最初の答えが出る。

【写真】2年前のIBM戦では4TDの大活躍を見せたオービックWR木下=撮影:Yosei Kozano、2013年9月